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国民の2割が今や花粉症!5年で1.5倍に拡大するマーケットもある
ここ数週間ほど新型インフルエンザの影響で街はマスクの人であふれていますが、マスクといえば春の花粉症。花粉症の時期は街でマスクをしていない人のほうが少ないんじゃないかと思うぐらいの勢いだったように思います。それもそのはず、今や花粉症人口はなんと2000万人と言われていて、日本国民の2割が花粉症に悩まされているようです。
そのためか、最近薬局に行って驚くのはマスクの数。何を選べばいいのか迷ってしまうほど。ケンコーコムでは148商品もありました。矢野経済研究所の調べによると、マスク市場は2003年の 79億円から2008年には118.5億円に拡大しているそうです。5年間で1.5倍。規模は小さいですが、急成長市場であることは間違いないようです。しかも花粉症人口は今後も2-3倍に急速に増加するとも言われています。このように市場が急拡大するとプレイヤーも商品も増えていくのですが、実はそれ以前に着目するところがあります。
「お金の匂い」があるかどうかでビジネスプランに血が通う
ビジネスプランにおいて投資家の重要な判断基準のひとつは「お金の匂いがするか」です。「これは儲かりそう」とか「儲からなそうだねえ」という言葉の裏側には「匂い」があります。
ではどんなところに「お金の匂い」がするのでしょうか。大きく分けて3つです。
(1) 購買の必然性:消費者の「WANTS(=必需)」に訴えていること
(2) 市場・商品の非効率性:市場に「すき間(=非効率なところ)」があること
(3) 市場の成長性:マーケット規模が大きいか、現在ニッチでもマーケットが急成長しそうなこと
先ほどのマスクの例では、(1)と(3)が当てはまります。特に、(1)が魅力的です。なぜでしょうか?マスクなしでは外出できないぐらい、花粉症の人にとって、花粉の時期のマスクは命の次に大事なものになります。いわゆる、「なくてはならないもの」になります。よく似た言葉に「NEEDS(ニーズ)」があります。これはどちらかというと「あったらいいな」というレベル。ちょっと弱いです。なくてもいいってことですから。しかもマスクは消耗品。定期的に購入せざるを得ません。「消費者が必ず定期的に購入してくれる商品」、これはおいしいです。うまくいけば安定収益になります。
マスクの場合は、それに加えて市場の急成長という要素が加わっています。収益を得る戦略としては「シェアを獲得すること」と「追い風に乗ること」の2種類があります。前者は安定的に規模のある市場に向いています。後者の場合は、需要の拡大に乗って売上を上げて行くという戦略。79億円の市場のシェアが10%で売上7.9億円あっても、118.5億円であれば同シェアで11.85億円になる。シェアが1%上がれば売上が1.18億円上がる。おいしそうな「匂い」がしますね。
「WANTS」になることで消耗品=価格競争ではなくなる
もちろん、市場が拡大しプレイヤーが増えてくると競争が激しくなります。シェアを維持するのも大変になるのではと思うかもしれません。よくありがちな収益性の低下の例が以下の3つです。
(1)価格競争になって販売価格を下げてしまう
(2)商品開発コストがかさむ
(3)CMなどの広告宣伝にお金をかけてしまう
ここでポイントになるのが、「必需品」であるということ。人の心理として、「本当に必要なものはクオリティを大切にする」というところがあります。ジェネリック医薬品という特許が切れてどこでも開発製造ができるようになった薬があります。新薬よりも安い価格で購入可能です。最近は厚生労働省が普及に力を入れていますが、実際には2006年度でシェア16.9%にとどまっています。いろいろな問題がありますが、消費者の中に「新薬のほうが安全」というイメージが根強くあるのも確かです。食品では少し高くても国産にこだわったりします。要は自社の商品やサービスのポジショニングをどこにおくかというところになるかと思いますが、「WANTS」の商品やサービスは必ずしも安ければいいということではないのです。
「不便」「不満」が発想の第一歩
市場や商品には、結構「すき間」があります。例えば先ほどの、マスクを例に挙げれば、「メガネが曇らないマスク」が出てきました。そもそもなんでなかったのだろうと今では思います。アスクルの「翌日配送」も今でこそ普通になりましたが、当時は画期的なサービスでした。これらの共通しているのは、そもそも「こんなのがあったらいいのに」というところ。業界の中では当たり前でも、外から見るとおかしなところって結構あります。それが市場や商品の「すき間」。そこにもお金の匂いがあります。
まずは必然性、非効率性、成長性に着目して、「お金の匂いのするビジネスプラン」を作っていきましょう。