地球を救う事業。未経験から飛び込んだ竹建材ビジネス / 竹資源クリエイト株式会社

この記事はに専門家 によって監修されました。

執筆者: ドリームゲート事務局
田中一男さん
格言 まずは相談しよう
自分ひとりで考え込まずに、いろんなところへ出掛けていって相談してみるといいでしょう。
田中一男さん
●1938年 福岡生まれ。1999年 日本エアシステムを定年退職。2001年 現在の会社の前身企業を引き取り、2004年 竹資源クリエイト株式会社を設立。日本航空JASOB会理事、横浜市ベンチャーマネジャー、ドリーム会総務 部長等、多方面で活躍している
竹資源クリエイト株式会社:
http://www.takesigen.com/
「個人のお客さまも多いですね」。メールでの細かなフォローも欠かさない。

 

防菌防カビにもすぐれた、天然無垢の竹フローリング

 

Q&A

Q1:起業を決意したときの周囲の反応は?

A:妻は今でも反対していますよ。「勤め上げたんだからゆっくりすればいいのに……」と言われています。

Q2:起業の際の失敗談は?

A:以前の経営者のときの帳簿がちゃんと残っていなくて、登記後に税務署に問い合わせたら、赤字が想定の倍以上あったこと。

Q3:現在の充足度は?

ほとんど100%。暇がないほどにフル回転して働けているから、そういう意味においては、100%です。

Q4:もし、起業していなかったら・・・?

A:多分、ボケていたでしょう。日がな1日テレビを見て、何にもほかにすることがなかったら、それはボケますよね。

パイロットから竹素材を扱う建材ビジネスへ。

全く違う分野での起業を果たした田中一男さんが感じていたのは、
「地球を守りたい」という強い使命感だったという。

持ち前の好奇心と行動力で、今や竹フローリングに関しては指導的立場にまでなった田中さんに、なぜ竹は地球を救うのか、抱える思いや起業の経緯を聞いた。

ある日、突然、定年を迎えて

パイロットとしての任務を終え、田中さんが地上に降りたのは60歳のときだった。

「40年間空を飛び続けて、ある日突然、定年を迎えてしまった。
専門バカとでもいうのでしょうか、定年後の準備など何ひとつしていなかったんです。
楽しかったのは、最初の3ヶ月だけ。
その後は、体は元気なのにやることがないんです」

そんなときに、古くからの友人がある団体を紹介してくれたのだそうだ。

「ドリーム会といいまして、異業種交流会のような形で、あらゆる業種の管理職やコンサルタント、弁護士などが会員になって勉強会を開いていました。
そこへ顔を出すようになったんです。」

おりしもITバブルと呼ばれたころ。
いつのころからか、ドリーム会にはIT起業を目指す若き起業家たちが相談に訪れるようになっていた。
そして、「いちばんヒマだった」という田中さんは、会社立ち上げのサポートなどを行うようになっていく。
そして、その中に、現在田中さんが経営する企業の前身となる企業があったのである。

「持ち込まれる案件がITばかりだった中で、竹フローリングの販売施工というローテクさが目を引いてね。
“竹は地球を救う”というコンセプトに共感して投資をしたのですが、学者肌だったオーナーはあまり経営がうまくなかったようで、赤字ばかりが膨らんでしまった。
そこで、私が自分でやろうと退職金をつぎ込んで株を引き取り、代表取締役に就任したんです」
 

竹を建材として活用できれば、地球環境を守ることができる。

赤字を抱えたマイナスからのスタートではあったが、会社立ち上げのサポート経験のおかげで起業に対する不安はなかったという。
それよりも、地球環境の保全という大きな使命感に突き動かされていたようだ。

「植林事業を行うNGOに顔を出していたこともあるんですよ。
しかし、植林した木が成長するには50~60 年という年月がかかる。
では、今ある木の伐採を減らすためにはどうしたらいいのか。
その答えをくれたのが竹でした。
竹は3年で成長します。
しかも、たくさんある。竹を建材として活用できれば、木を切らずに済み、地球環境を守ることへとつながるのです」

そして、時代は田中さんにとって追い風となった。
「竹のフローリングは、中国で生産されたものを輸入しているんですが、その中国が竹資源の有効活用に国をあげて取り組み始めた。
都市部以外に住む9億人の収入源、雇用創出のひとつとして竹が選ばれたんです。おかげで安定的に輸入ができ、質もよくなりました」

そして、もうひとつの追い風が2003年に改正された建築基準法だ。

「それまでゼネコンを頂点とする建材ビジネスでは新規参入は難しいものでした。
しかし、シックハウス症候群が問題となり、環境と健康が家を買う人にとって重要なポイントとなってきた。
それを受けて、ホルムアルデヒド等に関する規制が厳しくなったというわけです。
天然無垢の竹素材を扱う私にとっては、チャンスでした」
 

建材のプロではなかったからこそ、生まれた「置く竹」

建材ビジネスのプロではない田中さんだからこそ開発できた商品もある。
それが、商標登録した「置く竹」。

「従来、フローリングは釘や接着剤などで固定するものだというのがプロの常識でした。でも、パイロットだった私にはそんな概念はなかった。
畳を敷いていいんだから、フローリングもいいだろうと」。

そうして、床に置いてはめ込んでいくだけの「置く竹」が生まれることになる。

工期や工費が削減でき、しかもリサイクルも可能。
DIY感覚で敷くことができる手軽さもあって、賃貸のマンションや事務所などでも支持されているそうだ。

「竹フローリングの認知度も徐々に上がり、メディアに取り上げられる回数も増えてきました。
でもね、私は自分の会社だけが良ければいいとは思っていないんです。
だから、竹の建材を扱ういい会社があれば、惜しみなくノウハウを提供しますし、連携を強めていくようにしています」。

結果として、技術アドバイザーなどの肩書きで関係を持つ会社は複数に渡る。

「全体として竹フローリングの需要が増えれば、私の会社を含め業界全体が潤いますし、それがそのまま地球環境の保全に貢献することになる。
胸を張って言える仕事を私はしていると感じています」

起業、経営ノウハウが詰まったツールのすべてが、
ここにあります。

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