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商品開発の必要性
経年劣化という言葉がありますが、お店の内装もコンセプトも年と共に古くなり、飽きられてしまうことになります。そのなかでも、メ ニューは毎日、毎週、毎月替えていかなくてはなりません。少なくとも日本には、四季というものがあり、その季節に合った旬のメニューが求められます。お客 様にとってお店の魅力とはあそこに行けば何かがあると、いつも何かを期待させてくれることなのです。
業態によりある程度違いはあるかもし れませんが、いつ行っても同じメニューではお客様は不満となり、ほかのお店に動いてしまいます。そのためには、つねに商品に気を使い、いつもと違うものを 提供できる商品開発を心掛けていくことでしょう。
飽きられない商品構成
メニューをつくる時、商品構成のなかに、市場メニュー、おすすめメニュー、本日のメニューなどお店として、お客様に「これ」というメ ニューを用意することで、お客様は、今日は何が「おすすめ」なのとか、今日の「おいしいものは」何かなど、自分の家のように感じさせることも、重要なお店 づくりのポイントです。旬を売る店ではシェフが毎日市場に買い出しに行き、その日の新鮮なメニューを提供するということがお客様の来店動機となることがあ ります。あそこに行けば旬の料理が食べられる、あそこに行けばおいしい料理とワインで楽しめる、などお客様は期待をして来店することになります。流行って いるお店ほどすべてのメニューが動くといわれますが、お客様に飽きられることのないように、つねにメニュー構成を考えるということが集客につながっていき ます。
メニューづくりの課題
メニューをつくる上で数値を決めることが重要です。
1.販売価格~市場価格に沿った適正価格にする
2.原価率 ~他のメニューとのバランスを考える
3.適正量目~1人前の栄養価と食べたくなる盛付け
4.調理時間~ご注文を受けてからの提供時間
5.FLコスト~食材費+人件費を常に考えたメニューづくり
一つひとつのメニューをつくる上で、数値設定が最終的に利益を生むかどうかの鍵となります。実際にやってみなければわからないようなものでは仕方 ありませんので、まずレシピ表(調理仕込マニュアル)にすべてを記入できるように仕上げるべきでしょう。
実際に商品開発をする上で重要なこと
1.本物を知っておくこと
飲食業において開業を考えている方は少なくとも飲食あるいは食品や調理について興味があることと思いますが、実際に商品開発するには、料理の各 ジャンルを深く掘り下げて理解し、つねに、世のなかの流れを認識し、業界の情報や流行をキャッチしておくことが必要です。
また、商品の 知識だけではなく、必要なスキルや技術の取得も求められます。自分の代わりに従業員や身内の人に習得させることも可能です。従業員の知識向上は、接客レベ ルの向上および顧客満足度の向上にも繋がり、自ずと売り上げにも反映します。余裕があれば、休みの日にはレストランやホテルでの試食、研究に励み、高いレ ベルの食材や商品、接客サービスなどの勉強ができればよいと思います。
2.キーワードの必要性
最近では商品へのこだわりが顧客からも求められ、「健康」や「安全」など体にとってよいものが求められてきています。また、賞味期限や食材の表示 義務、アレルギー食材などの明記など健康や安全に対してもとても敏感になってきています。
競合する店舗との差別化の要因に、食材の仕入方 法や産地などのこだわり、ほかでは手に入らないような食材の確保などがあります。「ここだけ」や「今だけ」などのこだわり食材の提供がお客様に来店動機を 提供し、期待以上の食材の提供方法で満足を与えることが他店舗への差別化を生み、自店への「集客力の向上」に繋がると思います。
やはり、 食材の品質へのこだわりだけでなく店舗の要素として、「ストーリー性」や「オリジナル性」などの付加価値をどのように加えて商品価値や顧客満足度を高めて いくのかが重要なポイントになるのではないでしょうか。
3.基本コンセプトを外さない
商品開発において売れ筋商品ではないものを外し、新たな商品を考える際に当初の基本コンセプトからブレる様なことがあるとお店の評価も変わってし まうことになります。新商品の提供には十分気を使い、本筋を外さないように気をつけることが大切です。
開業当初のターゲットが時代の流れや地域の家族構成のバランスなどで変化してしまうことがあります。当初のターゲット設定から微妙に変化が現れ次 第に顧客層が変わっていくこともあります。これは、競合店舗の出店や異形態の出店における顧客の移動も要因と思われますが、ターゲットの変化に応じて商品 構成や内容を変えていく必要があります。
この場合も、基本コンセプトは大きく変えることはなく、枝葉な部分のみを時代の変化と共に変えて いく必要があるのではないでしょうか。コアコンセプトが「集客力」の重要なポイントとなることは変わりません。