「絞りに絞った」テーマ

この記事はに専門家 によって監修されました。

執筆者: ドリームゲート事務局
あれもこれも売っ ていて、この店は一体何屋なんだ!?って言う店ありますよね?「商品テーマを絞ったうえで、商品アイテムを広げる」という考え方を学びましょう。

それは、何屋さんだか説明困難

 「増田さん、い い年をしてそんなお店に入り浸っているんですか?」と、突っ込まれそうな気もしますが、私、“サブカルチャーの殿堂”とでも言うべき、とある本屋さんがお 気に入りで、暇さえあれば(でも、その暇がなかなかないのが実情ですが)その店へ足を運びます。一度入ったら1時間前後は店内をウロウロしているでしょう か。
 
 さて、その店、何という名前の本屋さんでしょう?あ、本屋ではないかもしれません。雑貨屋さんかなあ。いやいや、レコード屋さん かな、でも、駄菓子屋さんとも言えるしなあ。うーん、これは困りました……。というのがヒントです。

 「その店」に行ったことがあ る人なら、「何屋さんだか説明がしにくい」というだけで、「ああ、あそこのことか」とすぐにわかると思います。そうそう、それです。「ビレッジヴァンガー ド」。私がよくお邪魔するのは東京の下北沢店ですが、2007年5月現在、直営店とFC店を合わせると、全国で240店以上も営業しているんですね。なの で、ご存じの方も多いと思います。もっとも、店内を見回して私より年長のお客さんを見かけることはあまりありませんから、世代によっては「何、それ?」か もしれませんが。

 

興味テーマ別販売コーナーの魅力

  ざっと説明すると、「ビレッジヴァンガード」は「遊べる本屋さん」というキャッチフレーズで、書籍や雑誌を核に、上記したようにありとあらゆる雑貨から、 CDやDVD、さらには得体のしれない(?)お菓子まで小売りする、いわゆる複合店です。

 まだ「ビレッジヴァンガード」に出かけたことの ない人が、ここまでの説明で店内を想像しようとすると、恐らく大型ショッピングセンターのフロアのように、書籍コーナーや雑貨コーナー、音楽ソフトコー ナーなどがきちんと区分けされているレイアウトをイメージするのではないでしょうか。でも、それとはまったく異なる世界が広がっているのです。

  店内は、商品ジャンル別ではなく、興味テーマ別にコーナー分けされているのです。例えば「寿司」がテーマになっているコーナーでは、寿司の歴史を著した書 籍や寿司をキレイに撮りおろした写真集から、プラスチックでできた色とりどりの業務用にぎり寿司(見本)にいたるまでが陳列されています。寿司文化に関心 のある人にとってそのコーナーは、たまらない空間に仕上がっているのです。また、「刺青(いれずみ)」がテーマなら、関連書籍をはじめ、刺青風シールだと か、刺青風シャツだとかが集められているといった具合です。

 もっとも私が例として挙げたコーナーがどこの店舗にもあるというわけ ではありません。どのようなプロダクトを扱うか、つまりどのようなコーナーを設けるかは各店の店長に一任されているからです。ちなみにこうした店舗運営方 法から学ぶことも多いのですが、今回は「何を売るのか」が主題ですので、そのへんのことは違う機会に譲ります。

 

思い切って1テーマで勝負する方法も

 この回で学んでほしいことは、「商品テーマを思い切り絞ったうえで、 商品アイテムを思いっきり広げる」という考え方です。

  ちなみに以前、アスクルの例を挙げて、「狙う相手を思い切り絞ったうえで、商品アイテムを思いっきり広げる」という考え方を示しました。実は今回の話題も 本質的にはそれと同じです。「そのテーマに興味を持つ人に狙いを絞ったうえで、そのテーマに関連するあらゆるものを売ってしまえ」という考え方です。

  販売方法としては、「ビレッジヴァンガード」のように広い店舗を使って複数のテーマを設定してもいいでしょうし、狭い店なら思い切って1テーマだけで勝負 してもいいでしょう。もちろんネットショップを舞台にしてもかまいません。 
 
 むしろ、1テーマに絞ったうえで、あらゆる関連アイテム を用意しようと思えばネットショップのほうが有効かもしれません。テーマがそのまま検索されることも多いでしょうし、多品目のプロダクツを実際に陳列せず に済みますし。あるいは実店舗とネットショップの合わせ技という考え方も可能です。

 

仙台発全国展開のアイズコレクション

 実際、テーマを「コカ・コーラ」に絞って、合わせ技を展開しているお店があります。コカ・コーラのロゴ入り グッズはもちろん、ロゴそのもののネオンサインや看板類などまで、本当にありとあらゆる関連プロダクツを販売しているのです。「アイズコレクション」とい うお店です。もちろん飲料としての「コカ・コーラ」も販売しています。検索エンジンに「コカコーラグッズ」ないしは「コカ・コーラ グッズ」と入力すれば、おそらく画面トップに出てくると思います。

 このお店の主力販売チャネルはオンラインですが、仙台市内に実店舗があり、そこを訪ねることもできます。この実店舗がネット ショップ用の撮影スタジオも兼ねているわけです。なかなか高度な合わせ技ですね。

 

例えばテーマは「バラ」

 私は以前から「バラ」をテーマにしたお店があったら面白いと考えてい ました。生花のバラはもちろん、造花のバラ、バラをかたどった小物家具(スタンドや傘立て、燭台などが思い浮かびます)、バラをモチーフにした布地や洋 紙、それらで仕立てた洋服や紙製品、バラをプリントした食器やステーショナリー、シールやリボン。もちろん書籍やDVD(写真集だとかバラ栽培の実用書だ とか、『ベルばら』全巻だとか……これはダメか)などもいいでしょう。また、ローズティーとかフレグランスとか、バラの香りを用いたアイテムもいけます。 さらには、全国のバラ園の入場チケットなども扱えるかもしれません。挙げればまだまだあるでしょう。とにかくバラづくし!

 べつにバラじゃなくたっていいのです。前述のようにコーラでもいい し、カエルでもいいし、火星でもいいし。とにかくテーマは何でもかまいません。自分もそれが大好きで、同じような人が世の中にそれなりにいて、なおかつ、 それにかかわるプロダクツがさまざまなジャンルに広がっている。そういう条件さえ満たせばどんなテーマでもいいと思います。

 

「テー マショップ」のススメ

 このように「絞りに絞った」 テーマで営業する小売店のことを、「マニアックショップ」と呼ぶことがあります。確かにマニアックと言えばマニアックです。が、どうもその響きにはアン ダーグラウンド的なニュアンスが交じるような気がするのです。実際、上述の「バラ」などは、決してマニアックなモチーフではありません。そこで私は、こう した業態をシンプルに「テーマショップ」と呼ぶことにしています。

 「バラは大好きだけど、キクはあまり好きじゃないなあ」と思いながらフラワーショップを開業するくらいなら、「バラのテーマ ショップ」を開業したほうがいいかもしれませんよ、というオススメです。

 個人的な話ですが、さまざまなジャンルでの「テーマショップ」が増えると実際、助かるんですけどねえ。親しい人にプレゼント をしたい時、「あの人は確か○△が好きだったなあ」と頭に浮かぶことがあるじゃないですか。でも、その○△を見つけるのがけっこう大変なんですよね。だか ら検索エンジンに「○△ グッズ」や「☆□ グッズ」と入力すれば、そのテーマの殿堂のようなショップが検出できる。こういう展開を期待しているのです。

 ○△大好き人間のあなた、ぜひぜひチャレンジを!

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