未曾有の不景気の世の中、なりふり構わず会社の存続だけを考えて経営している経営者が増えています。
このままではいずれ立ちゆかなくなることはわかっているのに、返済の見 込みのない借入に頼ったり支払いを遅らせたりと、生き続けるための目先のお金しか考えられない経営、こんな経営を“ゾンビ経営”といいます。
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利益率
例えば、「定価から20%値引きする代わりに即金で購 入してもいいですよ」というお客さんが現れたとします。これは、そもそも翌月の末日入金であればいつもどおり定価で売れるはずのものを2割引きで販売する のかどうかという選択の話です。
普通に考えればあり得ない話ですが、たとえほとんど利益が出ないことがわかっていたとしても目先の資金のためにやむに やまれず現金売りに飛びつく経営者がいるのです。例えばいずれ100万円入ってくるにもかかわらず、1ヶ月早く現金がほしいために80万円で販売する事に なりますので、逆から考えれば、80万円が1ヶ月で100万円に増えるのと同じ効果です。これは80万円×1.25=100万円なので、月利25%(年利 換算で、25%×12ヶ月=300%)の超高金利の借入をしたのと同じ経済効果です。普通の企業にとってこれだけの利益率を稼ぐのは至難の業。会社が立ち ゆかなくなることが目に見えています。
でも飛びつく経営者は多いのです。不動産の投げ売りなとはこの一例です。
損失の垂れ流し
資金繰りが厳しいといいながら、会社の格があるとかで高級なオフィスビルに入っていたり、長く勤めているというだけで能力のない 管理職に多額の給料を払っていたり、必要がないのに長いつきあいだからということで切れない取引先があったり、しまいには友達に泣きつかれたからといって 会社のお金を貸し付けたにもかかわらず、案の定返済がないなど、このままではダメだとわかっているのに自らを変えられないのんきな会社は数多くあります。
今までどうにかなっていたからといって奇跡が起きることはありません。早く対処しないと、知らず知らずのうちにお金に飢えたゾンビになってしまう危険があ ります。
不正
のどから手が出るほどお金が欲しい会社は、しだいに不正に手を染めるようになります。決算書 の粉飾や、脱税では飽きたらず、賞味期限の改ざんや、原材料表示の改ざんなど悪事を数え上げればきりがありません。
ここまで来ると、顧客のこと はそっちのけで、会社の存続のためなら何でもするゾンビのできあがりです。こんな会社は早くつぶれてくれた方が社会のためです。
出血を止めて将来を見据えた経営を
ゾンビにならないためには、まず出血を止めることが先決で す。この際見栄やおつきあいは不要です。今までのやり方がダメなことは決算書を見ればはっきりしていますので、とにかく早く決断して、一刻も早く損失の拡 大を防止しましょう。
そのうえで、きちんと顧客のニーズを満たすために経営資源を集中し、長期的により役に立てるための努力をするのです。お客 様の役に立つから、はじめて会社が存続できることを忘れてはいけません。
まわりにゾンビがたくさんいる現状で、きちんと経営をしている会社は光って見えます。不況の時期は、会社を強く して業績を伸ばす絶好のチャンスでもあるのです。もし、顧客そっちのけでお金のことだけを考え始めていたら、ゾンビのことを思い出してみてください。