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教育の落とし穴
その昔、小学生のうちからパソコン教育を実施するという計画で、学校に多くのパソコンが導入されました。
しかし、困ったことが起きました。
まず、何をどのように教えるのかを伝えるテキストもありません。ましてやパソコンを教えることのできる教員もほとんどいません。そんな時代でした。
当時は一台20万円以上もしたであろうパソコンが教室で埃をかぶったままなんて言う事も珍しくありませんでした。
これが、教育の落とし穴です。
必要だと感じた時にはもう遅い。なぜなら、教える教員を育てることに数年かかり、教育の方法を確立し、子どもたちを教育していくまでには相当の時間を必要とします。
現在の世界情勢、テクノロジーの進歩。その速度に追いつくことは今の教育にはできないのです。特に、公教育に期待することは、現実的には難しい側面があります。
民間でしかできないことを民間で
「民間でできることは民間で」小泉改革の時の合言葉です。
今この時代こそ、このことが目先の不況から脱出し、そして将来の不況を回避するキーワードとなります。
子どもたちにとって
・将来必要な力は何か
・それはいつの時代も変わらないものか
・無駄のない方法で身に付けられるか
・それは人々を幸せにできるものか
・それは自分を幸せにするものか
民間だからこそ、いち早く対応し、子どもたちひとりひとりにあった方法を提案できます。
ビジネスありきではなく、日本の将来のため、子どもたちのために考え抜いた者がその熱意に対しての報酬を受ける。本来のビジネスの形がここにあります。
公教育は大きく変わらない。しかし民間ならすぐに変化に対応できる。
今、そこにビジネスチャンスがあると強く感じています。
少子化が進む日本
教育ビジネスはチャンスということを述べてきましたが、「少子化によって市場が縮小しているのでは?」というイメージを最初に持たれる人が多いのではないでしょうか。
確かに出生率においては、2005年度に統計をとって以来最低の1.26人を記録し、ここ数年で少し回復傾向にあるものの、2010年度で1.39人となっています。人口を維持するための出生率は2.07人とされている中で、深刻な少子化が進んでいることは事実です。
しかし、このような環境下でも学習塾市場としては下記の規模で推移しています。
学習塾全体売上高 平成16年10,210億円 → 平成22年12,631億円
※学習塾白書(私塾界)の調査より
少子化が進んでいるにも関わらず、市場規模が維持している要因は、子ども1人にかける補習教育費(学校教育以外にかける費用)が増加傾向にあるからです。
子ども1人あたり補習教育費の増加の背景
まず、第一に、現代の幼児から小中学生の子どもを持つ親の世代は、親自身が子どもの頃に学習塾に通った経験もある中で、夫婦共に高学歴の親が多いこと等から、我が子への将来の期待も高く、教育投資する世帯が増加していることが上げられます。
また、私立小学校受験や小学校の英語授業必修化、中高一貫校の人気なども、熱心な世帯を増加させています。
第二の背景としては、やはり学校教育(公教育)への不安です。
2002年度の学習指導要領改正で学校の学習内容が大幅に削減され、いわゆる「ゆとり教育」により、学校教育(公教育)への不信感が増大した中で、学習塾(私教育)への関心が一気に高まりました。
今度は逆に「ゆとり教育」からの脱却することを目的とした、2011年度の小学校、今年2012年度の中学校、2013年度の高校の学習指導要領改正で、我が子が学校の授業についていけるかどうか等の不安も増大している状況が考えられます。
その証しとして、学習塾へ通う率(通塾率)も増加しています。
【通塾率】
小学生 1年15.9% 2年19.3% 3年21.4% 4年26.2% 5年33.3% 6年37.8%
中学生 1年45.1% 2年50.9% 3年65.2% 高校生 全学年平均約20%
※文部科学省「子どもの学校外での学習活動に関する実態調査」より
少子化の環境がかえって、親の子どもへの愛情の集中と将来への期待、学校教育への不安などから、教育熱心な親が増えている事によって市場縮小に歯止めをかける結果となっています。
その結果として、学習塾の事業所数はビジネスである以上市場原理としての勝敗やM&Aがあるものの、減っていません。
【学習塾の事業所数】 平成16年 49198事業所 → 平成21年 51726事業所
※総務省「経済センサス」より
「少子化」の現実がある中でも、このような市場環境で教育ビジネスへの参入の可能性を見出すこともできるのです。