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業態に応じた店舗デザイン
飲食店の構成要素である「個性」や「魅力」、居心地のよさを決める「快適性」はお客様の飲食店利用時のT(時間)、P(場所)、O(場合)により判断され ます。飲食店の構成要素は業種・業態に応じた店舗デザインにより変化させることができ、そのことにより料金設定となる利用金額が設定されることになりま す。
しかし、業種・業態を変化させると言っても最終的には事業規模や開業資金の高低により判断します。素材(マテリアル)は、ピンからき りまであり店舗内装・設備工事費用の坪当たり単価は大きく変わることになりますので、業態設定に応じた店舗デザインおよび初期費用を考慮した内容にするべ きでしょう。
では、飲食店の構成要素を持つお店にするには具体的にはどのような店舗デザインにすることで可能になるのでしょうか?そのカ ギは店舗のレイアウトとオペレーションにあります。
店舗のレイア ウトプラン
店舗のレイアウトは、飲食店の業態、規模、営業方針によって大きく異なるので一概には決められませ んが、店舗面積に応じた客席数と厨房面積を配分することがまず手始めとなります。客席数は規模の大きさと店舗のグレードにより大小はありますが、総面積に 対して1坪当たりにお客様1.2~1.5人の割り合いで計算するのが平均ではないでしょうか。20坪のお店でしたら24~30人前後という具合です。ここ から、業態や営業方針により、20人から35人ぐらいの開きは出てくると思います。
厨房の面積は、やはり業態により異なりますが客数をど れくらい取るかで厨房面積を決める人と、厨房器具を決めてから全体の配分をする人とに分れますが、後者の方は調理経験者の人が多いようです。営業後のこと を考えると、厨房の調理作業や働きやすさの両方の考え方を上手に組み入れる方法がよいと思います。
オペレーションの重要性
お客様の注文を受けてか ら料理が出るまでの流れを考えてみると、厨房器具の配置やレイアウトはとても重要なことに気付きます。注文を受けてからお客様の前に料理が出るまでの時間 配分は売り上げに大きく影響されます。ランチタイムのほとんどのお客様は時間がありませんので料理が早く出てくるお店を利用することになります。注文から 提供までの時間を大体10分として逆算していくとお客様の店内滞留時間は30分~40分、お店に来るまでと帰る時間を加えると、ランチの休憩は約1時間と なります。
いかに効率のよい作業手順を考えるかが、この時間帯の決め手となります。また、ディナータイムにおいてもすべてのメニュー材料 がどこに収納されているかで作業効率が変わり、提供時間の長さですべての流れが変わってしまいます。
作業動線とサービス動線の確保
オペレーションの 重要性が売り上げに影響することは理解できましたが、具体的にどのような問題が起こるのでしょうか。もしオペレーションが悪いと、お客様へのサービスが行 き届かないなどさまざまな問題を引き起こします。
厨房の作業動線で大切なことは、動きやすいことと掃除がしやすいことです。動きやすい厨房は 料理がスムースに出てきます。また、掃除がしやすい厨房はつねに清潔を保つことができると同時に、異物混入や食中毒の心配がありません。
サービ ス動線においては、ムダのない動きができることと事故が起こりにくい動線を確保することが大切です。お料理を運ぶ際に、お皿や体がぶつかるようでは席数の 取りすぎでしょう。お料理を運ぶ動線と下げる動線がぶつかることも避けなければなりません。
例えば、カフェやレストランの動線計画では以下の動線が考えられます。
お客様の動線には・・・入り口からクローク、通路、客席
・・・客席から化粧室
・・・客席からキャッシャー、出入り口
サービス導線には・・・厨 房からパントリー、客席
・・・客席からキャッシャー、出入り口
・・・厨房から更衣室、 従業員用トイレ
以上のような導線が考えられますので、設計上きちんと安全に確保しなくてはいけません。
また、動線の幅員としては メイン通路には1.2mは確保します。人が交差できる幅です。提供サービスに必要な幅員は50~60cmあればよいですが、テーブル間は20~30cmは 必要となります。