やさしい企業会計 Vol.09 損益分岐点を把握して、利益を出す仕組みを作る

この記事はに専門家 によって監修されました。

執筆者: ドリームゲート事務局
これまで、損益計算書の5つの利益の発想でビジネスを理解することで、儲けるとはどういうことか、儲けるために必要な経費にはどのようなものがあるのか、という全体像を把握することができる点について説明してまいりました。 経費を正しく把握し、どのくらいの売り上げがあがると、どのくらいの利益になるのか、その感覚をつかんでおくことが重要ですが、その際に、5つの利益のほかにもうひとつ、役に立つ考え方があります。 それが「損益分岐点」です。

損益分岐点とは

 損益分岐点とは

売上 - 経費 = 0

になる点をいい、その場合の売上高を「損益分岐点売上高」といいます。この損益分岐点売上高を把握していれば、それ以上の売り上げがあがれば利益になりますし、それ以下であれば損失になるという金額を認識することができるのです。

 つまり、最低限それだけの売り上げがなければ儲からない、ということになります。

 

変動費と固定費

 ところで、この損益分岐点を把握するためには、ビジネスに必要な経費を大きく2種類に分類する必要があります。売上原価であるとか販売費および一般管理費という、損益計算書の発想による分類ではなく、すべての経費を売り上げとの関係から2つに分類するのです。

 ひとつは、売り上げの多寡に関係なく発生する「固定費」です。例えば、事務所の家賃は、儲かっていても儲かっていなくても一定額必要になるでしょう。その他、完全歩合給ということでなければ、従業員に支払う給料も、売り上げの多寡に関わらず、一定額が必要になるでしょう。このように、売り上げがあろうとなかろうと一定額発生するような経費を「固定費」といいます。

 もうひとつは、売り上げに比例して発生する「変動費」です。例えば、商品の仕入原価や商品を発送する際の宅配料金は、商品を売り上げなければ発生しません。このように、売り上げに比例して発生するような経費を「変動費」といいます。

 もちろん、実際のビジネスで必要になる経費の中には、「固定費」と「変動費」という線引きが難しいものもありますが、大雑把に分類するとどちらになるか、という意識を持つ事は非常に重要です。

 

損益分岐点

 経費を固定費と変動費に分類できると、損益分岐点を把握していくことができます。

 例えば、商品を1個100円で売ることを考えましょう。この商品の仕入原価や発送費用などの変動費が 1個あたり70円かかるとします。また、人件費が100,000円、事務所の家賃が140,000円のとき、損益分岐点はどうなるでしょうか。

 

 売り上げ 100円×販売数量

 -変動費 70円×販売数量

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 限界利益 30円×販売数量

 -固定費 240, 000円

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  最  終  的  な  利  益

 

 金額のデータを整理すると、売り上げと経費と利益の関係を上記のように示すことができます。そうなると、利益がゼロになるポイントは、固定費と限界利益が同額になる点であり、逆算すると商品を8,000個分、800,000円の売り上げが損益分岐点であると言えるわけです。

 この損益分岐点を把握しておくことにより、利益を出すためには、どれだけ頑張ればいいのか、どれだけゆとりをもった売り上げを実現できているのかがわかるのです。

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