パナソニックの保有する特許技術を世界へ!
日本発の素晴らしき技術の付加価値を創出する

この記事はに専門家 によって監修されました。

執筆者: 髙橋 光二 編集:菊池 徳行(ハイキックス)

「音声による感情認識技術」と「虹彩認証技術」の
SDKを提供し、製品開発をバックアップ!

事業や製品・サービスの紹介

photo1.jpg「テクノロジーインキュベートサービス」。株式会社スワローインキュベートが手掛けている事業である。世界でもハイレベルの特許件数を誇るパナソニックと提携し、その特許技術を他企業にブリッジしている。

数多くの特許技術の中から、「音声による感情認識技術」「虹彩認証技術」「行先提案技術」など、ビジネス化に有望なIT、IoT技術に絞り込み、企業に活用されやすいよう、SDKやAPIといった形に実用化開発をして提供中だ。

現在までに上市された実績としては、「音声による感情認識技術」による「UDトーク®」がある。話された言葉をリアルタイムでテキスト化するアプリで、スピーチや講演などで同時字幕を表示して聴覚障害者や外国人に対応したり、議事録の作成、文字起こしなどに幅広く活用できる機能に加え、同社のエンジンを組み込むことにより感情状態の可視化を実現している。そのほか、コールセンターへの導入も決まっている。

「虹彩認証技術」に関しては、海外の生体認証端末メーカーにSDK(ソフトウェア開発キット)を提供し、入退出や勤怠管理システムとしてリリースすることが決まっている。ほかにも、スマートフォンメーカーなどから続々と引き合いが来ている状況にある。

同社のビジネスモデルとしては、SDKを年間契約で貸し出すかたちや、SDKを利用して開発したハードウェア販売のレベニューシェアなどがある。

もっとも有利なセキュリティ方式の生体認証。
世界中で劇的に普及することを確実視

対象市場と優位性

特にニーズが強いという、虹彩認証技術。生体認証に関する市場はまだ立ち上がったばかりで、国内ではまだ数十億円の規模といわれるが、今後世界中で激増していくことは間違いない。

セキュリティ対策へのニーズは高まる一方で、生体認証は既存方式の中でもっとも有利であり、かつ当該モジュールの単価は量産化で下がっていくからだ。現に、例えばインドでは国民IDシステムに生体認証が使われており、約10億人のユーザーが登録されている。

セキュリティの方式には、ID・パスワードによる認証、カードなどの物体による認証、そして虹彩や静脈、指紋、顔などの生体認証の3つに大別される。ID・パスワードは「忘れる」「漏れる」リスクがあり、物体は「なくす」「壊れる」「盗られる」リスクがある。生体認証にはそれらのリスクがない点が極めて有利だ。

一方、プレーヤーがまだ少なく価格が高いというデメリットはあるが、同社は協業が決まった生体認証端末メーカーにより価格競争力のあるデバイス開発に目途をつけた。また虹彩認証においては、明るい場所と暗い場所で瞳孔のサイズが変わることで本人がはじかれてしまうリスクがある。しかし、同社はパナソニックの国際特許技術を使ってそのデメリットをコントロールできる強みがある。

ベンチャーとのネットワークと、パナソニックの
オープンイノベーション戦略が合致し協業

事業にかける思い

photo3.jpg同社を創業した大野寿和氏は、これまで、数社のITベンチャーのCFOを務めていた。多くのベンチャーが経理や財務などの管理業務が疎かになりがちな傾向を体感し、バックオフィス業務のサポートを通じてベンチャーの健全な発展を支援する目的で、2013年に同社をスタートさせる。

この活動から、多くのベンチャーとのネットワークを築いた同社は、2015年に、知的財産に関する会合でパナソニックと出合う。パナソニックは、2014年度に国内第3位となる5312件もの特許を登録。しかし、数々の特許の中には休眠特許となってしまうものもあり、当該特許の更新にはコストもかかる。同社はその休眠特許活用推進の一環としてオープンイノベーションの導入に踏み切っていた。

そこで、スワローインキュベートのベンチャーネットワークに着眼したのだ。「これが縁で、パナソニックと協業することができました。以来、テクノロジーインキュベートサービスで手一杯となり、バックオフィス支援サービスはストップしている状況です」と大野氏は打ち明ける。

特許技術の実用化には、想定の2~3倍の時間がかかった。このため資金確保が課題となったものの、CFOのスキルや知見を生かして銀行融資に成功し、実用化に漕ぎつけた。

「2020年までに5億円の売り上げが目標ですが、虹彩認証と音声による感情認識の2つの技術で行けると見ています。今後はパナソニック以外の日本企業との提携も視野に、日本の特許技術を世界に広めることに貢献していきたいですね」

株式会社スワローインキュベート
代表者:代表取締役社長 大野 寿和 氏 設立:2013年12月
URL:https://swallow-incubate.com/ スタッフ数:11名
事業内容:
特許技術SDK/APIによる技術支援サービス
これまでの資金調達額(出資額)と主な投資会社名:
特になし
ILS2017 大手企業との商談数:
11社

当記事の内容は 2018/5/22 時点のもので、該当のサービス内容が変わっていたり、サービス自体が停止している場合もございますので、あらかじめご了承ください。

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