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やはりそうか!
ここまでの前フリで、どのようなことになってい たかは、ある程度予想できますでしょうか?
そう、債務者のうち2名の個人については、なんと偽名が使われていたのです。
たまたま預かった債務者の名刺に記載されていた住所が私の事務所の近くでしたので、一度現地を見てみようと思い訪問することとしました。しかし、 実際にそこにあった名前は、名刺の名前とはまったく違うものでした。引越ししたのか、最初から偽名だったのかは定かではありません。これでは、文書による 督促は不可能だと考えて間違いありません。
たまには、あなたの住所に間違って郵便物が入っていることはあるかもしれませんが、常識的にまったく違う宛名のポストに郵便局員が配達することは まずないでしょう。郵便物が適正に届かないことを意味します。
完全にやられました。もちろん呼び鈴を鳴らしてみて、その家の人に確認するという方法もありましたが、とりあえずその場は退散しました。私が債務 者の顔を知らなかったからです。「そのような人は知りません」などといわれてはどうしようもありませんから。
取引相手の存在確認と信用調査
これは一つの教訓です。ご自身の商売に当てはめてください。お金を返してもらえると思っていた人は存在せず、売掛金は完全に焦げ付いてしまうこと となるのです。「いったい誰と商売していたのでしょう?」ということになってしまいます。
まだまだ大きい会社に限ったことかもしれませんが、あなたが新規に商売を始めるとき、相手から法人であれば登記簿謄本、個人であれば住民票の提示 を求められた経験があるかもしれません。とりあえずは、相手が本当に存在するのかどうなのかを確認する作業なのです。
商売の規模によっては決算書の提出を求められることもあるかもしれません。当然にあなたの会社の財務状況を見ているのです。
逆に考えれば、あなたが新規に取り引きを考えている相手からは、これらの書類を集めておいたほうがよいということとなります。契約書が作られてい たとしても、大前提として相手が実在しないものであれば何の意味も成しません。今回のように常習犯という人もいます。最初から相手をだまそうとしている人 も多いのです。もしも、どうしても取り引きしたいという相手であればこれらの書類は要求すれば出してくるものです。
その取引相手は今後も取引していいのかどうかを見極めよ
上で述べているとおり、本当に今後もよい関係を築こうという者であればキチンと支払いはするものです。売掛金・未払金の催促に応じない、または話を はぐらかせるというような場合、その相手はあなたを適当な取引相手とは見ていません。
その他の債務者や時効については、また次回とさせてください。