第2回 未来を切り拓く仕事とは?子供たちの成長に関われる「教育」という仕事

この記事はに専門家 によって監修されました。

執筆者: ドリームゲート事務局

教育ビジネスとは"未来を切り拓く"仕事

 「未来を切り拓く」という表現は大げさかも知れませんが、「将来のある子供たち」=「未来」と考えるとご納得頂けるかも知れません。
 ただ、筆者も現場(教室)で働いていると、目の前の子供たちの面倒(世話)で、実際はこんな事を考えている暇などありませんが…。
 「個別指導」という形態は、志望校合格や成績UPだけでなく、学校生活での悩み、友達関係の相談、家庭での悩み等、いろいろな相談に乗る場面があります。業界未経験だった筆者にとって、これは「塾屋」なのか「何でも屋」なのか、はっきり言ってわからない時もありました。ただ、いろんな話をしていると当然人間関係も近くなります。信頼関係が出来てきます。今でもその時の教え子たちの顔が浮かびます。
 その教え子達も今は社会人です。
 大企業で活躍する教え子、公務員として活躍する教え子、家業を継いだ教え子、さまざまな教え子たちがいます。
 また結婚をし、子供が出来た教え子もいます。
 こんな風に、かつては小学生・中学生・高校生だった教え子たちが立派に社会に出て行き活躍していく、まさに「未来を切り拓いていく!」、これを支える私たちの仕事も当然「未来を切り拓く」仕事だと実感しています。
将来を担っていく子供たちの成長に関われる素晴らしい仕事!これが教育業です。

「教え子たちとの思い出」~これが一番の宝物~

 「教え子たちとの思い出」これが筆者が大切にしている宝物です。

 「先生!約束どおり自衛隊に合格しました!航空自衛隊です!」
 その聞き覚えのある電話の声は、昨年受験に失敗した元塾生でした。

昨年の受験シーズンでは、彼は教室でも成績ワーストの受験生。
 合格圏まで到底届かない大学を受験すると、最初は見栄を張っていましたが、結局、作文と面接だけで入学できる大学に動きを変えていきました。受験生にもかかわらず入試の学力検査を受けること自体が嫌で、学力試験を受けないで(楽して)入学したいという生徒。高3の冬にも関わらず、教室の授業を休み、図書館で寝ている、何の切迫感も持たず、あわよくば誰かが自分をどこかの大学に合格させてくれるのではないかというような自己意識の低い生徒でした。
 昨年、何度、本人を面談室に呼び出して怒ったでしょうか。
 また母子家庭の忙しいお母さんなのですが、何度か懇談をし、受験は非常に厳しい旨、よくよくお伝えしました。お母さんはいつも私の前では「先生や塾のせいではありません。うちの子が悪いのです。私のせいです。」と言われていました。
 母親は家では厳しいと生徒本人から聞いていました。母親の蹴りが飛んでくるとの事ですが、それもやはり生徒本人の所業の悪さからくるものです。
 私が感心させられるのは、この生徒はこの微妙な年齢で、自分の所業の悪さで母親から蹴りが飛んでくるほどにも関わらず、お母さんには一切反抗せず、叱られるがまま過ごすのです。
 所業の悪さは改善されませんが、お母さんからの電話では「反省していると本人が言っています。」とよく聞きました。

私は母親もその叱られている息子の姿を、反対にいとおしく思っているのではないかと思っていました。息子がやる気を出さないことに対しては怒っているようではありますが、言葉の端々に、2人で支えあって生きていかなければならない覚悟が、そのお母さんからは感じることができました。
 私から見ればとても仲の良い愛情あふれる親子でした。

 受験が終わった後、お母さんは教室を訪れ、息子が受験に失敗したにも関わらずこの私に「先生。ありがとうございました。受験には失敗しましたが、先生は息子のことをよく見てくださいました。本当は私が見ないといけないところを私に替わってこの塾が見てくれていたと思います。あんな息子ですが、人の道を外さず、あの年になっても息子でいてくれることはこの塾に通っていたからだと思っています。本当にありがとうございました。」

 この生徒は、母親との相談で浪人することは許されず、「世のため、人のためになる仕事をしなさい。」ということで、素直に自衛隊を進路先に決め、その旨私に報告と、必ず行くと約束をしました。
 教室長という立場からはこの元生徒の学力も気になるところではあるのですが、あの所業の悪い生徒が自身や家族のために「楽をしない」道を選んだことが、私にとっては驚きです。私はあの愛情あふれるお母さんのもとだからこそ、自身の進路先を決意することができたのだろうと思っています。

 進路を決めた彼自身が一番喜び、またお母さんも喜び、また私にとっても、覚えていてくれたことやわざわざ報告して来てくれたことがとても嬉しい出来事であり、このような感謝と感動に触れさせていただけるこの仕事のやりがいを実感した出来事でした。

 人としての自己成長なくして仕事はないと思っています。逆も同様で、仕事が人としての成長を上積みするものと考えています。
 人以外に感謝や感動を持つ動物はいません。人だからこそ感謝感動ができ、感謝感動をつくることができ、また与えることができる。これら仕事を通じて創造し続けることが人としての成長の一歩なのではないかと思うのです。
 またよく言う言い方ですが、ビジネスでも「損得」ではなく「善悪」といった、人としての普遍的な感性を高めないと社会で生きていく上では人生に踏ん張りが効かないのではないか、と思うのです。

 社会にはあらゆる職業や仕事がありますが、こんなに直接的に響くこの仕事は珍しいのではないかと思います。
 今回の元生徒の母親が言うように元生徒には塾に「居場所」があったのだろうと思います。それが一年後の現在、今度はその元生徒が私の「居場所」(存在価値)を創ってくれたような気がします。

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ここにあります。

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