株式会社ネットオン 代表取締役 木嶋諭さん
●兵庫県出身。特許事務所、基幹業務システムを扱うメーカー系システム企業を経て、2004年10月、有限会社グロービズを設立。
2005年 10月、株式会社に組織変更。テンプレートモンスタージャパンの運営に代表されるコンテンツ事業を始め、ソリューション事業、次世代広告媒体の開発などを行っている。
2007年 4月、商号を株式会社ネットオンに変更。
●会社概要 所在地/大阪府大阪市
設立年月日/2003.10.1 卒業年月日/2004.10.19
会社設立当初の資本金/1,000,000円
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設立1年で一足飛びに確認有限会社から株式会社へ卒業
あらかじめデザインされたホームページのテンプレート(ひな型)販売などを行うグロービズが、俗にいう“1円起業”から卒業し、株式会社となったのは2005年10月。資本金100万円の確認有限会社設立から1年後のことだった。
なぜ、1年で増資をすることができたのか。今、この制度を振り返ってどのように感じているのか。
起業の経緯とともに、グロービズの代表取締役社長である木嶋さんに聞いた。
世界最大級のホームページテンプレート販売サイト日本版を運営する
もともと木嶋さんにとって、起業という選択肢は特別なものではなかったようだ。
「祖父、父ともに貿易会社を経営していたこともあって、
物心ついたころから、いつかは起業しようと思うようになっていました」。
大学卒業後も就職はしたものの、何か人と違うことはできないかと起業のキッカケを探していたという。
キッカケを求めて行動する人のところには、必ずチャンスはやってくる。
「父の仕事に関連して、日本未発売のインテリア商品をネットで販売しようかと考えたんです。
ところが、販売サイトを立ち上げようにも、システムのことは分かっても、インターフェースのデザインができない。
そこで、英語の勉強も兼ねて、アメリカのデザイン系のサイトをよく見るようになったんです」。
そうして出会ったのが、世界最大級のホームページテンプレート販売サイト、テンプレートモンスターだった。
これが大きな転機となる。
このビジネスにはニーズがあると直感した木嶋さんは、すぐさまアフィリエイトサービスを利用し、2004年9月にテンプレート販売サイト「サイト屋.com」を開設。
10月には確認有限会社グロービズを設立し、その2ヵ月後には、テンプレートモンスターと日本地域での総代理店契約を締結、「サイト屋.com」改め「テンプレートモンスタージャパン」の運営を開始する。
確認有限会社から株式会社へ組織変更
木嶋さんが最低資本金規制特例制度を知ったのは、会社を設立する半年ほど前のことだったという。
「起業関連の本を読んでいたときに、はじめて知りました。
なんて便利な制度だろうと思いましたね」。
自分に責任を持つためにも法人としたい、しかし、資金はない。
そんな24歳の青年にとっては、願ってもない制度だったようだ。
「資本が少なくても法人格が取れるというのは、何より大きなメリットでした。
個人と法人ではやはりその信用のされ方が明らかに違いますから。
法人でなければ、テンプレートモンスターの日本総代理店になることもできませんでした。」
そして、確認有限会社としてスタートを切ったグロービズが、確認会社を卒業するのは1年後のこと。
しかも、単なる卒業ではない。
一足飛びに、株式会社へと組織変更を果たすのだ。
「もともと3年で卒業しようと計画を立てていましたが、
事業を始めてすぐに、株式会社化を目指すようになりました。
個人のお客さまにしても、事業会社と取引をするにしても、
やはり、有限会社よりも株式会社のほうが、信用力があると感じるようになったからです」
事業はもちろん組織としても、さらなる拡大を目指す
自らの報酬を資本金に充当し、さらには身内からの出資も得て増資を実現したというが、それにしても早い。
「仲間の協力のもとに、がむしゃらに働きましたから。
インキュベーションセンター内で、いつも電気がついているねといわれるほど。
あとは、テンプレートモンスターというビジネスの優位性もあります。
市場は確実にありましたし、仕入れコストが必要なかったのも大きいでしょう」。
さらには、こんな思いもあったそうだ。
「新会社法が施行される前に株式会社にしようとは考えていました。
現行の厳しい条件下での株式会社化によって、信用力をより高めることができると判断したからです。」。
そんな木嶋さんだからこそ、特例制度にはデメリットもあるという。
「資金調達の経験のないまま、会社がつくれてしまうというのは、デメリットにもなりうると感じました。
会社を拡大していこうと考える場合には、その経験があるなしというのは大きな違いがあるように思います」
株式会社になって、ようやく会社組織としてのスタートラインに立ったという木嶋さん。
「今までは、個人事業主のような部分もありましたが、これからは、事業はもちろん組織としてもさらなる拡大を目指します。事業拡大に必要であれば、将来的には株式上場も視野に入れていく予定です。」