一方で、倒産のリスクや、訴訟のリスクなどビジネスはさまざまなリスクをかかえており、これらのリスクをビジネスリスクといったりします。ビジネスを継続的に成功させるためには、ビジネスリスクを把握し、それに事前に対処したり、事後的にフォローしたりすることが重要になるのです。ビジネスリスクは多岐にわたりますが、会計に関する部分はおいおいお話していくことにし、今回は「儲ける」とはどういうことなのか「売り上げ」と「利益」の点から整理しておきましょう。
- 目次 -
売り上げと利益の違い
経営者はビジネスによって儲けていかなければなりませんが、「儲ける」ためには、「売り上げ」と「利益」という発想が重要になります。「売上目標」「売り上げを伸ばす」といった言葉に代表されるように、日本では儲ける=たくさん売り上げるという考え方が主流であるように思われます。それは誤りではありませんが、売り上げはあくまでも利益の源。売り上げ以上の経費がかかれば、儲かるどころか、損をしてしまうことになります。すなわち・・・
売り上げ-経費=利益
であり、利益こそが、本当の儲けになるのです。そのため、儲けについて考えるためには、「売り上げ」と「利益」を区別して考え、究極的には利益を上げることが「儲ける」ことだという理解が大切です。
利益は損益計算書発想で整理する
ところで、売り上げから経費を差引くと利益を計算することができますが、経費にはさまざまなものがあります。たとえば、商品の仕入原価、事務所の賃料、水道光熱費、人件費、通信費などなど。考えるときりがありません。
そのため、「利益」と言っても、商品の仕入原価を差引いたいわゆる「粗利」なのか、人件費や賃料を差引いた後の利益なのかで、「利益」の意味はまったく異なってきます。そうなると、たとえば、「利益を増やす」という目標を立てても、そのために、売上を伸ばすべきなのか、仕入原価を下げるべきなのか、人件費をカットすべきなのか、焦点がぼやけてしまいます。
そこで、経費を種類別に整理し、その上で利益を考えるとわかりやすくなるのです。具体的には、損益計算書で計算される5つの利益概念を利用すると、ビジネスの業績を正しく把握し、それに対する適切な対処ができるようになります。
1番目の利益「粗利」
損益計算書では、まず、売り上げから商品の仕入原価を指しい引いて利益を計算します。これはいわゆる商品の「粗利」であり、損益計算書では「売上総利益」という名前がついています。粗利は、その商品が持つ最大の利益を意味していますから、この粗利以上の利益を得る事はできないと言うことになります(資金運用などで儲けた場合は別ですが)。
そのため、ビジネスにおける儲けを考えるときには、まず、この「売り上げ」と「粗利」を把握することが大切で、商品を1つ売り上げると(サービスを1つ提供すると)いくらの利益になるのか、大体の金額を理解しておくことが大切です。