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画期的な新商品を思いついたが、開発資金がない……
忌避剤(きひざい=虫など有害動物が近寄らないようにするために用いる薬剤)の製造・販売を行っている会社経営者のNさんより、「ある特定の害虫を忌避するための、人体に無害かつ画期的な忌避剤を思いついた。その研究開発費を集めているが、なかなかうまくいかない。アドバイスをお願いしたい」といった内容の相談を受けました。
顧問税理士の協力を仰ぎ、Nさん自身でも金融機関に融資申請を行ったようですが、まったく歯が立たなかったようです。
しかし、Nさんの考える忌避剤はかなりユニークで面白い。
将来的な可能性を感じた私は、元・銀行員の融資担当者としてのノウハウを総動員して、Nさんの融資獲得のお手伝いをすることを決めました。
借りる側の論理ではなく、貸す側の本音をくんだ資料を作成!
よく話を聞いてみると、Nさんが資金調達に失敗したのは、融資をする立場(銀行)からの視点を理解できずにいたことでした。
また、顧問税理士も銀行の考え方を知らず、具体的な資料作成ができていません。
事業計画書はNさんの立場から書かれたものであり、融資をする立場である銀行員が知りたい情報が不足していたということです。
そこで、融資審査をしていた立場から、Nさんに銀行の考え方や本音を説明し、理解してもらうとともに、事業計画書のブラッシュアップを繰り返し実施。
融資審査で重要視されるポイントを上手くアピールするように事業計画書を仕上げていきました。
また、銀行への相談状況や申し込み時の応対状況、その後の審査過程での質疑についても細かくシミュレーションを行い、対応方法をアドバイスしました。
3カ月後に、希望額の研究開発費の調達に成功!
既存の忌避剤の販売状況や販売先などをくわしく説明し、会社の技術力の高さ、販売の好調さで成長性をアピール。
そのうえで、新たに開発する忌避剤の実現性の裏付けを詳細な資料でプレゼンしました。
その結果、相談を受けてから3カ月後に、希望額である研究開発費の調達に成功。
新製品の開発に着手でき、本年度からの販売に向けて着実に開発が進んでいます。
また、自治体からの助成金交付も決定。
Nさんからは、
「銀行の本音を聞けたことで、効果的な説明資料ができ、また、安心してプレゼンに臨むことができた。
研究開発段階であるが、融資獲得により非常に良い成分配合に成功したので、早期での製品化の目処が立った」
との報告を受けました。
その後、自治体からの助成金交付も決定。
現在、Nさんは、新製品の初年度売り上げ3000万円の目標達成に向けて頑張っています。