第12回小規模事業者持続化補助金の申請は2023年3月10日に始まり、締切は同年6月1日となります。ただし、事業支援計画書の受付締切は、同年5月25日ですので注意してください。
第12回ではインボイス特例が導入され、該当すれば補助上限額に50万円が上乗せされます。当記事では、インボイス特例について解説した後に、補助金の概要について紹介します。
参考)小規模事業者持続化補助金<一般型> 第 12 回公募 公募要領
- 目次 -
そもそもインボイス制度とは
小規模事業者持続化補助金のインボイス特例を解説する前に、インボイス制度を紹介します。適格請求書(インボイス)とは、売手が買手に対して適用税率や消費税額などを伝える請求書のことです。従来の区分記載請求書に、登録番号、適用税率、消費税額などの記載が追加された書類やデータをインボイスと呼びます。
買手が仕入税額控除の適用を受けるには、原則として売手から交付を受けたインボイスを保存しておくことが必要です。売手がインボイスを交付(発行)するには、事前にインボイス発行事業者(適格請求書発行事業者)として登録する必要があります。
第12回小規模事業者持続化補助金のインボイス特例は、インボイス制度の普及を促す狙いがあります。
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第12回のポイント~インボイス特例とは
第12回小規模事業者持続化補助金に導入されたインボイス特例についてみていきましょう。
5つの枠すべてで一律50万円上乗せ
同補助金には5つの枠があり、申請者はそのうちのひとつを選んで申請します。枠によって補助上限額が異なります。
インボイス特例は、インボイス発行事業者になった事業者に対し、補助上限額を一律50万円上乗せするしくみです。5つの枠と補助上限額、インボイス特例は以下のようになります。
枠 | 補助上限 | インボイス特例を適用 |
---|---|---|
①通常枠 | 50万円 | 一律50万円上乗せ |
②賃金引上げ枠 | 200万円 | |
③卒業枠 | ||
④後継者支援枠 | ||
⑤創業枠 |
5つの枠の詳細については後段で解説します。
インボイス特例の適用要件
インボイス特例の適用を受けるには次の要件を満たす必要があります。
免税事業者からインボイス発行事業者に移行することが、インボイス特例を受ける条件になっています。ただし、補助事業の終了時点で上記要件を満たさない場合は、交付決定後であっても、特例は適用されません。
前回第11回のインボイス枠(最大100万円)が今回第12回で最大250万円にアップした?
小規模事業者持続化補助金におけるインボイス関連の措置は、今回(第12回)がはじめてではありません。前回(第11回)すでに「インボイス枠」があり、この枠も免税事業者からインボイス発行事業者に移行することを条件として、上限100万円が補助されていました。
そして今回の第12回では、通常枠以外の4つの枠でインボイス特例に該当すると、補助上限額は最大250万円(4つの枠の補助上限枠200万円+インボイス特例上乗せ50万円)となります。したがってインボイス関連は、前回の最大100万円から今回の最大250万円にアップしたととらえることもできそうです。
インボイス特例の手続き上の注意点
今回(第12回)のインボイス特例の適用を受けるには通常の手続きに加えて、専用の手続きが必要になります。
インボイス特例のみに必要な手続き
- 経営計画書の「インボイス特例」欄にチェックを入れる
- 補助事業計画の経費明細表の「インボイス特例」欄にチェックを入れる
- 「インボイス特例の申請に係る宣誓・同意書」を提出する
- 適格請求書発行事業者の登録通知書の写しを提出する(該当する場合のみ)
- 電子申告(e-Tax)の登録申請データの受信通知を印刷したものを提出する(該当する場合のみ)
なお、 申請時に4または5を提出していない事業者は、実績報告書の提出時に適格請求書発行事業者の登録通知書の写しを提出することが必要です。
小規模事業者持続化補助金とは
ここからはインボイス特例以外の、小規模事業者持続化補助金制度の概要について解説します。
目的は販路開拓や業務効率化を支援すること
小規模事業者持続化補助金の目的は、小規模事業者が今後複数年にわたり相次いで直面する制度変更に対応するために取り組む販路開拓の経費の一部を補助することなどにあります。国はこの補助金の活用により、地域の雇用や産業を支える小規模事業者の生産性向上と持続的発展が図られることを期待しています。
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2023年 持続化補助金のスケジュール・締切
第12回小規模事業者持続化補助金のスケジュールは以下のとおりです。
- 申請受付開始:2023年3月10日
- 申請受付締切:2023年6月1日
- 事業支援計画書発行の受付締切:2023年5月25日
- 補助事業実施期間:交付決定日から2024年4月30日
- 補助事業実績報告書提出期限:2024年5月10日
なお、次回第13回のスケジュールもすでに決まっています。申請受付締切は2023年9月7日、事業支援計画書発行の受付締切は2023年8月31日です。ただし、予定は変更される場合もあるため、実際の申請時にはスケジュールを確認することが必要です。
2023年 持続化補助金の補助上限・補助率
小規模事業者持続化補助金の5つの枠を紹介します。
補助上限と補助率は以下のとおりです。
枠 | 補助上限 | 補助率 | |
---|---|---|---|
①通常枠 | 50万円 | 2/3 (賃金引上げ枠の赤字事業者は3/4) |
|
②賃金引上げ枠 | 特別枠 | 200万円 | |
③卒業枠 | |||
④後継者支援枠 | |||
⑤創業枠 |
通常枠以外の4枠のことを特別枠と呼びます。特別枠の概要と要件は以下のとおりです。
②賃金引上げ枠
最低賃金の引き上げがおこなわれるなか、それに加えてさらなる賃上げをおこない、従業員に成長の果実を分配する意欲的な小規模事業者を支援します。また、業績が赤字の事業者に関しては、補助率が2/3から3/4に引き上げられます。
要件としては、補助事業の終了時点において、事業場内最低賃金が申請時の地域別最低賃金より+30円以上であることが必要です。すでに事業場内最低賃金が地域別最低賃金より+30円以上を達成している場合は、現在支給している事業場内最低賃金より+30円以上とする必要があります。
③卒業枠
事業規模拡大に意欲的で、補助事業実施期間中に常時使用する従業員を増やし、小規模事業者として定義する従業員の枠を超え事業規模を拡大する事業者を支援します。補助事業の終了時点において、常時使用する従業員の数が小規模事業者として定義する従業員数を超えていることが要件となります。
④後継者支援枠
将来的に事業承継をおこなう予定があり、新たな取り組みをおこなう後継者候補として、「アトツギ甲子園」のファイナリストや準ファイナリストになった事業者が対象となります。
⑤創業枠
創業した事業者を重点的に支援する枠です。産業競争力強化法に基づく認定市区町村または認定市区町村と連携した認定連携創業支援等事業者 が実施した特定創業支援等事業による支援を公募締切時から起算して過去3年の間に受け、かつ、過去3年の間に開業した事業者を対象とします。
2023年 持続化補助金の補助事業と活用事例
小規模事業者持続化補助金の対象となる補助事業は、次のふたつの要件をいずれも満たすものです。
補助事業の2つの要件
- 要件1:策定した「経営計画」に基づいて実施する、販路開拓のための取り組み、あるいは、販路開拓などとあわせておこなう業務効率化や生産性向上のための取り組みであること
- 要件2:商工会や商工会議所の支援を受けながら取り組む事業であること
要件1の取り組みとは、具体的には次のものになります。
■補助事業になりうる販路開拓、業務効率化、生産性向上のための取り組み
- 新商品を陳列するための棚の購入
- 新たな販促用チラシの作成、送付
- 新たな販促用PR(マスコミ媒体での広告など)
- 新たな販促品の調達、配布
- 国内外の展示会、見本市への出展、商談会への参加
- 新商品の開発
- 新商品の開発にあたって必要な図書の購入
- 新たな販促用チラシのポスティング
- 国内外での商品PRイベントの実施
- 新商品開発にともなう成分分析の依頼
- 店舗改装(小売店の陳列レイアウト改良、飲食店の店舗改修を含む)
- 新たに倉庫管理システムのソフトウェアを購入し、配送業務を効率化する
- 新たに労務管理システムのソフトウェアを購入し、人事・給与管理業務を効率化する
- 新たに POS レジソフトウェアを購入し、売上管理業務を効率化する
- 新たに経理・会計ソフトウェアを購入し、決算業務を効率化する
要件2は具体的には、1)商工会・商工会議所による事業支援計画書の発行と、2)商工会・商工会議所の助言と支援を受けて補助事業を実施することになります。
2023年 持続化補助金の補助対象経費と活用例
補助対象となる経費は以下のとおりです。また、本項ではあわせて活用例も紹介します。
■機械装置等費
- 高齢者・乳幼児連れ家族の集客力向上のための高齢者向け椅子・ベビーチェア
- 衛生向上や省スペース化のためのショーケース
- 生産販売拡大のための鍋・オーブン・冷凍冷蔵庫
- 精度の高い図面提案のための設計用3次元CADソフト
- 販促活動実施に役立てる顧客管理ソフトなど
■広報費
- チラシ・カタログの外注や発送
- 新聞・雑誌への商品・サービスの広告
- 看板作成・設置
- 試供品(販売用商品と明確に異なるものである場合のみ)など
■ウェブサイト関連費
- 商品販売のためのウェブサイト作成や更新
- インターネットを介したDMの発送
- インターネット広告
- バナー広告の実施
- 効果や作業内容が明確なウェブサイトのSEO対策など
■展示会等出展費
- オンラインによる展示会の出展料
- 商談会の費用
- 展示会出展の出展料
- 関連する運搬費
- 海外展示会の出展料など
■旅費
展示会への出展や、新商品生産のために必要な原材料調達の調査にかかわる宿泊施設への宿泊代など
- 開発費
- 新製品・商品の試作開発用の原材料の購入
- 新たな包装パッケージのデザイン費用など
■資料購入費
補助事業遂行に必要不可欠な図書などを購入するために支払われる経費(取得単価(税込)が10万円未満のものに限る)
■雑役務費
臨時的に雇い入れた者のアルバイト代、派遣労働者の派遣料、交通費など
■借料
補助事業遂行に直接必要な機器・設備のリース料・レンタル料など
■設備処分費
既存事業において使用していた設備機器の解体・処分費用など
■委託・外注費
上記に該当しない経費であって、必要な業務の一部を第三者に委託、委任、外注するための経費など
2023年 持続化補助金の補助対象者
この補助金の補助対象になるのは小規模事業者で、その条件は次のとおりです。
■小規模事業者とは
- 商業・サービス業:常時使用する従業員数5人以下
- サービス業のうち宿泊業・娯楽業:常時使用する従業員数20人以下
- 製造業そのほか:常時使用する従業員数20人以下
小規模事業者の形態は次のとおりです。
■小規模事業者の形態(補助対象になりうる者)
- 会社、会社に準ずる営利法人(株式会社、合名会社、合資会社、合同会社、特例有限会社、企業組合・協業組合、弁護士や税理士などの士業法人)
- 商工業者である個人事業主
- 一定の要件を満たした特定非営利活動法人
2023年 持続化補助金の申請から交付までの流れ
申請前の準備から、実際の申請、そして補助金の交付までの流れを紹介します。
【ステップ1】必要書類を集める
申請に必要な書類は次の章で紹介します。
【ステップ2】商工会・商工会議所から事業支援計画書の作成・交付を受ける
申請する前に、経営計画書、補助事業計画書などを地域の商工会・商工会議所窓口に提出して「事業支援計画書」の作成・交付を受けてください。
【ステップ3】申請する
必要な書類を補助金事務局に提出して申請します。申請方法は、原則として補助金申請システム(Jグランツ)を利用した電子申請となります。
【ステップ4】審査される
補助金事務局が申請書類などを審査します。審査項目は自社の経営状況分析の妥当性、補助事業計画の有効性などです。
【ステップ5】結果が通知される
採択または不採択の結果が申請者に通知されます。
【ステップ6】補助金の交付に関する手続き
採択された申請者は、補助金の交付に関する手続きをおこないます。
【ステップ7】交付決定
ステップ6の手続き後、交付が決定します。
【ステップ8】補助事業を実施する
申請者は、交付が決定してから補助事業を実施します。補助事業を遂行するときは自己負担が必要となり、補助金は後払いとなります。
【ステップ9】実績報告書を提出して補助金が交付される
補助事業を終えたら、補助金事務局に実績報告書と支出の内容がわかる関係書類などを提出します。その後、補助金事務局が交付すべき補助金の額を確定させ、精算払いされることで、補助金が交付されます。
2023年 持続化補助金の必要書類
小規模事業者持続化補助金の申請にはさまざまな書類が必要になります。
すべての申請者に求められる書類と希望する枠・特例によって追加的に必要になる書類にわけて紹介します。
■すべての申請者に求められる書類
- 小規模事業者持続化補助金事業に係る申請書(様式1)
- 経営計画書兼補助事業計画書①(様式2)
- 補助事業計画書②(様式3)
- 事業支援計画書(様式4)
- 補助金交付申請書(様式5)
- 宣誓・同意書(様式6)
■希望する枠・特例によって追加的に必要になる書類
- 賃金引上げ枠の申請に係る誓約書(様式7)
- 卒業枠の申請に係る誓約書(様式8)
- インボイス特例の申請に係る宣誓・同意書(様式9-法人用)
- インボイス特例の申請に係る宣誓・同意書(様式9-個人事業主用)
小規模事業者持続化補助金に関する相談はドリームゲートへ
ドリームゲートには小規模事業者持続化補助金に詳しい専門家が多数在籍しています。「小規模事業者持続化補助金に申請するにはどうすればいいのか」「申請に必要な書類はどのようにそろえたらいいのか」などの悩みを抱える経営者は、ぜひドリームゲートの無料メール相談をご利用ください。
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執筆者プロフィール:ドリームゲート事務局
ドリームゲートは経済産業省の後援を受けて2003年4月に発足した日本最大級の起業支援プラットフォームです。
運営:株式会社プロジェクトニッポン
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