(株)SEED-TANK 代表取締役社長 古里太志さん
1971年東京都生まれ。東京工芸大学工芸学部建築学科卒業後、グローバルダイニングに就職。在籍していた6年間、店長として数々の店舗の運営に携わる。 ●プライベートでよく行くお店 ●これから店舗を開業する人たちへのメッセージ |
独立したのは28歳のとき。
最初につくった店は、75坪90席のダイニングレストラン。
開業資金は9,000万円、借り入れ金額4,000万円。
個人が最初にスタートさせる店としては、何もかもスケールが大きい。
しかし、古里さんはあえてチャレンジした。
「大きい店のほうが自分は楽しめるはず」という理由で。
開店後、店は人気繁盛店となり、1年後には早くも2店舗目を開業させた。
そして4年後には、銀座にまったく新しい形態のレストランをオープンさせる。
飲食業界の風雲児は今、革命家になろうとしている。
- 目次 -
会社初の大卒社員。入社10カ月後、最短最年少で店長に
「建築家を目指していた僕が就職先に選んだのは、ゼストやモンスーンカフェといった
カフェレストランを多数経営している、グローバルダイニングという会社。
大学の建築学科を卒業したのになぜこの世界に? よく聞かれる質問に、僕はいつもこう答えています。
建築の世界ではトップになれないけど、接客の世界では トップになれると思えたから……と。
学生時代にアルバイトしていたのは、グローバルダイニングが経営するレストラン。
接客するのが楽しいし、お客さんに喜んでもらえることに喜びを感じる自分がいました。
自分には接客の才能がある、という確信も持てた。
この時に僕は、20代で独立し自分の店をつくる、という目標を持ったのです。
グローバルダイニン グは、年齢も雇用形態も関係ない、徹底した実力主義の会社。
この会社で実績と経験を重ねたら、目標は達成できる。
バイトをしていた大学生の時に、自分の進むべき道、やるべきことが明確に見えました。
グローバルダイニングだったからこそ、こんな目標を描くことができたと思っています。
でも、就職するときは、 親からずいぶんと反対されましたけどね(笑)。
僕が六本木にある店舗の店長になったのは、入社して10カ月目。
その時僕は23歳。
これは、この会社の最短最年少の記録でした。
以来、6店舗の店長を経験し、新規店の立ち上げや、不調店の立て直しにも関わりました。」
眠れないほど悩んで決断した75坪90席の1店舗目
「20代で独立することが目標でしたから、僕には時間がない。
そこで僕は、店舗運営に必要なノウハウを身につける、人脈を形成する、人を動かすノウハウとリーダーシップを身につける、お金を貯めるという4つの課題を自分に与えました。
資金がある程度貯まり、さらに後輩からの後押しもあって5年後に独立。
28歳だった僕が最初につくったのは、店舗面積75坪、席数90席、家賃180万円の店。
個人が最初に持つ店としては規模が大きすぎるというのはわかっていました。
それに、さすがの僕も、最初からこんな規模の店を持つつもりはありませんでしたから、
20坪か30坪の物件を探していました。
でも、物件探しを始めて3日目に、今の「Furutoshi」の物件に出会い、見た瞬間、
ここで店を出したいと思ったのです。
それは理屈じゃなく、ここなら自分が求めているお客さんが集まってくるだろうという直感。
ここに出店することを決断してからも、不安で眠れなかったですよ。
ただこれまでの経験で、自分にはお客さんの気持ちがわかるという確信があるから、
何をすればいいのかは見えている。
それを信じて決断し、イタリアンをベースにした国際色豊かな料理とサービスの質の高い
エンターテインメント性のある大人のためのダイニングレストラン 「Furutoshi」をオープンさせました。
結果的に、この決断は大正解でした。最初からあえてステージを上げたことで、
プレッシャーは大きかったですが、その分、自分もそしてスタッフも、必死になって
常に進化し成長する店づくりに取り組むことができましたから。」
もっとエンターテインメント性のあるフードカルチャーをつくっていきたい
「1年後、麻布十番にコンセプトの違う、和の食材を洋食のスタイルで表現した50坪70席の店を出店しました。
それから4年後の2005年11月には、3店舗目とな る120坪120席の店を、銀座に新しくできる
ブティックホテルの中にオープンさせます。
町場のレストランがホテルのメインダイニングになるという例はほ とんどないはず。
うまくいけば、新しい形態として注目されるでしょう。
だから失敗するわけにはいかない。
今、「食」のカルチャーは、アートや音楽、洋服やビューティーなどとクロスする時代に入っています。
エンターテインメントのとらえ方や枠が、これまでと違ってきている。
僕は、そんなエンターテインメントの中に、フードカルチャーをつくっていきたいと思っています。」
1号店のPacific Currentsは2001年10月にオープン。 港区麻布十番2-20-7 TEL/03-5765-2356 |
古里さんがつくる店は、スタイリッシュな中にも、 東洋的テイストがさりげなく漂っている |
Pacific Currents、1号店のFurutoshi (港区西麻布1-15-10 TEL/03-575-1275) とともに、外国人客の比率が高い |
「支払った額以上に満足したとき、 お客さんはリピートしてくれる。 感動や感激を与える店づくりをして、 満足度で勝負していきたい」 |
Q:成功している理由は何だと思っていますか? |
A: 繁盛店になる要因は、料理がおいしいこと、いつ行っても同じサービスが受けられること、 |
Q:これまでいちばん大変だったときは? |
A:2店舗を出した後の、独立して3年目のころです。 |
Q:オーナーとして、心がけていることは? |
A: 店を持ち経営者になり、僕の世界は確実に広がりました。 |
1号店の開業データ
開業資金 9,000万円
物件取得費 2,500万円
内装工事費他 6,000万円
店舗データ
・Furutoshi@西麻布
・Pacific Currents@麻布十番
・sky@銀座