ChatGPTの登場により、急激に生成AIが普及したため、「生成AIをビジネスに活用するためにはどうしたら良いか?」というご相談をいただくことが増えてきました。
皆様も様々な活用方法を検討されていると思いますが、今回は「ChatGPTを活用した事業計画書の作成」にチャレンジしてみました。
やってみてわかったのは、ChatGPTだけで完結させようとすると逆に事前の準備が面倒になってしまうということ。
ですが、一番面倒な部分はサクッと出力してくれました。
また、ChatGPTが苦手な数値計画はドリームゲートのサポートツールが利用できます。
一度、この機会に事業計画書に挑戦してみてはいかがでしょうか。
- 目次 -
そもそも事業計画書とは?
事業計画書というと、融資や補助金の申請で必要に迫られて書くという方が多いのではないかと思います。
一人で書くとなると、非常に面倒な事業計画書ですが、事業のビジョン、市場分析、製品やサービスの詳細、販売戦略、財務計画、リスク管理戦略など、事業の全体像を整理するための資料ですので、事業の道しるべとして一度作ってみることをオススメします。
事業計画書の主な目的は、内部の意思決定を支援し、外部の投資家やステークホルダーに対して事業の価値提案と実行能力を伝えることですので、以下の12の要素が必要だと言われています。
- 事業の背景と目的
- 事業の内容
- 市場環境
- 競合優位性
- ビジネスモデルの検証
- マーケティング計画
- 事業目標
- 収支計画 (売上・利益計画)
- 資金計画
- 想定リスクと対応策
- 今後のスケジュール
- 代表者経歴・会社概要・連絡先
これらの要素を含む事業計画書を作成することで、事業の目的や手段、理念や将来ビジョンなどの「企画」と売上や経費など数値の「計画」を具体的に「見える化」することができます。
各項目の詳細は下記の記事で解説されていますので、ぜひ、合わせてご覧ください。
しっかりとした事業計画書は、事業の成功を確実にするためのロードマップとして機能します。
明確な事業計画書を作成することで、事業の目標達成に向けた具体的なステップの理解とチーム内の意思統一を図り、外部の資金提供者に対して信頼性と専門性を示すことができます。
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ChatGPTは事業計画書がつくれるのか?
イチから作ると面倒な事業計画書ですが、ChatGPTなどの生成AIのおかげでかなりラクに作れます。
今回はChatGPTでの事業計画書作成をテーマにした記事ですが、ChatGPTなどの生成AIは以下のようなことにも利用可能です。
- レポートやプレゼン資料の作成や要約
- メールやチャットの返信や文章校正
- ブログやSNSの投稿や記事執筆
- アイキャッチ画像の生成
- マーケティングや広告のキャッチコピー作成
- 英語の動画に日本語の字幕を自動的に付与
- プログラミングやエラー解決
- テキストからマニュアル動画を生成
- 動画のイメージに合うオリジナルBGMを生成
様々な生成AIが発表されており、動画や音楽なども作成できるようになっていますので、文章以外の利用法にも色々と挑戦してみてください。
様々な利用法のある生成AIですが、ChatGPTは特に文章の作成が得意な生成AIです。
ChatGPTを利用した文章作成の質を上げるポイントは、専門用語の活用です。生成AIは人間と違って、専門用語が得意です。どんなに難解な理論やフレームワークでもAIは事前学習によって正確に把握しており、うろ覚えということがありません。そのため、出力したい内容に合った専門用語がある場合は、その専門用語を使うことで、改めて条件を指定することなく、短い指示でも必要な項目を網羅した出力が行われるため、成果物の質を高めることができます。今回の事業計画書を書く際にも、事前に理論やフレームワークを指定した出力をおこなっておくことで最終的な出力結果の質を飛躍的に高めることが可能です。
以下は、事業計画書作成において特に役立つ理論ですので、ご自身の事業で不足している項目を補う場合など、必要に応じて使ってみてください。
- ビジネスモデルキャンバス:事業のキーパートナー、キーアクティビティ、価値提案、顧客関係、顧客セグメント、収益の流れ、コスト構造など、9つのビルディングブロックを通じてビジネスモデルを視覚化します。
- SWOT分析:Strengths(強み)、Weaknesses(弱み)、Opportunities(機会)、Threats(脅威)を分析し、事業の内外部環境を評価します。
- PEST分析:Political(政治)、Economic(経済)、Social(社会)、Technological(技術)の各要素を分析し、マクロ環境の影響を評価します。
- ポーターの五力モデル:業界の競争環境を、新規参入者の脅威、代替品の脅威、バイヤーの交渉力、サプライヤーの交渉力、既存競合企業間の競争の5つの力で分析します。
- バリューチェーン分析:企業が価値を創造する内部活動を、主要活動と支援活動に分けて分析します。これにより、競争優位を生み出す要因を特定できます。
- アンゾフの成長マトリックス:市場浸透、市場開発、製品開発、多角化の4つの戦略を通じて、成長機会を評価します。
- ブルー・オーシャン戦略:競争の激しい既存の市場(レッドオーシャン)を避け、競争が存在しない新しい市場(ブルーオーシャン)を創造する戦略です。
- リーンスタートアップ:MVP(最小限の機能を持つ製品)を早期に市場に投入し、顧客フィードバックを基に製品を継続的に改善していくアプローチです。
- カスタマージャーニーマップ:顧客が製品やサービスとどのように相互作用するかを理解し、顧客体験を最適化するためのツールです。
事業の構想から具体的な計画へとアイデアを落とし込む過程で、フレームワークを活用すると、市場分析、戦略策定、リスク管理などのさまざまな側面を考慮することができ、事業計画にも厚みが出ます。
これらの理論やフレームワークを活用することで、事業計画書の各セクションをより深く、戦略的に検討することができます。それぞれの理論は事業の特定の側面に焦点を当てていますが、これらを組み合わせることで、包括的で実行可能な事業計画を作成することが可能になります。
事業計画書をChatGPTでつくってみた
では実際に、ChatGPTを使って、事業のアイデアから事業計画書の各セクションをどのように構築するかをご紹介します。
アイデア段階から事業計画をつくるときに、最初に指定したいオススメのフレームワークがビジネスモデルキャンバスです。
たとえば、マイナーな資格の取得を支援する問題集サイトをビジネスとして始めたい場合であれば、下記のような指示をしてみてください。
指示1:
中小企業診断士の資格取得を支援する問題集サイトをビジネスとして始めます。
ビジネスモデルキャンバスを構築してください。
するとこのように、ビジネスモデルキャンバスのフレームワークに沿った9つの項目に分けて要素を返してくれます。
次に下記の指示をしてみてください。
指示2:
上記をもとに事業計画書の下記の項目を出力してください。
1:事業の背景と目的
2:事業の内容
3:市場環境
4:競合優位性
5:ビジネスモデルの検証
6:マーケティング計画
7:事業目標
8:収支計画
(売上・利益計画)
9:資金計画
10:想定リスクと対応策
11:今後のスケジュール
このように簡単な指示を与えるだけで、ChatGPTの無料版でも簡単に事業計画書の雛形を作成することができます。
1:事業の背景と目的
背景:
中小企業診断士資格は、経営者やビジネスパーソンにとって重要な資格の一つであり、取得することでキャリアアップやビジネススキルの向上が期待されます。しかし、この資格取得には高い合格率や豊富な知識が必要であり、そのためのサポートが求められています。
目的: 中小企業診断士の資格取得を支援する問題集サイトを通じて、受験者が効率的に勉強し、合格率を向上させることを目指します。
2:事業の内容
中小企業診断士の資格取得を支援する問題集サイトの運営。
質の高い問題集と解説の提供。
ユーザーの学習スタイルやニーズに合わせたカスタマイズされた学習体験の提供。
3:市場環境
中小企業診断士資格取得を目指す人の需要が高まっており、市場は拡大傾向にある。
教育・資格取得支援市場はオンライン化が進み、eラーニングプラットフォームの需要が増加している。
4:競合優位性
質の高い問題集と解説の提供により、ユーザーに高い満足度を提供する。
実際の試験に近い問題形式や定期的な更新により、受験者の合格率向上を支援する。
以下略 〜
実際にChatGPTでやりとりした結果はこちら
https://chat.openai.com/share/9d2a29e4-ed0d-4c32-91f8-063758efb058
あとは出力内容をドリームゲートが配布するテンプレートに転記いただければ、立派な事業計画書の完成です。
このときのポイントは、適切な専門用語を使うことと指示を分けることの2つです。
有料版のChatGPTであれば、下記のように1回の指示で事業計画書を作成してしまってもある程度の質で出力されるのですが、できれば段階を分けて指示した方が能力を最大限に引き出すことができます。この点は人間と同じで、面倒でも段階を踏んだ方が1度目の出力を条件として意識した出力になるため、内容の質が向上します。
また、今回はビジネスモデルキャンバスのフレームワークをChatGPTに一度構築してもらい、すぐに2つ目の指示で事業計画書の12項目を出力してもらっていますが、2回に分けることで、ビジネスモデルキャンパスの内容を確認することができます。もし修正点があれば、この段階で追記修正することで、次に事業計画書を出力する際の内容がより自分好みになります。
中小企業診断士の資格取得を支援する問題集サイトをビジネスとして始めます。
ビジネスモデルキャンバスを使って、事業計画書の下記の項目を出力してください。
1:事業の背景と目的
2:事業の内容
3:市場環境
4:競合優位性
5:ビジネスモデルの検証
6:マーケティング計画
7:事業目標
8:収支計画(売上・利益計画)
9:資金計画
10:想定リスクと対応策
11:今後のスケジュール
もちろん、プロンプトと呼ばれるような書き方の方が、精度を高められたり、出力の形式を安定させたりすることもできるのですが、それはあくまでも頻度の高い業務で作成するべきです。
事業計画書の雛形作成という、一般の経営者にとって、それほど頻度の高くない作業であれば、このような簡単な指示で十分ですので、ぜひご自身の事業に合ったフレームワークと組み合わせて、事業計画書の作成に挑戦してみてください。気軽に試せるのが生成AIの強みだと思います。
このように一瞬で事業計画書を作成してくれるChatGPTですが、あくまでも【たたき台メーカー】だとお考えください。
より詳細な条件を与えれば、精度を高めることも可能ですが、ChatGPTは複雑な計算を苦手としているため、資金計画やスケジュールがご自身にあったものが出てくる可能性は非常に低いです。
私の場合は生成AIのことを【リモート対応の学生インターン】だと考えることで、業務の重要な作業を任せるのではなく、様々なたたき台を作成するのに利用しています。
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ChatGPTが苦手な分野はどうする?
ChatGPTで事業計画書の文章部分を作成した後は、ぜひドリームゲートのサポートツールをご利用ください。
万能ツールに見えるChatGPTのような生成AIもまだまだ苦手な分野があります。
特に計算の分野の正確性はまだまだ未熟で専門ツールの方がはるかに優れています。
今回の記事を書くにあたり、数値計画の出力もChatGPTにさせてみようと挑戦してはみたのですが、残念ながら断念してしまいました。というのも、正確な数値計画を作成する手間が必要以上に大きく、ドリームゲートのサポートツールよりも面倒なことがわかったからです。数値計画を作成するには、資本金の金額や備品、想定している従業員の給料など、事前に準備する数値が多数ありますが、そのような内容をサポート無しで事前に準備しておくことはなかなか面倒です。また、ChatGPTと対話しながら入力することもできますが、どう考えてもサポートツールの使いやすさは超えられません。
とても便利なChatGPTではありますが、1つのツールだけにこだわらず、適材適所でうまく使い分けていただき、魅力的な事業計画書を作り上げてください。
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今回は、ごく簡単な例をご紹介していますが、貴社の事業に合わせて、より高度な利用方法もご提案可能です。ぜひ個別相談もご検討ください。
また、ChatGPTを活用したビジネスアイデアというテーマの記事もありますので、もし起業はしてみたいけど、まだテーマが決まっていない、という方はこちらの記事もご覧ください。
ご連絡、お待ちしております!
執筆者プロフィール:
ドリームゲートアドバイザー 小西 薫(こにし かおる) / 株式会社ニコプロダクション
『起業Q&A回答者
総合ランキング』第1位!どんな質問にも即日回答。【UI/UXデザイン】を専門に、webにおけるマーケティング、ビジネスモデル構築に特化したアドバイザーです。さらに事業再構築補助金、ものづくり補助金など、中小企業の補助金申請もサポート。
この著者の記事を見る
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