企業会計 Vol.19 なぜ、あのラーメン屋は値上げしてもお客が減らないのか

この記事はに専門家 によって監修されました。

執筆者: ドリームゲート事務局

最近飲食店での値 上げが多くありませんか?確かに小麦粉などの材料が値上がりしたとか、水道光熱費が高いなど経営が大変なのでしょうけど、本当のところはどうなっているの でしょうか。

突然値上げしますという張り紙が

 今や国民食ともいわれるラー メンですが、一週間のうちに一食も食べないということはあり得ないというぐらい多くの人が食べています。味やトッピングもさまざまですし、お店の数も比較 的多いので、あまり飽きるということがないというのも魅力なのかもしれません。18-2

 しかし、最近「値上げします」という張り紙を多く見かけま せんか?ラーメン屋さんに限ったことではないですが、外食関係の値上げが非常に多くなりました。

 

 

 

値段が上がるとお客が減るしくみ

 そもそも、値上げをすれば、他のお店にお客さんが流れてしま い、売り上げが大きく減少してしまうはずです。そのため、「たとえお客が減ってしまっても赤字は出せない」という切羽詰まった状態まで値上げをためらうお 店が多いのも事実です。原材料の高騰でコンビニの弁当や、カレーライス、そばやうどん、ファーストフードなどにお客が流れてしまえば、業界自体が大打撃を 被ってしまうということすらあり得ます。

 

値上げ後でも相変わらずの行列が

 でも、よく見てみてください。値上げに踏み切ったお店のお客さんの数があまり減っていないのです。そもそ も見に行っている私自身も以前と変わらず、同じお店で食べているわけで、すでに以前の価格を忘れてしまっていたりもします。

 まわりの飲食 店が軒並み価格を上げてきているということや、原材料や原油価格が上昇しているということはニュースなどで耳にしていますし、ある程度の値上げも仕方ない かなという雰囲気すら感じます。今後厳しくなるのは家計だけなのかもしれません。

本当のところはどうなの

 実は、会計の面から考えると、いろいろなことが見えてきます。ラーメン 屋の原価率を考えると、小麦粉の値上がりの影響を受ける麺のコストなんて数十円、全体の原価率を考えても3割~4割程度かと思います。それに対して、案外 多いのは人件費。見ていてわかるとおり、あの熱い湯気の中で長時間もの重労働です。やめる人も多いので時給も上げなければいけないし、採用や教育のコスト もバカになりません。20_2

  つまり、1杯数十円~百円以上の値上げに踏み切るところは、いままで我慢していた人件費のコスト増を含めた値上げを行っているということがわかってきま す。これは原材料などの値段が上がってきて、世間的に値上げを許容する雰囲気があるときに値上げしてしまおうという世渡りの知恵だったわけです。

コメント

 会計がわかるといろいろなことが見えてきます。価格設定は利益に直結しますので、普 段から、まわりの商品やサービスがどういう原価構造になっているか考えてみるとおもしろいことがわかってきますよ。とはいえ、ついつい煮卵や替え玉を頼ん でしまうのですけど。

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