- 目次 -
どの町にもある小さな文房具屋
町の商店街や、ちょっとした路地裏にある小さな文房具屋 さん。都会には大きな文房具屋やデパートなどのテナントで大手の雑貨屋さんが文具売り場を充実させていますし、普通に考えたら容易に生き残っていけなさそ うな業界です。しかも、あまりきれいな陳列をしているわけでもないし、至って普通の売り方で、あまり商売っ気も感じられません。
通信販売にも大きな打撃を受けているはず
会社を作ったらまず大手の文具通販会社のカタログを 送ってもらうのは当然になってきています。しかも、文具だけでなく飲料やトイレットペーパー、さらにはプリンターや家具まで買える便利なものです。使うご とにポイントがたまるのも楽しみですし、FAXだけでなくインターネットでも気軽に発注ができます。しかも、驚くことに次の日にはほとんどのものが届いて しまうというスピードの早さです。
いったいどうやって町の 文房具屋さんは生き残っているのか
実は、ある大手通信販売の会社はこういった町の文房具屋さんなどが代理店になっていて、代金の回収を 行う仕組みを持っていたりするのです。自分のお客さんがカタログを見て通販で買ってくれればそれだけお金が儲かるという仕組みです。しかも、町の文房具屋 さんには学校や行政などに卸すルートを持っているところが多く、ある意味では、小さなお店であまりがんばらなくても勝手に儲かる仕組みが構築できているの です。
例えば、文房具屋さんはまず商品を仕入れてお店に並べてから販売して代金を回収するというように非常に長い期間お金が眠ってしまい ます。しかし、基本的に地元密着なので取引相手の信用情報はすぐに入手できます。一方で大手通販会社はそのような信用情報を大量に入手するのは大変ですの で、大きな貸し倒れリスクを負うことになります。もし、町の文房具屋さんに代金の回収を代行してもらえば、大幅にリスクを低下させることができて、お互い ハッピーなのです。なかなか一般の人は気がつかないですよね。
これをどう経営に活かすか
自社だけの力ですべてをそろえようとすると大量のお金と長い時間がか かってしまいます。もし自分にないものを持っている人がいればどんどん提携してお互い儲ければいいのです。町の文房具屋さんは大量の在庫を抱えて、かつ店 舗を持たないと商売ができないため、商品の回転も悪く、単価も高めに設定せざるを得ません。まともに大手通販会社と戦ったらひとたまりもありませんが、そ の反面、地元で古くから商売をしているため、優良な取引先も多く、売掛金の回収も比較的スムーズです。大手通販会社は商品の回転もよいし店舗もいらないの が強みですが、お客様の顔が見えないので貸し倒れのリスクが高いのと新規顧客を開拓する広告宣伝費がネックになります。いい組み合わせだと思いませんか。
このような発想で店舗型の商売と無店舗型のインターネットなどの商売は非常に相性がよいようです。もし自社が両方から儲けられるようになっていれば、どん なに見た目が悪くても時代の流れに取り残されずにきちんと生き残っていくことができるのです。
あなたの会 社の財務諸表から強みと弱みを分析し、それとまったく逆の構造を持っているところがあれば提携のチャンスかもしれません。会計帳簿はつくることに意味があ るのではなく、使いこなしてこそ初めて価値を持つのです。