フランスの雑貨メーカに単身乗り込み、独占販売権を取得 / (株)プチコキャン

この記事はに専門家 によって監修されました。

執筆者: ドリームゲート事務局

(株)プチコキャン代表取締役 田中久美子さん

(株)プチコキャン 代表取締役 田中久美子さん

1968年静岡県生まれ。短大卒業後、イギリスに留学。
帰国後家具の輸入販売会社に就職し、商品開発や輸入業務を担当。
2年間在籍後、3社の外資系企業で 広報を担当。その間、起業への決意を固める。
輸入雑貨の卸業を始めようと、退職後、ヨーロッパへ雑貨の買い付けに行く。
そこで、現在扱っている商品の6割 を占めているフランス・ピローヌ社の
雑貨と出合い、輸入雑貨ショップの経営を決意。
1999年、お台場ヴィーナスフォートのワゴンショップで「ピローヌ ショップ」を運営。
2000年9月、「プチコキャン渋谷ファイヤーとおり店」を開業。
2001年8月、2号店の池袋パルコ店オープンを皮切りに、渋谷パルコ店、川崎ラチッタデッラ店、MYCITY新宿店、名古屋パルコ店、横浜赤レンガ倉庫店と、人気商業施設に出店。

●プライベートでよく行くお店
年に5回は海外に行くため、買い物はほとんど海外でしています。
好きな店は、パリの「Leshop(ルショップ)」という洋服のセレクトショップ。
パリに行ったら、何があっても必ず立ち寄る店です。

●これから店舗を開業する人たちへのメッセージ
自分の思うこと、信念を信じて突き進むしかないと思います。
迷ったり立ち止まっては何も始まりません。
それから、やりたいことは口にしたほうがいい。
逃げられない状況に自分を追い込んだほうが、実現の確率は高くなると思います。

この商売は商品が命。心底いいと思えるもの。ここでしか買えないもの。
そんな商品に出合えたら成功の確率は高くなる

店を持つことが目的だったのではない。

「どうしても扱いたい」
「扱うからにはお客さまの手に届くところを見届けたい」
そう思える商品に出合ったから雑貨 ショップを開いた……。

商品に惚れ込み、これなら日本でも売れる、という自分の直感を信じて始めた輸入雑貨ショップ「プチコキャン」は、予想以上に多くの人たちに受け入れられた。

1号店をオープンしたのは2000年。
5年たった現在、パルコや横浜赤レンガ倉庫など人気商業施設を中心に展開。

オーナーは、おだやかで優しい雰囲気を持つ田中久美子さん。
1児の母でもある。
 

「海外にかかわる仕事」を軸に自分ができることを探し続けた

「最初から輸入雑貨のショップを経営しようとか、お店を持つことが夢だったわけではありません。
ただずっと、海外にかかわる仕事をしたい。
漠然としてはいたものの、高校生のころから描いていた強い思いがありました。

英語スキルを身につけようとイギリスに留学したのも、その後家具の輸入販売会社に就職したり、
いくつかの外資系の会社に転職したのも、海外に関わる“どんな”仕事をしたいのか、
自分にできることは何かを絞り込んでいくためのプロセスでした。

輸入の仕事がしたい、組織に属するのではなく自分でやりたい、フランスの雑貨が好き……。
会社員として仕事をしながら、徐々に自分の進みたい方向や『好きなもの』が見えてきたのです。

フランスをはじめとするヨーロッパの雑貨を輸入して卸の仕事をしよう。

具体的な方向性が見えたときに、会社を退職しました。
そしてすぐに、ヨーロッパへ雑貨買い付けの旅に出かけたのです。そこで、運命を変える雑貨と出合いました。」
 

運命を変える雑貨との出合いが、ショップの経営者へと導いた

「ヨーロッパで開催された雑貨の見本市で、フランスの雑貨メーカー・ピローヌ社の
ブースに展示されている雑貨に衝撃を受けました。

ひとことで言えばグロテスク。
一目見ただけでは何なのかわからない。
でも、デザインも用途も日本にはない発想。

これはすごい。
時間はかかるかもしれないけど、日本でも売れる。
そう直感しました。

誰にもこの商品を渡したくない。
この商品を扱えるなら、卸しではなく、お客さまの手に届くまで見届けたいとも思ったのです。
卸業ではなく、 自分で雑貨ショップを持つことを決めたのはこの時でした。
それほどまでに、この商品は私を魅了したのです。

その後、単身ピローヌ社に乗り込み(笑)、運良 く、独占販売の権利を得ることができました。

これまで交渉に来る日本人はいても、独占で販売したいとやって来た日本人は私が初めてだったと、
社長が私の情熱に賛同してくださったのです。

このピローヌ社の雑貨との出会いが、輸入雑貨ショップ「プチコキャン」を誕生させたのです。
この商品と出合っていなけれ ば、もしかしたら、ショップのオーナーにはなっていなかったかもしれません。」
 

1号店は渋谷に、2号店は池袋パルコに。以来、人気商業施設内で展開

「当初、偶然にも知り合いから声がかかり、お台場のヴィーナスフォートのワゴンブースで販売することができました。
場所や施設の特徴柄、観光客が多く、また、新規施設だったこともあり売り上げは好調だったのですが、お客さまが定着しない。

リピーターになってもらえるお客さまをつくりたくなり、1年後、渋谷のファイヤーとおりに7坪の店舗を開業しました。
門前払いされながらも、半年間、探し続けてやっと見つけた物件。開業資金は300万円。

予算がないから、内装も家具や什器づくりもほとんど自分たちでしました。
場所柄、スタイリストさんの利用が多く、撮影用のレンタル含め、毎月6誌の雑誌に紹介されていまし た。

メデイアにたくさん露出したことがきっかけで、池袋パルコさんから声がかかり、
2年目に2号店を開業し、以来、毎年1店舗ずつ出店しています。
でも、 それは決して意図したことではなく、すべて偶然ですから不思議です(笑)。

『プチコキャン』とは、フランス語でいたずらっこ、という意味です。

新しく夢のあるモノや発想を提供していきたいという思いを込めてつけた名前で、
それは店のコンセプトでもあります。
商品、空間、ディスプレイ、サービス……店をつくり上げているすべてが、楽しく夢にあふれ、
またここに来たいと思ってもらえる店でありたい。
いつもこのことを大事にして店づくりをしています。

先日、自分たちの目が届く範囲内でちゃんとした店づくりをしたいから、
10店舗までが限界かな、と話したら、スタッフから、
 『前は5店舗が限界って言ってましたよ』
と言われてしまいました(笑)。

いつも次のことをしていないと、つまらなくなってしまったんですね(笑)。」
 

店内は、赤・緑・ブルーの3色を基本に空間をデザイン。「商品をひきたたせる色がこの3色だと、2店舗目のオープンのころに気づきました」 商品構成は、ピローヌ社の商品が6割、その他が4割。ピローヌ社以外で取引しているメーカーは18社。いずれもヨーロッパの会社
店内は、赤・緑・ブルーの3色を基本に空間をデザイン。
「商品をひきたたせる色がこの3色だと、
2店舗目のオープンのころに気づきました」
 
商品構成は、ピローヌ社の商品が6割、
その他が4割。
ピローヌ社以外で取引しているメーカーは
18社。いずれもヨーロッパの会社
買い付けはすべて、田中さんが行っている。年に5回はヨーロッパに出かけている。「商品がお客さまの手に届くまで見届けたいから、卸は一切していません」 2001年5月、プチコキャン・ネットを開業し、ネット通販による販売を開始
買い付けはすべて、田中さんが行っている。
年に5回はヨーロッパに出かけている。
「商品がお客さまの手に届くまで見届けたいから、
卸は一切していません」
 
2001年5月、プチコキャン・ネットを開業し、
ネット通販による販売を開始

Q:輸入雑貨ショップの運営で大変なことは?

A: 仕入れ原価、輸入コスト、店舗維持費、人件費、不良在庫……
コストもリスクも多く、かといって決して利益率の高い商売ではありません。
1~2店舗を運営しているだけでは、それほど儲かる商売ではないのです。
私自身、2店舗を運営している時が一番苦しかったですから。
6店舗まで増え、利益が“掛ける6”に なってやっと今、少し余裕が持てるようになりました。
そういう意味では、本当に好きでなければ続けていけない商売だと思います。
 

Q:6店舗まで展開できたいちばんの理由は何だと思っていますか?

A: やはり商品力だと思います。日本で、ピローヌ社の商品のすべてを扱う店は他にはありません。
うちでしか買えないもの、また他では見ないおもしろさや不思議さを持つ商品を扱っていること、
これがいちばんだと思います。
他の店と同じものを扱っていてはおもしろくない、人と同じことをしていたのでは続かない。
ずっとそういう考えが根底にありました。
その考えに合った商品に出合えたことは、本当に幸運でした。
 

Q:店舗運営で大事にしていることは何ですか?

A: スタッフ一人一人が楽しく時間を過ごせる環境づくりです。
さらに、デザインが得意なスタッフには、ショップカードやポストカードのデザインを任せたりと、
スタッフの“得意”が活かせる環境づくりも心がけています。
現在25人のスタッフがいるのですが、開業当初から働いてくれているスタッフもいます。
安心して店を任せられるスタッフの数だけ、出店することができますから。
 

1号店の開業データ
開業資金/300万円
物件取得費/25万円
内装工事費/60万円
仕入れ/125万円
http://www.petitcoquin.net/
 

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