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独立に際して、使える助成金はすべて活用したい……
飲食店に正社員として勤務していたAさんから相談を受けたのは2007年のこと。
「独立して自分の店をつくろうと考えている。使える助成金はすべて使いたいが、種類がたくさんありすぎてどれが利用できるのかわからない」と言います。
また、新規創業の場合、「中小企業基盤人材確保助成金」しか利用できないと思われていたようです。
いろいろお話をお伺いしていく中で、ほかの助成金を得られる可能性があることがわかりました。
独立時は、会社設立登記、融資や物件確保のための前金などの準備を先に行う方が多いようですが、まず、独立に関する一切のことを行う前に、ハローワークに「法人設立等事前届」を提出し、失業保険の給付を停止する必要があります。ただ、今回のケースの場合、すでに店舗候補地が決まり、オープン予定日まで計画されていたため、逆算して順番に助成金の申請から賃貸契約、融資の申し込み、従業員の雇い入れ日を指導しました。
申請のタイミングを間違えると使えない助成金も
なぜそのような方法をとったかというと、「中小企業基盤人材確保助成金」の申請には、賃貸契約まで行う必要がありますが、「受給資格者創業支援助成金」の申請前にそれを終えていると、受け取る資格がなくなることがあります。申請のタイミングを計算することで、「受給資格者創業支援助成金」も獲得できる可能性があるからです。
また、「再就職手当」はもらえないと思っていたようなので、そちらを得るための提案もしました。
さらに、Aさんが経営する業種は飲食店ですから、パート・アルバイトなどの短時間労働者を多数雇用する必要があります。その場合は、「短時間労働者均衡待遇推進助成金」も利用できるのです。
実際は、創業関連の助成金ではありませんが、短時間労働者と正社員が同一の業務、同一の賃金体系なっていることが証明できれば、この助成金も得られるということです。
4つの助成金を活用し、返済不要の資金790万円を獲得!
Aさんは私の提案に納得され、各種助成金の申請を一緒に行うことに。
その結果、「受給資格者創業支援助成金」200万円、「中小企業基盤人材確保助成金」510万円、「短時間労働者均衡待遇推進助成金」60万円、「再就職手当」約20万円、合計790万円という返済不要の資金を得ることに成功されました。
「助成金の種類がこれほどあることをまったく知らなかった。そして、田治米さんのおかげで、多額の助成金を獲得できた。それにより、金融機関からの融資500万円を補てんすることもできた。ほんとうに助かりました」と、Aさんから感謝の言葉をいただいています。
2008年にオープンしたAさんの飲食店の年商は約8000万円。不況の影響を受けやすく、不安定な業種にも関わらず、安定した経営を行われています。