- 目次 -
30万円未満の減価償却資産の特例とは
この制度は、取得価額が30万円未満である減価償却資産を平2008年3月31日までに取得して事業のために供した場合には、一定の要件のもとに、その取得価額の全額を経費として計上できるというものです。
今までも、10万円未満の減価償却資産は取得時に全額経費に計上することができるという制度(少額減価償却資産の特例)や、また、10万円以上でも20万円未満なら一括して3年間で償却できるという制度(一括償却資産の特例)はありましたが、この制度では、取得時に経費に計上できる範囲が30万円まで拡大されます。
通常、減価償却資産を取得しても、購入時に全額経費にすることはできず、減価償却と呼ばれる手続きによって複数年に渡り費用化されます。しかしこの特例を使うと、取得時に全額経費に計上できるため節税となります。
誰でもこの特例を使うことができるのか
この特例の対象となる事業者は、「青色申告」を選択している「中小企業者」に限られます。「中小企業者」とは、資本金が1億円以下の法人や従業員が1000人以下の個人事業者を指すので、起業したての会社や個人事業者ならほぼ該当するでしょう。ただし、「青色申告」を選択していない場合(いわゆる白色申告)は適用できませんのでご注意ください。
どのような資産が対象となるのか
取得価額が30万円未満の減価償却資産であるなら、器具および備品や機械・装置などの有形固定資産のほか、ソフトウェア、特許権、商標権などの無形固定資産も対象となり、また、新品での購入に限らず中古資産であっても対象となります。
ただし、1年間(法人の場合は1事業年度、個人の場合は1暦年)の取得価額の合計が300万円を超えるときは、 300万円までが限度となります。
取得価額の判定はどのように行うのか
取得価額が30万円未満とは、29万 9999円以下のことを指し、消費税を込みで判定するのか抜きで判定するのかは、取得した事業者が適用している経理処理方法(税込経理方式or税抜経理方式)に応じて判定します。
なお、この取得価額は通常一単位として取り引きされるその単位ごとに判定します。例えば、デスクトップパソコンなら、通常は、本体、モニター、キーボードの一セットで取り引きされるものですから、一セットで30万円未満になるかどうかで判定します。
税務申告に当たって何か注意することはあるか
この特例を受けるためには、事業の用に供した事業年度(個人事業者の場合は、事業の用に供した年)において、その取得価額を経理上、費用に計上するとともに、申告書に明細書を添付して申告することが必要です。
アドバイス
パソコン、プリンター、電話機などのOA機器や、店舗用のちょっとした什器、備品などは、おおよそ30万円未満で買うことができます。また、多少高額な固定資産でも中古で買えば30万円未満で購入可能なものもあるでしょう。29万円で買う場合と、31万円で買う場合とでは、税制上大きな違いがあるので、設備投資を意思決定するに当たっては、このような税制上の特典を意識しながら、「いくらで買うのか」ということに注意する必要があります。