飲食店開業:価格設定の際に考慮すべきポイント

この記事はに専門家 によって監修されました。

執筆者: ドリームゲート事務局
商品価格とはお客 様が来店される際決め手となる一つの指針です。飲食業では、料理の値段が料理の味も変えてしまい、客層までも変えてしまいます。ニーズに合わせてコント ロールしていきましょう。

 

商品価格は評価基準

 商品の価格を決めるには、コストプラス方式と呼ばれる仕入原価に諸経費を加えて算出する方法と、初めから利益率を決めて価格を算出する方 法などいくつかありますが、個人店の場合コストプラス方式が最善と思われます。大手チェーンなどは利益追求のため、利益率を決めてから価格の設定をするこ とがありますが、最終的に販売と製造を分離して生産効率を高めていくためにシステムの導入をすることになります。

 製造と販売とサービスが1ヵ所で行われている飲食店の場合は、商品の価格のなかにすべての経費が加算され、さらに利益もふくんで価格設定をします のですべての商品が同じ比率では価格を設定することができないことになりますが、そこで、平均原価率を設定して商品の価格を決めていくことになります。そ こで設定された商品価格がそのお店の素材や調理技術、さらにはお店のレベルまでの評価基準となります。

 

価格がお店の評価となる

 

評価基準となる味や素材、盛付け、サービスの提供方法などの付加価値を考慮し、最終的に支払いの時点でお客様から評価される こととなります。これが価格評価といわれるものですが、お客様が食事を済ませ全体的な評価の対象となるのは支払金額です。数人で利用したら必ず割り勘の金 額が出ますが、お店を入ったときから料理の味、盛付け、サービス、トイレの清掃、従業員の態度、会話などすべてが評価基準となります。そして、高いか安い か、それとも妥当な金額なのかは、すべてお客様が決めることになります。

企業やチェーン店でモニターを使い覆面調査といわれる、自店舗の評価システムがありますが、その際にもQSCAといわれる店舗評価を行い最終的に価 格評価であるV(価値)が評価されます。どんなお客様でも最終的に支払いの段階が評価基準となり、次の段階へとなります。この自店の評価が高ければ、リ ピーターとなり評価されます。

 

期待以上のものを提供する

 
 この時、メニュー一つひとつの金額よりも、一人当たりの合計金額で評価されることになります。この一人当たりの金額を客単価というわけ ですが、お店を利用する前にどのくらいの店なのかを確認するお客様が多いようです。3千円、5千円、7千円、1万円、またはそれ以上の金額を頭に入れて来 店するわけですが、その金額にあわせて其れなりの期待をしてきます。当然、金額の裏付けに関してはお客様の経験値からその金額以上の期待を持って来店して きます。当然、お店としても期待以上の「商品」や「接客」をしなくてはいけないことになります。この期待以上の「もの」を感じた時に、お客様は満足を感 じ、感動し、「口コミ」となって「集客力の拡大」となっていきます。

食材と価格の関係

 
 店舗における市場価格により、メニュー価格と食材の選定が行われます。高級な食材が使えるならば設定価格も高価になり、 当然客単価も上がります。これは高級店といわれるお店では可能ですが、一般の店舗では限られた食材でメニューづくりをしていくことになりますので、価格設 定において食材は限定されることになります。

 たとえば、ランチタイムに900円のステーキランチを提供する際は、食材が和牛なのかオーストラリア産なのかが自ずと決まってきます。牛の部位に も関係がありますが、牛ロースで考えると、一般的に和牛では仕入の段階で100g500円ほどとなります。オーストラリア産のクラスでは100g200円 くらいではないでしょうか。必然的に120gのステーキランチを出そうと思えばオーストラリア産になります。和牛を使えば売価は2000円前後になるので はないでしょうか。このように、食材と価格にはメニューコンセプトが重要なポイントになります。

 

価格設定はターゲットを決定する

 
 メニューコンセプトをつくり上げる時点では、仕入価格と販売価格の設定が重要なポイントになります。そして、それと同時 に、単品価格またはランチ価格がターゲットを決めてしまうことになります。立地選定により商圏が決まり、その地域における見込み客は想定できるわけですが 商品構成と商品価格が利用客を決定づけます。利用動機として価格は重要な判断基準となるのです。

 店舗前のアプローチやメニュー看板などに より、店舗の商品価格を表示することはお客様への誘導表示となりますが、一見客にすればこの時点でお店を選定することになります。 

 また 常連客にしても、週1回のお店か月に1回のお店かを決める判断にもなります。

 プライスレンジといわれる、価格のレベルがその店のレベルと なります。当然、価格に応じたお店づくりは必要となりますので、商品の価格とお店の内装やサービスのレベルなどの全体的なバランスがとても重要になりま す。お客様は商品の価格設定により、全体的なバランスを判した上でお店を評価しますので、食材や調理方法だけでなく、調度品やマテリアル、従業員の接客レ ベルやユニフォームから礼儀作法までのすべてがメニューの料金設定に顕れることになります。

 

価格設定に求められる付加価値とは

 

 価格がどの業態でどの程度が適切なのかは一概に判断はできませんが、二極化の明確な時代背景において、価格設定には付加価値が求め られてきます。高価格設定には当然のごとく食材、調理、接客、調度品からお店を構成するすべてが価格により評価されます。 
      
  この高付加価値とは、ほかにはないものや今の季節ならではのもの、特別に用意したものなどほかではできないものを提供することが求められてきます。これら の知識を十分理解して、顧客に期待される以上のものを提供できるようにしましょう。低価格においては、悪かろう安かろうといったような提供方法ではお客様 は離れていきます。今時のファミリーレストランはハイクオリティ&ロープライスを前面に出し、いかにおいしいものを安く提供できるかを競っているのです。 低価格設定においては、いかに安く仕入れるルートを見つけるか、いかに安いものをおいしく提供できる技術を身につけ、切磋琢磨していかなくてはいけませ ん。

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