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社長なんて大変なことばかり。だから「好きなこと」。
先日、社長三人で話していたときに、一人の社長さんがぼそりと一言。
「自分の仕事をしている時給を換算したら、ファーストフードのアルバイトの時給ほうが高いんじゃないかな」
三人で思わず笑ってしまいました。だって事実ですから。
社長の勤務時間は概して長いです。仕事のことを忘れるのは寝ているときぐらいという社長さんのなんと多いことか。夢でも仕事をしていたという話もよく聞きます。背負っているものもいろいろあって、借入をすれば個人保証がついてくるし、従業員や家族の生活を守らないといけないし、そもそも売上が上がらないと自分も生活できなくなる。その積み重ねが、先ほどの発言につながります。
こんな生活が何十年も続くと考えてみたらどうでしょう?普通は嫌になりますね。でも、それでもわくわくする方法がひとつあります。
その方法は、「好きなこと」をビジネスにするということ。
ビジネスアイデアが思い浮かばないとか、今のビジネスプランがいまひとつパッとしないという時には、「好きなこと」を追求してみましょう。「好きなことを追求する方法」、それが「自己の棚卸し法」です。
さあ、タイムマシーンに乗りましょう <1st Step>
「自己の棚卸し」の第一歩は、「自分年表を作ること」です。加工がしやすいのでエクセルシートをお勧めします。まず、縦軸に1歳から今までの「行」を作ってください。そして横列はこんな項目を作ってください。
・ 学歴、職歴
・ ポジション(係、委員、役職等)、アクティビティ(部活、委員会、バイト等)
・ 好きなこと・興味を持っていたこと
・ 好きだった、興味を持っていた理由
・ 実際に行動したこと
・ 大切にしていた考え方
・ 社会的な環境、出来事
・ その他覚えていることは何でも
これで準備完了です。書き始めてみましょう。キーワードでまとめていくと後の作業が楽です。覚えているところから書いていけばいいです。ただし、小さい頃のことは重要ですので、家族に聞いてでも書いてみてください。
できましたか?おっと、これで疲れてはだめですよ。大切なのはこれからです。
自分って変わらないですねえ <2nd Step>
じっくり自分年表を眺めてみてください。1日かけてもいいぐらいです。この自分年表はあなたのビジネスアイデアの宝庫です。眺めながら、考えていただきたいのはそれぞれの内容の「共通項」です。
重複しているキーワードや、想像するとわくわくするキーワードを見つけましょう。いくつでもいいです。少なくても3つは見つけてください。「車」「勉強」「ファッション」「旅行」、そんな感じでもOKです。そして、それぞれのキーワードから思い浮かぶ、業界や会社や仕事を挙げてください。例えば;
・ 「車」→ 「トヨタ」
・ 「勉強」→ 「学習塾」「大学」「通信教育」
・ 「ファッション」→ 「アパレル業界」「靴」「ジュエリー」
・ 「旅行」→ 「HIS」「航空業界」
最後に、それぞれの(1)足りないと思うもの、(2)あったらいいなと思うもの、(3)自分でできそうなもの、を挙げていってください。これらがビジネスアイデアのネタです。
なぜこれがビジネスアイデアのネタになるのか?理由は2つあります。
ひとつは、人は子供の頃の感情や経験をずっと引き継いでいるので、昔の興味や関心を探ることで今の自分の興味関心に改めて気づくことができるからです。カウンセリングでは、今の抱えている問題の原因を探る際に過去にさかのぼることがあります。時に子供の頃までさかのぼります。今の自分は、過去の自分の何かがきっかけで作られているという考え方。今の自分の興味や関心も、過去に何かのきっかけで生み出される場合がほとんどです。最初に出した、「重複したりわくわくするキーワード」は過去から継続している興味や関心のあるキーワード。「好きなことを仕事にする」にはこのキーワードが大切になるのです。
もうひとつは、「足りないな」とか「あったらいいな」という問題提起ができるのはそもそも興味関心があるからです。ビジネスアイデアの多くはこうした問題提起からでてくる。自分年表から自分の興味関心に気づき、問題提起をする、これが実は一番効率的かつ効果的な方法なのです。
「永遠のピーターパン」ではだめなんです
よくありがちなのが、自分の興味関心からビジネスアイデアが出た際に、そのまま「突っ走ってしまう」こと。
ちょっと待ってください。それでは子供の頃と同じです。そこから調査分析に入るのが「大人」。最低でも以下のことは調べましょう。
・ 市場規模
・ 競合他社
・ 顧客属性
・ 社会環境(法制度、規制等)
・ 収益モデル
調査分析の仕方は改めて書きますが、調べていくうちに、またさらにアイデアが出てきたりします。簡単にあきらめないでくださいね。方法はいろいろあります。「自分年表からのビジネスアイデア」は、自分の分身でもあります。粘ってみてください。
ちなみに、私がメンタルケアをビジネスにしようと思ったきっかけは「これからも金融の世界で生きていくのがいいのか」迷っていたときに何気なく作った「自分年表」でした。そのプロセスがなければ、今頃はまだ金融の世界で悶々としていたかもしれませんね。