赤字決算でも融資を受けるための3つのポイント

この記事はに専門家 によって監修されました。

執筆者: 小峰 精公

私は東京・池袋でV-Spiritsグループの資金調達担当として活動しているドリームゲートアドバイザーの小峰精公です。これから創業融資を考えている方や、すでに開業していて資金繰りに困っている経営者および個人事業主を対象にコンサルタントとして支援しています。

中小零細企業にとって、資金調達は事業の行方を左右する大事な局面です。

私自身は朝日信用金庫で10年間、事業融資を中心に営業担当をしていました。10年間で累計300社を担当し、1,000件を超える融資に携わってきました。

今回は赤字決算でも融資を受ける方法について解説していきます。

一般的には赤字決算になると金融機関から融資を受けられないといった認識があると思いますが、赤字決算だからといって金融機関から絶対に融資が受けられないわけではありません。金融機関には融資判断するうえでのポイントが複数あります。そのポイントをクリアしていくことによって赤字決算でも融資が受けられる可能性が高くなりますので、ポイントをひとつひとつ紹介していきます。

はじめに、赤字決算とは

赤字決算とは、売上よりも支出が大きくなっているために、帳簿上の利益がマイナスになっている状態のことです。反対に、支出より売上が多くなっている状態を黒字決算といいます。

意図的に節税をするために赤字決算にする企業もありますが、金融機関から融資を受けるという観点から見るとプラスには働きません。融資はきちんと返済されることを前提に考えています。赤字決算だと返済できなくなる可能性が高まってしまうことから慎重な対応となります。

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金融機関が融資を検討できない赤字

赤字決算でも金融機関に融資を検討してもらえる状況を知るために、まずは「金融機関が融資を検討できない赤字」を知っておきましょう。

慢性的な赤字体質である

創業赤字や一時的、突発的な赤字ではなく、2期以上赤字が続いている慢性的な赤字体質の企業は金融機関から融資を受けることは難しいです。当然、金融機関からは赤字補填のための融資とみなされてしまい後ろ向きな対応をされます。

返済原資が見当たらない

赤字決算であると同時に返済原資が見当たらない場合についても同様です。赤字決算でも返済原資または、返済余力が見込めるうちは前向きに検討されます。しかしながら、返済原資がない状況では融資を検討することはできません。一般的な運転資金の返済原資の考え方は、当期純利益+減価償却費で算出されます。仮に、当期純利益が△70万円で減価償却費を150万円計上していた場合は、△70+150=80万円の返済余力があるということになります。総合的な判断になりますので、新規融資のみで判断するわけではなく、既存の融資も含めての判断になるので注意が必要です。

債務超過である

債務超過とは、法人の全資産をお金に換えても負債の全て(借入など)を清算できず負債が残る状態です。金融機関から見ると返済できる見込みどころか、会社が存続できるかどうかという見方になります。ほとんどの金融機関は、債務超過の企業へ新規融資は検討しません。ただし、すべての債務超過企業が融資を受けられないかというとそうではありません。

直近1年もしくは2年以内に債務超過が解消される具体的計画や解消が見込まれる業況であるなどの場合には、融資を受けられる可能性があります。

金融機関が融資を検討できる赤字

金融機関が融資を検討できる赤字には、次の2つがあります。

創業赤字

創業一年目は安定した売上の確保が難しく、先行して初期投資をしていきますので赤字になりやすい傾向にあります。創業赤字については金融機関からも一定の理解は得られますが、過度な赤字や赤字の理由について理解していない、無計画経営などの場合については新規融資の検討は難しいでしょう。

一過性の赤字

一過性の赤字とは、災害や事故、役員慰労金などの突発的に発生するもので、翌期以降は起こらず、あくまで本業による赤字でないものです。一過性の赤字の場合、金融機関は翌期の決算は持ち直して利益が計上されている黒字決算であると想定しているケースが多いので、2期赤字を続けてしまうと金融機関からの評価は下がってしまいます。

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赤字決算でも融資を受けるための3つのポイント

赤字決算だからといって融資を受けられないとは限りません。赤字の原因を特定し、改善できる見込みがあるのであれば、融資を受けられる可能性は十分にあります。ここでは、赤字決算でも融資を受けるための3つのポイントについて説明します。

1.赤字が解消される具体的計画

金融機関は赤字が解消される具体的な計画を求めています。私自身も中小企業経営者に対して、来期以降赤字解消に向けてどのようにお考えですか?とたくさんのヒアリングを行いました。この質問で経営者がどの程度赤字の原因を理解し、改善していく意欲があるかどうかがわかります。多かった回答としては、役員報酬引き下げや人件費削減、その他経費削減して利益を出していきます。との回答が多かったですが、抜本的でなく目先の対処という印象が強いです。金融機関担当者が求めているのはどちらかといえば、売上に関する前向きな話です。融資を取り上げる際に作成する稟議書には決裁権限者を納得させる材料が必要になりますので、売上を増加させるための具体的計画などは有効にはたらきます。

2.資金繰り表を作成している

赤字決算だとしても資金繰り表を作成している企業は金融機関からの評価は高いです。決算は赤字でも日々のお金の流れが可視化されているため、整合性が確認できれば融資を受ける実現性が高まります。

3.資産を保有している

赤字決算でも融資の返済が出来なかった場合に金融機関が保全を図るために必要な担保にできる資産を保有している場合は、金融機関は融資を検討します。担保の対象となるのは不動産担保や預金担保が一般的です。しかしながら、担保があるからといって必ず融資をするということではありません。融資審査は総合的に判断されますので、担保はあくまでもプラス材料という認識でいましょう。

金融機関によっても対応差がある

都市銀行、地方銀行、信用金庫、信用組合など様々な金融機関があり、それぞれ赤字企業に対して対応差があります。ここでは私自身経験のある信用金庫が赤字企業に対してどのように対応しているのかを紹介します。

信用金庫は簡単にあきらめない

信用金庫は地元に根差した金融機関であり顧客との距離が一番近いです。難しい融資の案件でもどうにかできる方法はないか?と検討します。その一例として、5年返済で行っていた運転資金を5年から3年へ返済期間短縮することでリスクヘッジをしたり、リスクに見合った金利へ引上げをすることでなんとか取り上げることができないか?などを日々考えています。

法人単体だけでなく個人も加味して検討する

信用金庫では、法人単体の定量的な部分だけを見て融資の可否を決めるのではなく、個人(代表者・代表者妻・代表者一族含む)も加味して融資を検討します。例えば、ここ数年業況はあまり良くないが、信用金庫で住宅ローンを組んでいたり、預金関係もまとめて置いていて、代表者の奥様にも、保険や投資信託、年金などの取引があることで、信用金庫との信頼関係も生まれます。特に、信用金庫は信頼関係を重視する傾向にありますので、法人、個人含めた取引振りや、過去の返済実績なども重要視します。

いかがでしたでしょうか。今回は赤字企業でも融資を受ける方法についてお伝えしました。

金融機関もきちんと赤字解消に向けて具体的な計画を立て真摯に向き合っている企業のことは簡単には見捨てません。とはいえ、そうなってから考えるのでは遅いので、きちんと平時のときから考え実行してみてください。

V-Spiritsグループでは、税理士法人を母体とした起業家支援の各種専門家が在籍しています。融資相談はもちろんのこと、資金繰り・補助金・税務相談等の相談も承っております。

初回面談無料ですので、ぜひお気軽にお問合せください。

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執筆者プロフィール:
ドリームゲートアドバイザー 小峰 精公

累計15億円を融資してきた、元信金マン。起業コンサルティンググループV-Spirits(代表 中野裕哲)で資金調達コンサルティングを担当している小峰アドバイザー。明るく朗らかなお人柄と野球一筋で培ったエネルギッシュな対応力が魅力です。

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ドリームゲートアドバイザー 小峰精公

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