企業会計 Vol.14 なぜあのまずいラーメン屋は潰れないのか

この記事はに専門家 によって監修されました。

執筆者: ドリームゲート事務局
あなたも一度はま ずいラーメン屋に入って「金返せ!」と思ったことがあるのではないでしょうか。しかし、そんなラーメン屋なんてすぐに潰れてしまうと思うのですが、まずい はずなのになぜかいつもお客が入っているラーメン屋が実際に存在しています。何か儲かる秘密があるのでしょうか?

二度と忘れない「あの味」

 よい意味で印象に残るおいしいラー メン屋さんもある一方で、平均的なラーメンの味のレベルを大きく下回り、悪い意味で記憶に残ってしまうラーメン屋さんがあるのも事実です。実際に私が体験 したのは、味噌ラーメンだったのですが、あまりダシのきいていない味噌汁に少しのびたような麺が入っていて、申し訳程度にもやしがのっているという代物で した。がんばって食べましたが損したような気持ちは残ったままです。15-1

 一度オーダーしてしまったため、お金を払わないというのも難しいと思い、きちんと代金を支払いつつ「二度と来る か」と悔しい思いをしてその店を後にしました。

 しかし、すでにつぶれていると思っていたそのラーメン屋の前を1年ぶりぐらいに通ると、ま だ営業しているのです。しかもお客様がちゃんと入っているではないですか。そういえば以前もお客さんがちゃんと入っていたので「まずくはないんだろう」と 思って入った気がします。商売はきちんと利益を出していかないと継続することができないので、きっとつぶれない理由があるはずだと思い、ちょっと調べてみ ることにしました。

 

売り上げはどうやって確保しているのか

  当然売り上げが上がらなければ商売は継続できませんので、きちんとお金を払ってくれるお客がいることが重要です。そのラーメン屋さんは、ある地方の神社の 近くに位置しているので、ある程度人とおりが多いところにあります。立地がよいというのは一つの重要なポイントのようです。とはいえ、一度入った人がリピー トで食べに来たり、お友達を連れて食べにやって来るということがないだろうということは容易に想像できます。

 よく考えてみると、そもそも その神社に来る人たちは月に何度も来るということはなく、リピート客を狙うこと自体がもともと難しい立地だったのです。

 

立地がよいと経費がかさむのでは

15-2 確かに、よい立地のお店は家賃が高いことが多いようです。しかし、経費はそれだけではありません。立地がよいことで広告宣伝費が かからないのであれば総合的には安くなるかもしれません。

 しかも、そのラーメン屋さんは内装や食器にお金をかけているわけでもなく、アル バイトも使わず、出前も一切せず、年老いた夫婦だけで経営しています。さらにもともと高い食材を使っているわけではないと予想できるので、実は非常に経費 が安く済ませられているようなのです。

 

まずいラーメン屋から学ぶ儲かる会計の法 則

 大変な労力をかけてさまざまなラーメンを食べ歩き、高価な食材を使って究極の味を実現するために努力を続けているラーメン屋さんもい るなかで、そのラーメン屋さんがきちんと利益を出しているということは、やはり「何でもいいから空腹を満たしたい」というお客様のニーズをきちんと満たし ていると言わざるを得ません。誰も気づかない市場の隙間を見つけることができれば、お客様の最低限のニーズを満たしながら、過剰なサービスを削減して経費 を切り詰めることは理にかなった行動なのかもしれません。ことさら会計面から見てみると、売り上げが減らないのであれば、経費を削減することによって利益 はもっとも大きくなります。

 ラーメンに関して言えはもう少しおいしいものを食べたいとは思いますが、別の業種にとっては意外に学ぶことが多い ようです。

 

 商売はこうあるべきという一般論だけで考えているとついつい見落としがちになってしまう点が 出てしまいますが、会計上の数字にしてみて初めて気づくこともあります。数字が苦手と思って敬遠していると、実はいろいろと失っているものがあるかもしれ ませんよ。

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