エステサロンの開業を考えている方の中には、「どれくらいの費用が必要なのか?」「開業に必要な手続きは?」と疑問を持っている方も多いでしょう。エステサロンは一部のジャンルでは比較的低コストで開業できるビジネスですが、成功させるためには事前の準備が不可欠です。
本記事では、エステサロンの開業に必要な資金や手続き、効果的な集客方法まで詳しく解説します。これからエステサロンを開業しようと考えている方はもちろん、すでに準備を進めている方にも役立つ情報が満載です。
- 目次 -
エステサロン市場の動向
引用:東京商工リサーチ「2024年1-10月「脱毛サロンなどエステティック業」倒産状況」
近年、エステティック業界では倒産件数が増加傾向にあります。2024年1月から11月のエステティック業の倒産件数は99件に達し、過去最多である2023年の年間倒産件数88件を上回る勢いです。特に、脱毛サロンを中心に前受金を集めて運転資金に充てる経営手法が行き詰まり、返金トラブルが相次いでいることが倒産増加の要因の一つとされています。
エステ市場全体の売上は2,833億円に達していますが、低価格競争が激化し、収益の確保が難しくなっている現状もあります。加えて、経営悪化により大手サロンの破産も相次ぎ、業界全体の信頼性が低下していることも問題視されています。
これからエステサロンの開業をしたいとお考えの方は、集客面で収益を安定させる工夫とキャッシュフローを意識した堅実経営を心がける必要があります。
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エステサロン開業に必要な費用は?開業資金や運転資金はどれくらい準備するべき?
エステサロンの開業には、物件取得費や設備費、広告費などがかかります。さらに、数カ月分の運転資金も確保が必要です。事業計画を立て、自己資金や融資、補助金を活用しながら、無理のない資金準備を進めましょう。
エステサロンの種類
エステサロンにはさまざまな種類があり、種類によってコストが異なります。そのため、まずは開業するエステサロンを検討している種類を決め、エステサロンを開くにはどれくらいの費用がかかるのかを算出し、予算と比較することが重要です。以下に3つの例をご紹介します。
- リラクゼーション系エステ
アロママッサージやリンパマッサージなどのリラクゼーション施術を提供。施術ベッドやオイルなどの準備で済み、比較的低コストで開業可能。 - フェイシャルエステ
美肌や小顔ケアを中心とした施術を行う。高品質な化粧品や美容機器の導入が必要で、初期費用はやや高め。 - 痩身エステ
ダイエットやボディメイクを目的とした施術。高価な痩身機器の導入が求められるため、開業資金が高額になりがち。
他にも結婚式前の美容に特化したブライダルエステや、美尻など体の一部に特化したもの、メンズ専用のリラクゼーションエステなど、日々新しい市場が開拓されています。 ご自身の経験や強みを活かし、どのようなエステサロンを開きたいかを考えましょう。
エステサロンの開業に必要な資金
エステサロンの開業には、店舗の賃貸費用、内装工事費、設備投資などの初期費用がかかります。店舗を構える場合、以下の費用を考慮しましょう。
- テナント取得費用(敷金・礼金)
- 内装工事費:
- 施術用ベッド・美容機器
- 広告宣伝費
- その他(許可申請・備品など)
開業資金の合計は、100万円〜300万円程度が目安となります。
もちろん物件を居抜きのものを利用したり、施術用ベッドをリースのものを使用することで開業にかかる費用は安く抑えることができます。
運転資金
開業後の経営を安定させるためには、最低でも6ヶ月分の運転資金を確保することが望ましいです。
項目 | 費用目安 | 備考 |
---|---|---|
家賃 | 10万〜30万円 | 立地による変動あり |
光熱費・通信費 | 3万〜5万円 | 電気代、水道代、インターネット代など |
材料費 | 3万〜10万円 | 消耗品(オイル、化粧品、タオルなど) |
人件費 | 20万〜50万円 | 従業員を雇う場合 |
広告費 | 2万〜10万円 | SNS・Web広告など |
合計 | 30万〜100万円 |
創業時に申請できる融資や補助金について解説
創業時に申請できる融資や補助金について解説します。補助金や助成金の制度によっては創業初期しか申請できないものもあるため注意が必要です。
融資
エステサロン開業に活用できる融資制度として、日本政策金融公庫の「新規開業資金」や「女性、若者/シニア業家資金」などがあります。どちらも無担保・無保証で、金利も銀行の融資に比べると低めに設定されているため、開業したての方におすすめの資金調達方法です。
- 新規開業資金(最大7,200万円、運転資金最大4,800万円)
- 女性、若者/シニア起業家資金(女性や若年層向けの特別融資)
引用:日本政策金融公庫の「新規開業・スタートアップ支援資金」のページから引用
融資を受ける際は、事業計画書の作成が必須です。売上予測や集客戦略を明確にしましょう。以下のページでは過去に資金調達に成功した事業計画書を見ることができるほか、専門家に無料で相談することもできるのでぜひチェックしてみてください
補助金・助成金
エステサロン開業に活用できる補助金には、「創業支援補助金」(東京都)や各自治体の助成制度があります。各自治体や商工会それぞれで設定している融資制度もあるので、「開業場所+補助金+創業」や「商工会+地域+融資」で検索し、最新の情報を確認しましょう。
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エステサロンで特別必要な資格や届出は?
エステサロン開業を考えているけど、資格や届出について知らないから不安を抱えているという方もいらっしゃるのではないでしょうか?この項目では、エステサロンに特別必要な資格はあるのか、どのような届出をする必要があるのかについて解説します。
エステサロンの開業に必要な技能資格は?
エステサロンを開業する際に必須の資格はありません。しかし、資格を取得しておくことでお客様からの信頼を得やすくなるので、 エステに関連した以下のような資格を持っていると良いでしょう。
- 日本エステティック協会認定資格
日本エステティック協会は、エステティシャンの養成・教育、資格認定、関連団体との連携などの事業を展開する職能団体です。協会の認定資格は、エステティシャンの知識や技術レベルを示す指標となり、エステティック業界だけでなく関連業界においても信頼と実績の証とされています。 - CIDESCOインターナショナルエステティシャン
最も高く評価されているエステティシャンの国際資格です。取得までのハードルは高いですが、世界水準での評価なので、海外でも活躍できるチャンスがあります。 - AEA認定エステティシャン
一般社団法人 日本エステティック業協会(AEA)が認定する資格で、基礎資格の『認定エステティシャン』、上級資格の『上級認定エステティシャン』、最上位資格の『認定インターナショナルエステティシャン』の3段階があります。
それぞれの資格の詳細については、以下の表をご確認ください。
資格名 | 試験内容 | 受験資格 |
---|---|---|
日本エステティック協会認定資格 | 技術と筆記試験 |
次の(1)(2)の両方の要件に該当する正会員者(要証明) (1) エステティシャンセンター試験に合格 (2) 協会認定校での300時間以上コースまたは1000時間以上コースの修了、または実務経験1年以上 https://ajesthe.jp/esthetician/details_est/ |
CIDESCOインターナショナルエステティシャン | 実技&筆記試験 |
1.日本エステティック協会認定エステティシャン資格を取得していること。 2.1の資格取得後、エステティックに関する実務経験が3年以上あること。 3.エステティックの教育を600時間以上受けていること。 ※通信教育の場合、通学した時間数のみカウント。 |
AEA認定エステティシャン | 実技&筆記試験 |
上級認定エステティシャン筆記試験合格者 実務経験1年以上 |
通常のエステサロンでは特別な資格は必須ではないですが、場合によって、理容師免許や美容師免許が必要になることがあります。
たとえばフェイシャルエステでは、刃物を使った顔そり(シェービング)は禁止行為に分類されます。これは厚生労働省の理容師法で定められていることで、もしフェイシャルエステで顔そりを行う場合は、理容師免許の取得が必須になります。
ほかにも、美容液を使用したパック・化粧品を使用したフェイシャルのみの施術、眉毛パーマ・美顔脱毛などは首から上を美しくするための施術とみなされ、美容師免許が必要です。
開業に必要な届出は?
エステサロン開業時に必要な届出は以下の通りです。個人事業としてエステサロンを開業する場合は、税務署へ以下の届出の必要があります。
- 個人事業の開業・廃業等届出書
- 青色申告承認申請書
個人事業主の場合、確定申告は原則として白色申告となりますが、青色申告を選択すると節税効果を得られるため、早めの準備をおすすめします。
法人として運営する場合は、法人登記などの手続きが必要です。
テナント開業・自宅開業、それぞれのメリットとデメリットは?
エステサロンの開業方法には、テナントと自宅での開業、シェアサロンを使った開業などがあります。下記からはそれぞれのメリット・デメリットを解説していきます。
自宅の一室で開業(SOHO物件)
自宅の一室を活用してエステサロンを開業する形態は、初期費用を抑えられる点が大きなメリットです。特に、テナントを借りる場合と比べ、家賃や内装工事費を大幅に削減できるため、資金に余裕がない場合でもスタートしやすいのが特徴です。しかし、一般的な賃貸の住居用物件では、事業用としての使用が制限されている場合がほとんどであるため、大家さんに許可をもらいにいくか「SOHO(Small Office Home Office)」と言われるような物件を契約する必要があります。
ただしSOHO可の賃貸物件であっても、場合によっては自宅サロンの開業が認められないことがあります。そもそもSOHO可とは、居住兼事務所として使用できる物件のことです。
住居用がベースとなっている場合は、不特定多数の人の出入りが認められず、店舗として利用できないことがあります。自宅サロンのためにSOHO可物件を借りる際は、エステサロンとして使用できるかどうかを貸主に相談しましょう。
店舗・テナント型の開業
エステサロンをテナントで開業する場合、立地選びが成功の鍵を握ります。商業エリアや駅近の物件は集客力が高い反面、賃料が高額になりがちです。一方で、住宅地に近い店舗ではリピーターを獲得しやすく、落ち着いた雰囲気のサロン運営が可能です。
例えば、出来立て商業施設のテナントに出店したところ、出店した商業施設の客入りが悪くなり共倒れになってしまうといった事例もあります。
場所を決める際は周辺地域を探索し周辺の競合店舗の客入りや地域住民の経済状況などをチェックし、場所を選定しましょう。
シェアサロンや出張サロンという選択肢も
近年、初期費用を抑えながらエステサロンを開業する手段として、シェアサロンや出張サロンの人気が高まっています。シェアサロンは、既存のサロンや美容室のスペースを時間貸しで利用できる形態で、設備投資やテナント賃貸の負担を大幅に軽減できます。特に、固定費を抑えつつ、自分のペースで施術を提供したい人にとって魅力的な選択肢です。
一方、出張サロンは、顧客の自宅に訪問し施術を行うスタイルです。店舗を持たないため、賃貸費用が不要で、移動手段さえ確保すればすぐに開業できます。特に、リラクゼーションの分野では需要が高く、外出が難しい高齢者や産後のママ層をターゲットにすることで安定した集客が見込めます。
どちらの方法も、低リスクでエステティック業をスタートできるメリットがあるため、自分の働き方に合った形態を選ぶことが重要です。
エステサロンの集客のコツは?
エステサロンの集客で創業初期から効果が期待できる施策を3つご紹介いたします。
Googleビジネスプロフィールへの登録と最低限のWebサイトを作成しよう
まずは、Googleビジネスプロフィールへの登録とWebサイトの作成を行いましょう。Googleビジネスプロフィール(旧Googleマイビジネス)に登録することで、検索結果やGoogleマップにサロンの情報を表示させることができます。これにより、地域にいる潜在顧客にサロンの存在をアピールし、集客につなげることが可能になります。また、店舗の外観や内装、施術の様子などを定期的にアップロードすることで、視覚的に魅力を伝えやすくなります。さらに、来店されたお客様に口コミの投稿をお願いすることでアカウント自体の評価にもつながり、Googleマップや検索で見つかりやすくなります。
また、Webサイト作成はしたことがない、初心者でもできるか不安という方もいらっしゃると思います。そのような方は、最初はWix、Jimdo、ペライチなどの比較的操作がしやすいサイトを利用して作成するのも良いでしょう。
初心者の方には設定が難しい部分もあるため、専門家への無料相談などを利用しながらGoogleビジネスプロフィールへの登録やWebサイト作成を進めましょう!
ドリームゲート起業相談サービス「ネット集客に強い専門家一覧はこちら」
集客用のポータルサイトに登録
エステサロンの集客には、GoogleビジネスプロフィールやSNSの活用だけでなく、ホットペッパービューティーや楽天ビューティといった有料の集客用ポータルサイトへの登録も有効です。これらのポータルサイトでは、地域の顧客が検索しやすく、予約機能も付いているため、新規顧客の獲得につながりやすいメリットがあります。
登録時には、店舗の特徴や強みを明確にし、施術内容、料金、キャンペーン情報を詳細に記載しましょう。さらに、高品質な写真を掲載することで、サロンの雰囲気や施術の魅力を視覚的に伝えることができます。
また、定期的にクーポンや割引キャンペーンを実施することで、初回利用者の獲得率を高めることが可能です。ポータルサイトの口コミ機能を活用し、既存顧客のレビューを積極的に集めることで、サロンの信頼性を向上させることができます。
TikTokやインスタグラムのショート動画で発信
TikTokやInstagramのショート動画を活用することで、サロンの魅力を短時間で効果的に発信できます。特に、美容業界ではビジュアルコンテンツが重要視されるため、施術のビフォーアフターや施術中のリラックスした雰囲気を動画で伝えることで、視覚的にアピールできます。
また、サロンの施術風景やお客様のリアクションを映した動画は、信頼性を高める要素にもなります。例えば、「フェイシャルエステの施術の様子」や「肌の変化がわかるタイムラプス動画」などを投稿すると、フォロワーが興味を持ちやすくなります。
さらに、TikTokやInstagramのストーリーズ機能を活用することで、期間限定キャンペーンや特典を告知するのも効果的です。定期的に発信することで、エンゲージメントを高め、新規顧客の獲得につなげることができます。
まとめ
エステサロン開業には、開業資金や運転資金の準備、融資・補助金の活用、資格取得、集客方法などさまざまな準備が必要です。成功するためには、事前にしっかりとした計画を立てることが重要です。本記事を参考に、理想のエステサロン開業を実現してください!