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サイトは自動販売機のようなものでしょう……
ペット関連グッズのネットショップを立ち上げたAさんから、メール相談を受けたのは2007年のこと。「サイトを立ち上げれば自動販売機のように稼いでくれると思っていたが、まったく売れない。そこでクリック課金型広告を導入してみるも、費用の20万円を取られたのみで、そこからの売り上げはゼロ。毎日、寝る間も惜しんで更新作業をしているのに、なぜ?」とAさん。売れるために何をすればいいのかわからない……。これは、勉強をしないまま、勢いでネットショップを始めた人によくある悩みなのです。
この状態になってしまっては、一から出直すしかありません。そして、戦わずして勝つための戦略を練り直すことから始めるようにアドバイスしました。今おかれている現状(市場環境)を知り、コンセプト、ターゲットを明確にすることが必要です。その3つを明確にしたあと、集客、コンバージョンレートのアップなど、売り上げを高めるための戦術を考えます。コンセプトとターゲットの設定なくして、成功はあり得ないのですから。
まずは、コンセプトとターゲットの設定を!
Aさんに、自分のショップのコンセプトとターゲットを設定させるため、競合調査を始めてもらうことに。ネット検索で、競合と思われるネットショップをどんどんリストアップし、それぞれの強みと弱みを探り続けるわけです。その調査の中から、2つのポイントが浮かび上がりました。(1)Aさんが扱っているペット関連グッズを販売するショップは、商品知識を持った人向けが多い。(2)その一方、これからペット自体を飼いたいと考える人が増えている。ここから導きだしたコンセプトが「超初心者向け、専門用語を使わない、わかりやすいサイト」、そしてターゲットはもちろん「超初心者」です。
そもそも、お客様はその商品そのものがほしいのではなく、ペットを飼うことによって得られる「癒し」がほしいのです。このペットを飼い始めるには、Aさんが扱っている商品のほかに、さまざまな付属品が必要です。そこで、初めてペットを飼った人向けの「超初心者向けスタートキット」をウリの商品とすることを決定。そうやってコンセプトとターゲットが決まり、売り上げを高めるための戦術へとつながっていったわけです。
2年目の売上高は、前年対比で200%に!
やっと競合他社と差別化でき、「超初心者向けスタートキット」の販売を開始。結果、ターゲットにぴったりの初心者ユーザーがアクセスし始め、徐々に売り上げが増加。そして、初年度は起業前に立てた年商目標をなんとか達成。2年目はなんと、対前年比で200%に! 現在もAさんのネットショップは順調な経営を続けており、今では経営者としてだけではなく、「ネットショップ経営セミナー」の講師としても活躍しています。
Aさんは言います。「ネットなのだから、何か特別な秘策があるはず。でも、自分はそれを知らない。最初は、それが原因だと思っていました。実はそんな秘策などなく、コンセプトとターゲットの設定という商売の基本を忘れていただけでした」。ひとりでは気づくことができないことも、多々あるでしょう。立ち止まって、第三者に相談する。成功する経営者は、そんな素直さを持っている人が多いです。