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「このままだと来月には倒産だね」と言われ……。
ラーニングエッジ株式会社は、世の中に良質な学びの機会を提供したいという理念のもとに、セミナー情報のポータルサイト「セミナーズ」を運営している会社です。2005年当時、「セミナーズ」へのセミナー登録件数は、1400件程度という小規模なものに留まっており、事業としての採算がとれない状況が続いていました。何らかの施策をとらなければ、いつ倒産してもおかしくないという……。 セミナー主催者の登録が増えない最大の原因は、ラーニングエッジおよび「セミナーズ」の認知度の低さにありました。認知度が低いため登録者数が増えない、当然ですが、サイトを見る人が少なくなる。そしてサイトを見る人が少ないがゆえに、登録者数が少なくなる……。スタートアップ期のポータルサイトが陥りがちな、悪循環にはまってしまっていたのです。同社の代表を務める清水康一朗さんから相談を受けたのはそんな頃でした。
自社がリスクを負うことで、顧客のリスクを極限まで減少
セミナー主催者は、「セミナーズ」への登録にリスクを感じていました。そこで、そのリスクを取りはらうために、有料だった登録費用の無料化を提案。ラーニングエッジとしては、自社負担のコストが増えますが、それは逆に、顧客が「サービスを利用しない理由を無くす」ことになります。これは、「リスク・リバーサル」というアメリカの近代マーケティング手法で、「買い手にあったリスクのすべてを売り手が引き受ける」という戦略です。 実際にこの施策を実行に移す際、数々の懸念事項があったのは事実です。システム化がまだ万全とはいえず、オペレーションが回らない可能性がありました。また、手数料が入らないので、売り上げ減は確実です。しかし、無料化が、「セミナーズ」の認知を高めるための大々的なキャンペーンとして打ち出せます。知名度アップのチャンスです。そして、この挑戦が長期的な利益を生む戦略となることを信じ、実行に移す運びとなりました。
「リスク・リバーサル」を実践し、売り上げが21倍に!
結果、セミナー登録数が、スタートからわずか1カ月で3000件と2倍に増加。これに伴い、取り扱いセミナーの種類に増え、「セミナーズ」は、充実したコンテンツが豊富にそろうポータルサイトへと成長しました。その後、ラーニングエッジは、「リスク・リバーサル」を提唱した、ジェイ・エイブラハム氏のさまざまな近代マーケティング手法を手本にセミナー事業を拡大し、2年で売り上げを21倍にまで拡大しました。 「本当に西内さんの提案のおかげです。今、21人のスタッフで、年商は3億7000万円。国内のみならず、海外セミナーの案件も多数扱うようになりました。また、ジェイ・エイブラハム氏ご本人から、彼の近代マーケティング手法を、日本の起業家や経営者に伝える役目も任されています。一昨年は、エイブラハム氏が来日し、当社主催でのセミナー(http://www.seminars.jp/jayabraham/)を開催。定価70万円のセミナー200席を完売できました」。ラーニングエッジの成長はこれからも続いていきそうです。