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このままでは会社も自分たちの生活も破綻してしまう……
関西で1950年に創業して以来、三代続く老舗製造工場のA社。役員は社長のBさんと、その妻のCさんで、おふたりとも50歳を超えています。A社は5人の従業員を雇用し、一生懸命経営を続けていました。が、大口の取引先の業績不振により仕事量が激減。加えて、数千万円の借入金が大きな負担となり、赤字が2年間続いていました。2008年のある日、Cさんから、「このままでは会社が破綻してしまう。何とかしてこの苦境から抜け出したい」という相談を受けました。
さらにくわしく話を聞いてみると、個人の住宅ローン返済もままならないとのこと。まず、過去1年の状況をさかのぼって調べ上げ、会社と個人の資金収支表を作成。そのうえで、今後の対応策を考え始めました。また、Cさんは2006年から趣味を生かした料理教室を運営されています。こちらの経営状況は比較的好調のようです。そこで料理教室の資金収支表も追加して作成し、総合的な救済プランを提案することにしたのです。
必死で食い下がり、社長にプレゼンテーション
社長のBさんは現状維持にこだわり、当初は改善のための提案をなかなか聞いてくれませんでした。それでも必死で食い下がり、会社、個人、料理教室のわかりやすい資金収支表を見せながら今の状況を説明。その後、Bさんも「現状維持では、工場も自分たちも共倒れになる」というリスクを理解され、私の提案を受け入れてくれることになったのです。
工場については新規の設備投資はすべてストップ。コストを少しでも低く抑えるため、現在の外注先をより安価に対応できる業者に変更。さらに、仕事を発注してくれる元請企業への価格交渉も。これらの施策が奏功し、何とか借入金の返済目処が立ち、従業員の雇用を守ることができました。また、料理教室に関しては、やり方によって今以上の利益を挙げることができると判断。そのためのPR手法もアドバイスしました。
赤字をストップ! 新規事業の年商目標は1000万円
結果、工場は赤字の出ない経営状況に戻すことができました。そして、料理教室の年商は現在500万円。写真をふんだんに使い、リニュアルしたホームページ、ブログなどでのPRが効いたのでしょう。自宅での教室開催だけではなく、カルチャーセンターなどからの出張教室のオーダーも増加中です。Cさんは年商目標1000万円を掲げられ、今も元気に料理教室の運営を続けています。
Cさんからは、「借入れがどんどん膨らむのではないかと不安でしたが、とてもわかりやすく改善策を説明していただき感謝です。主人の社長も、"今ならなんとか解決できる"と決断してくれましたから。1年前の苦境が嘘のよう。本当にありがとう」と言っていただけました。これからもおふたりの良き経営アドバイザーとして、お付き合いしていきます。