- 目次 -
こんな店があったらいいのに!と思ったことが起業のきっかけ
「以前、同級生たちとフットサルのチームをつくっていた時に、
プレーを終えたチームメイトたちと気軽に飲食できて、
盛り上がれる店がなかなか見つからなかった。
こんな店があったらいいな、とずっと考えていて
実現したのがKEL(ケル)なんです」
フットサル場とカフェ。
一風変わったコラボレーションを実現させたのが、東京都江東区にあるKEL。
このKELを運営しているのが、株式会社ファンタジスタだ。
自らもフットサルの大ファンと話す、代表取締役の桑原さん。
前職は、人気ゲームソフト制作会社で制作ディレクターを努めていた経験を持つ。
「入社以来、4年間携わっていた大きなプロジェクトを終えた時、
ふと自分の会社員生活を振り返ってみたんです。
以前から、漠然とですが起業というも のに興味を持っていたこともあって、新しい道を探そうかと模索していました。
迷った末、ある出来事をきっかけに、人生をリセットしようと決め会社を飛び出 したんです」
ある出来事とは、結婚も意識していた彼女との別れ。
その別れが、彼の人生を変えたのだ。
この頃、桑原さんの心の中にはある思いが広がり始めていた。
「会社員時代、平日の夜や休日に、仲間たちとフットサルをしていたんです。
フットサル場って、どこでもすごく予約が入っていて、
その予約状況をもとにシミュレーションしてみたら、
これって結構儲かるビジネスなんだって気付いたんです。
そこに、カフェを併設したら、ひとつのビジネスとして
成り立つんじゃないかと思って。
会社を辞めてその事業を始めようと、すぐに仲間を集め始めました」
同級生たちと通っていたフットサル場を、彼は別の角度から観察していたのだ。ただし、自分たちで用地の借り入れまで行うと、莫大な金額がかかってしまう。そこで彼は、いつもプレーしていたフットサル場のオーナーに相談を持ちかけた。
「丁度、オーナーが施設の他店舗化を推し進めようとしているタイミングだったので、その運営を自分たちに委託してほしいと交渉しました。フットサル場の運営を 自分たちが行うのです。
そうすれば、オーナー側はオープン後の運営業務が不要となり、事業拡大に注力しやすくなる。
自分たちは多額の資金をかけなくても、 フットサル場が運営できる。双方のメリットが一致したわけです。
また、コートにカフェを作るというアイデアは、僕ら独自のものだったので、僕らが運営する ことによって
コートに付加価値が生まれるということも、オーナーは期待していたようです。」
ところが、最初に運営を受託したコートは上下水道の問題や、土地の規制などの問題でフットサル場はオープンできるものの、念願のカフェ開業の夢は叶えられなかった。
そして、次の進出先も同じような条件で飲食店出店ができない。
実際フットサル場とカフェの双方をオープンできる条件の場所は意外と少ないのだった。
「物事ってなかなかうまくいかないなぁって思いましたよ。
運営を受託した2施設も軌道にのるまでに時間がかかり、お金は出ていくばかり。社員も5人 いたし、だんだん焦ってきましたね。
本業とは別に食べるための仕事もこなして、何とかつないでいました。
しかし、我慢の甲斐あって、会社設立1年後、やっ と実現できるチャンスが巡ってきたんです。
オーナーが次に出店を予定する江東区の土地には建物が付帯しており、
その中にはもともと食堂として使われていた 40坪ほどの広いスペースがあるというのです」
肩ひじはらず自然体で、がカフェ運営の合言葉
早速、オーナーから新施設の運営を受託し、カフェ開業の準備を始めた桑原さん。
しかしながら、社員全員が飲食業未経験。
そこで常連だったカフェの オーナーに相談して、
開業のプロデュースを格安でお願いした。
その人から店舗デザイナーも紹介してもらい、
シンプルで居心地のいい空間をデザインしてもら う。
ショップスペースもつくったため、完成してみると当初の予算の約2倍かかってしまう。
しかし、自分たちでできる限り出資をして、不足分は知人や親戚か ら出資を仰いだ。
この苦しい時期を支えてくれた友人たちには、今でもとても感謝しているという。
「店には、サッカーを観戦できる大型プロジェクターやDJブースなどを設置しました。
こだわったのは、カフェからの眺め。
フットサル場を見渡せるようにして、たとえプレーをしない人でも、
フットサルという競技を身近に感じてほしかったんです」
こうしてフットサル場オープンから2カ月後の2004年1月、KELが念願のオープン。
社員全員が交代で、朝から晩まで店に立つ。
しかし、最初から 順風満帆というわけではなかった。
お客さんにカフェの存在が浸透せず、オープン当初は休憩スペースと思って席で着替えをする人も珍しくはなかったという。
「最初は悩みました。ココはお店なのに!って、その結果オープン直後は『ココはお店です』ってわかってもらう様な接客を意識していました。
でも、逆に自分たちにも何か欠如しているものがあるのでは?と模索もしていましたね。
そして、自分たちがカフェ運営というものを教科書的にとらえすぎていたんだと いうことに気付いたのです。
そこから、焦らずゆっくりカフェの存在をわかってもらえるような考え方にシフトしました。
既成概念を忘れて、もっと気軽にやろ うよって(笑)」
その頃からお客さんも増え始め、常連さんも定着するように。
店では、国際試合の観戦イベントや音楽イベントも開催し、週末には大勢のフットサルプレイヤーが集う店となった。
「KELは今後、KELならではのサービス・ホスピタリティを追及していきたいです。
会社全体として目指すのはフットサルの総合商社です。
自分たち でブランドをつくり、世界レベルのチームも持ちたいですね。
もともと、やったもん勝ちっていう気持ちが大きいので、
いろんなことに積極的に挑戦していきま す!」
Q:どうしてカフェとフットサル場のコラボを選んだの? |
自分が一番必要としていたから!自分がフットサルにはまっていて、 練習後、チームメイトの同級生たちとプレーの話などをしたいのに、いつも適当なお店がなくて苦労していたんです。 |
Q:こだわりポイント |
・カフェ チームメイト全員で立ち寄ったとしても、1テーブルでまとまれるように、大人数の席を多くセッティングしています。 大勢で食べても満足できるように、料理は比較的多めの盛り付けです。 ・フットサル場 イチ押しはトップレベルのプレイヤーによるフットサルスクール。 女性の参加者も多く、楽しみながらフットサルの技術を学ぶことができます。 ・ショップ 自分たちのオリジナル商品を展開することができたことですね。 |
Q:コラボをして良かった点 |
練習や試合の後、お客さんたちがカフェでプレーについて話し合ったり、 楽しそうに交流してくれていると、狙いとおりだったなと感じますね。 |
Q:コラボをして悪かった点 |
まずないですね。 |
Q:売り上げ比率は? |
開業当初予測→フットサル場70%:カフェ20%:ショップ10% 現実は?→フットサル場50%:カフェ40%:ショップ10% |
ショップ概要 | ||
|