インターネットなどの普及や女性の社会進出により生活のスタイルが変化し、「食」のシーンも多様化してきま した。このような状況から、飲食ビジネスでの顧客の利用変化に対応した商品作りやお店作りが求められます。
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時代の変化を掴む
食を取り巻く市場環境は大きく変化していますが、食品に関しては、遺伝子組み換え食品、農薬の大量使用、O-157などの細菌性食中毒、BSE問 題、鶏インフルエンザなど、食の安全性への消費者の関心が大きくなっている現状において、生産者の顔が見え、製法にもこだわった安全な食材が求められてい ます。また、スローライフやロハスなど食生活のスタイルなどの変化も外食産業においては大きな流れの変化を求められています。
「高品質で美味しい」「健康で安全な」食事をキーワードに食の需要が、「食べる」から「楽しむ」へと進化し、「食」のシーンが重要なポイントに なってきています。
トレンドを捉える
外食の利用動機を考えるときに、無視をできないのが「時代の変化」と「ライフスタイルの変化」です。多様化するお客様のニーズやこれからの時流= トレンドの変化を予測して、自店のコンセプトに合わせた方向性を見極めることがとても重要となります。
「食」のシーンを捉えることが「トレンド」となる場合がありますが、トレンドの進化は基本的にお客様が作る場合が多いようです。お店側が話題づく りをしてお客様を集客する訳ですが、「話題づくり」や「仕掛け」は世の中で求められているものであれば継続しますが、求められていなければそれは失敗に終 わるでしょう。お客様の変化や環境の変化に対応していく結果が「トレンド」になることを知っておくべきです。
お店はお客様に選ばれる時代になり、オーナーの個性が求められています。そこにしかない商品、そこにしかない業態、そこにしかない雰囲気などお店 の個性がお客様を呼ぶことになります。大手チェーンが企業の名前を前面に出さずに個人店のような「個性」を看板にして「小規模多業態」の出店が目立ち始め ました。
大手企業も「生き残り」は必死です。大手チェーンでは出せない、持っていない「個人」の強みを磨き、前面に押し出していくことが個人店の「生き残 り」における課題です。
顧客対応の変化
お店を経営していく過程で、顧客の変化を掴むこともとても重要です。お客様はその地域における生活環境において日々の食の生活シーンを求めていま す。お店の利用動機はさまざまですが、利用店舗の価格、サービスレベルに合わせた選択において決定されます。
お客様は常に利用動機に合わせた「食のシーン」としての店舗を求めていますが、同時にお客様の転勤や移転、年齢の高齢化などによりお客様自身がい なくなる場合もあります。
古いお客様は少なくなり、新しいお客様に対応していくための世代の変化や顧客の嗜好に合わせた、商品づくりやお店づくりを考えなくてはいけませ ん。老舗と言われる店舗も時代に合わせた対応を強いられてきています。
有名店の「味」も時代の変化や世代の変化と共に「顧客対応」のため の改革=イノベーションを行って生き残ってきました。
飲食ビジネスの経年劣化
経年劣化とは年と共に古くなっていく状況を指しますが、商品 や生活シーンの周期といわれるライフサイクルやビジネスサイクルは過去のデータから限られた年数で交替していくと言われています。
飲食店 における経年劣化は、社会の状況や環境の変化から店舗のコンセプト自体が古くなっていくものと、店舗自体が時代に合わず老朽化していくものがあります。当 然それと同時に、経営者自らが経年劣化していくことになります。
店舗のコンセプトやトレンドに合わせた業態などは「流行」を追いかけていくと、短期間での幕引きとなり、人気の商業立地ほど店舗の開店と廃業の入 れ替わりが早いようです。
また、店舗の内装や設備も経年劣化は激しく、内装においては3年が境目となり、壁紙や天井などの汚れが目立ち始め、器具機材やカーテンやクロスな ど変更の時期が来ます。
設備に関しては物によって違いはありますが、故障や修理の時期がやってきますのであらかじめ減価償却費などの予算取りはしておくべきでしょう。
リニューアルの考え方
社会の流れと共に、流行やライフスタイルの変化に応じた顧客の要望なども売り上げに大きく影響してきます。そのためには経年劣化したコンセプトや メニューおよび内装や設備を変えていかなくてはなりません。売り上げの低迷の原因はたくさんあると思いますが、それらを一つずつ変えていくのか、すべて同時に変え ていくのかを判断しなくてはいけません。
大事なことは、何が原因で売り上げが低迷しているのかを判断し、的確なリニューアルをすることが大切です。リニューアルにより新たなターゲットを 吸収し売り上げを倍増させるためにも、今の時代にこの場所で、お客様に求められているお店づくりを追求し、ターゲットの絞込みを行い、そこのニーズに合わ せたリニューアルを行うべきでしょう。また、部分的なリニューアルではなく、業態から店名などもすべて変えてみる方法もあります。また、その場所や店舗に拘 ることもなくまったく新たなスペースでの開業も方法のひとつです。