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きっかけは「kinect」の販売中止。
AIによる骨格検出システムを独自開発
事業や製品・サービスの紹介
株式会社ネクストシステムは、AI、VR、ARなどのシステム開発を得意としてきた。2018年4月にリリースした「ビジョンポーズ」にも、これまで蓄積されてきた知見が存分に活用されている。
ビジョンポーズは、WEBカメラだけで3D解析を行う骨格検出システムだ。映像や静止画像から人の骨格(各部位の関節25箇所、顔パーツ5箇所)をリアルタイムで検出し、動きを捉える。そこで得られたデータを蓄積することで、さまざまなスポーツの動作や、工場内での作業者の動きなどをチェックできる。リハビリや医療分野への導入も期待されている。
同社が開発した、進化型ARサイネージ「Kinesys」は、衣服の仮想試着などの用途に使われ、多くのメーカーや施設に導入されていた。しかし「Kinesys」で使用していたマイクロソフトの深度センサ付きカメラ「kinect」が販売終了となる。代替となる深度センサ付きカメラは見当たらず、苦境にたたされた。
そこで事業継続のために求められたのが、深度センサ付きカメラを使わない骨格検出システムだった。そこで光が当てられたのが、同社がすでに開発していたディープラーニングによる画像認識技術。これをベースに、「ビジョンポーズ」の独自開発に踏み切った。
同社はエンジンのみを提供。
個人ユースにも対応できる低価格が強み
対象市場と優位性
現在はベータ版を一般企業10社に先行提供している。同社は「ビジョンポーズ」のエンジンを提供するのみ。各企業が当該エンジンを活用し、アプリケーションの開発を行うというビジネスモデルだ。
グーグルが開発した「ディープポーズ」や、カーネギーメロン大学の「オープンポーズ」など、競合となる骨格検出システムは存在する。それらと比較した際の優位性は、まず処理速度が早いこと。また用途制限もなく、数万円からと低価格での提供が可能であるため、VtuberやVRチャットなど、個人ユースにも難なく対応できるのだ。
また、「ビジョンポーズ」と併せて開発した「アノテーションツール」により、人工知能の教師データを作成。これにより、目的によって必要となる「ビジョンポーズ」を追加学習し、骨格検知の精度向上を進めることができる。
「ビジョンポーズ」はプログラミング言語「C#」のSDKとして提供される。「kinect」のSDKに近いインターフェイスであるため、これまで「Kinect」を利用していた企業なら半日もあれば「ビジョンポーズ」への移行が完了できるという。これまで「Kinect」を使用していたアプリケーションなら、ほぼそのまま「ビジョンポーズ」が使える、ということだ。
一般ユーザーへの普及も進め、
2022年までのマザーズ上場を目指す!
事業にかける思い
現在は、企業向けのスタンドアローン版の提供のみだが、今後はこれを軽量高速化し、クラウド上からのサービス提供を検討している。またさらに、IoT機器やスマホなどに搭載していくことで、一般ユーザーへの普及を図る。そのためにも2019年末までに十億円規模の資金調達を目指している。
同社は2002年に福岡で創業された。藤田義生代表は、それまで大手コンピュータメーカーでソフトウェア設計・開発に従事してきた人物だ。「子どもの頃に夢見た未来社会をこの手で作り上げたい」と起業に踏み切った。以来、九州地区有数のソフトウェア開発会社として、存在感を高めてきた。
「全国的に見ても、AIとVR、AR、MRを1社のなかで完結させられる会社はほとんどありません」と胸をはる藤田代表。「ビジョンポーズ」以外にも、AIを駆使したARアプリやMRシステムの開発が複数進行中だ。「当社はAI技術を中核に、『カメラを通して人の動きを解析したり、物体を認識することに特化、そこから広がるビジネスを展開していきます。2022年までのマザーズ上場を計画しているところです」と藤田代表は抱負を語った。
株式会社ネクストシステム | |
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代表者:藤田 義生 氏 | 設立:2002年8月 |
URL:https://www.next-system.com/ | スタッフ数:55名 |
事業内容: 各種AI,VR,AR、MRシステムの企画・開発・販売 |
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これまでの資金調達額(出資額)と主な投資会社名: 金融系ベンチャーキャピタル3社、個人株主(元上場企業創業社長) 1名が出資。金額は非公表 |
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ILS2018 大手企業との商談数: 14社 |
当記事の内容は 2019/1/14時点のもので、該当のサービス内容が変わっていたり、サービス自体が停止している場合もございますので、あらかじめご了承ください。