- 目次 -
コンセプトは“公園”と“ピクニック”
名古屋の繁華街・栄で、カフェを立ち上げることになった高橋昌宏さん。百貨店やオフィスビルが建ち並ぶ場所で、公園のような安らぎと楽しさを演出する店をつくろうと考えた。
そして、“公園”というキーワードに合致する商品を販売するショップスペースも設けることに。
「周囲には飲食店が多いので、差別化を図ろう と思ったんです。ショップを併設することで、集客力もアップしますし。最初は、公園へ出かける時に持っていくモノということで、マフラーや手袋などファッ ション雑貨を広く販売しようと考えました。でもありきたりでインパクトに欠ける。ならば帽子に特化してみようか、と」
帽子は、手袋やマフラーに比べて、客層を限定するアイテム。しかし、帽子ショップを併設するカフェは、名古屋だけでなく他の地域でもほとんど例を見ない。このような新しい業態ならば、話題性があり集客効果も期待できる、と高橋さんは判断した。
店の構造は、入り口に帽子ショップ、その奥にゆったり寛げるカフェスペースを配置。スタッフは皆、個性にあった色とりどりの帽子をかぶり、ショップ とカフェ両方の接客を担当する。カフェのメニューは、ピクニックをイメージさせるハンバーガーやサラダ、デリなどの軽食を充実させる。このようにして、“ 公園”のような明るく楽しい店というコンセプトが徐々に具現化されていった。
このアイデアの集客効果に驚くとともに、意外な弱点を発見!
2005年5月末、帽子ショップとカフェを併設した「P.A.R.K(ペアルカ)」がオープン。高橋さんの思惑とおり、帽子ショップとカフェのコラボレーションというアイデアは話題となった。オープン当初から地元のメディアで多数紹介され、順調に客足は伸びていく。
「しかし、一部のお客様から『カフェがあるって気づかなかった』と言われることがありまして。確かに、店の外からはカフェスペースが見えにくく、帽 子ショップにしか見えないんです。外の看板に“帽子ショップ×カフェ”と書いてあるだけじゃ、分かってもらえないんだと実感しましたね。当店のメインはカ フェなので、飲食目的のお客様を逃すのは大きな痛手。あわてて外観のディスプレイに手を加えましたよ」
さっそく、高橋さんは扉の脇に大きなパラソルとウッドテーブルを出した。料理のサンプルやカラフルなメニュー看板を載せ、ひと目でカフェだと分かるように演出したという。そのおかげで、食事時はつねに満席になるほど集客力がアップ。
「ランチは、公園を意識した軽食がメイン。デリやポテトがついたプレートセットやハンバーガー、ベーグルサンドといったおしゃれなメニューをそろえています。これが意外にも男性や年配のお客様に好評なんですよ」
短期間でカフェの収益が上がったことに、高橋さんは大きな手ごたえを感じている。
新しいことに挑戦する面白さと難しさを実感
実は、アパレルや物販の経験はまるでないという高橋さん。オープン前は、自分に帽子ショップが運営できるだろうか、と不安に思ったこともあるという。
「でもやっぱり新しいことに挑戦したいという思いのほうが強かったんです。自分には物販のノウハウがないので、アパレル経験者やファッションに興味 のある人をスタッフとして多数採用しました。残念ながら帽子販売の経験者はいないんですが、みんなで意見を出し合って試行錯誤していますね」
仕入れる商品の選択、ディスプレイなどは、スタッフから新しい意見が出るたびに随時変更している。とにかくこの一年はいろんな方法を試してみようと、手探り状態で進めているのだと話す。
「全体的には食事目的のお客様が多い印象ですが、買い物意欲がなくても、混雑時の待ち時間や、会計を済ませて店を出る前とかに、帽子を手に取る人は 多いんですよ。その場で購入しなくても、後日またいらして購入するというケースは少なくない。最初は若年層向けの商品を中心にしていましたが、今ではどの 年代や趣向の方にも合うよう、幅広く商品をそろえています。2000~3000円台という手頃な価格帯に的を絞っていますね」
しかし現時点では、帽子の売り上げに波があり、全然売れない時もあるとか。未経験のビジネスなので、効率的良く仕入れができていないと反省している。
「でもこの苦労は無駄になりません。一年目のデータや経験を生かせば、ニーズや売れ筋を読めるようになるはず。当面の目標は、ロスを減らして、売り上げを安定させること。2年目となる今年の春からが勝負です!」
帽子の販売という未経験の事業にも果敢に取り組む高橋さん。その表情には意欲と希望があふれていた。
Q:どうしてカフェと帽子のコラボを選んだの? | ||
公園のような店というコンセプトで、ショップ併設のカフェを始めることに。公園へ出かける時に必要なアイテムを販売しようと考えた時、帽子が思い浮かんだ。 | ||
Q:こだわりポイント | ||
・カフェ |
||
Q:コラボをして良かった点 | ||
帽子ショップを併設するカフェは珍しいので、メディアに取り上げられる機会が多い。お客様の記憶にも残るし、クチコミで広がる。 | ||
Q:コラボをして悪かった点 | ||
アパレルや販売の経験がないので、どうやったら効率的に売れるのかが分からず四苦八苦。仕入れる商品、数量で悩むこともしばしば。 | ||
Q:売り上げ比率は? | ||
開業当初予測→カフェ80%:帽子ショップ20% 現実は?→カフェ90%:帽子ショップ10% |
ショップ概要 | ||
|