- 目次 -
「ビジネスプラン」って言葉はよく聞くけれど・・・
「ビジネスプラン」というと堅苦しく聞こえてしまいますが、実はそれほど難しいものではありません。
「○○のビジネスをしよう!」
「××を△△に売りたいなあ」
これは立派なビジネスプランの一部です。ビジネスをしようとする場合、ほとんどのビジネスプランはあなたの頭の中にあります。
起業家サポートをしている中で、よく「ビジネスプランは書面に落とし込まないといけないものなのでしょうか?」という質問を受けます。
答えはYESでありNOです。「えっ、YESじゃないの!?」と思うかもしれません。はい、なくてもいいかもしれません。でも、ほとんどの場合はYESです。その違いはどこにあるのでしょうか。
基準は「人を巻き込むビジネス」かどうかにある
自分1人でビジネスを始めて、資金調達をせず、1つのものを販売していく。この場合はビジネスプランを書面にしなくてもやっていけるかもしれません。とにかく売れば自分は生きていけます。そこで必要なのは宣伝資料です。むしろビジネスプランを書面に落とし込む時間があったら営業したほうがいい場合もあるでしょう。
しかし実際には、銀行や投資家から資金調達をしたり、数人規模でビジネスを始めたりという場合が多いと思います。「第三者に自分が考えるビジネスを理解してもらう必要がある。」そんなときは、ビジネスプランの書面への落とし込みは必須です。口頭で話しても、相手はどんどん忘れていきます。しかし、書面で説明すれば相手の記憶にも手元にも残ります。社内に対しても同じことが言えます。「3人そろえば意見が合わなくなる」と言われるぐらい、人数が多くなるほどに各人の方向性はずれていきます。コンセンサスを持って同じベクトルでビジネスを行うためにも、ビジネスプランは書面に落としましょう。
相手が「前のめり」にならなければ意味がない
『人間は興味のある方向に引かれる』と言います。これは単に身体の向きだけでなく、身体そのものが興味を持っている方向にぐっと引き寄せられていきます。ゲームとか、本に夢中になっているうちに、いつのまにか画面や本に近づいていたという経験をしたことはありませんか。人に対しても同じなんです。心理学では「パーソナルスペース」という言葉があります。これは相手との「心地よい距離」のことを意味します。簡単に言うと、恋人との距離って近くないですか?よく知らない人がすぐ隣にいると、なんだか気になりませんか?
一般的には、仕事をするときに心地のよい距離は 120-360cm、恋人や家族とは45㎝以内と言われています。相手に対する関心度が近いほどに、「相手をもっと知りたい」と思い、距離がどんどん近くなっていく。相手のスペースに入り込み、相手もそれを受け入れる。だから親密になるほどに距離が近くなるのです。逆に、興味がなかったり、親密でない場合には距離はできるだけ遠ざけたいと思うのも人の心理です。「電車の座席は両端から埋まっていく」という話、ご存じですか?これはまさに「親しくない人とはパーソナルスペースをできるだけとりたい」という心理から生まれる行動です。
ビジネスプランも同じことです。興味を持つほどに姿勢が資料に近づく。話を聞いているうちに背もたれから離れてちょっと前傾姿勢になる。距離が近くなる。これが「前のめり」です。逆に、ふんぞり返ったままであれば、あなたのビジネスプランには興味がないのかもしれません。相手に伝えるだけでは不十分で、相手に「興味を持たせる」ビジネスプランを作り、伝えることがとても大切。
それが、「相手が思わず前のめりになってしまうビジネスプラン」なのです。相手を前のめりにさせて、「120cm」の壁を破りましょう。
あなたのビジネスプランに「前のめり」になるスパイスをのせて
あるお客さんが私のところにやってきました。ある事業を始めるに当たり、資金調達でいろんなところを回ったけれど一向に進まないので、どうしたらいいかという相談でした。回っているときに使っていたビジネスプランの資料を拝見したところ、事業概要を中心に記載されているだけのいたって不十分なものでした。一緒に「長坂流の前のめりになるビジネスプラン10ヵ条」に基づきビジネスプランを練り直しました。結果として、事業開始前にもかかわらず事業会社とVC数社から出資の内諾を取ることができました。同じ事業で同じ時期でこの反応の違い。それが、「相手の前のめり度」を変えるビジネスプランの作り方です。「前のめりになるビジネスプラン10ヵ条」は次回以降、実例を踏まえながら紹介していきますね。
あなたが書いたビジネスプランを他人に見せたとき、相手は前のめりになっていますか?