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確認会社は仮の姿と肝に銘じ、11ヶ月というスピードで増資を実現
コンピュータグラフィック制作やソフトウェア開発を手がけ、11ヵ月という異例のスピードで最低資本金への増資を達成したのが株式会社ファブリカだ。
「初めての仕事を請け負ったときと、最低資本金への増資を達成したとき。
このふたつが今までの会社経営のなかで、もっともうれしかった瞬間ですね」
という代表取締役の天本さんに、卒業までの経緯や今後の夢を聞いた。
仕事のキャパシティを広げようと、会社設立を決意
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以前から一緒に仕事をしていた友人と一緒に、天本さんが株式会社ファブリカを設立したのは2003年6月のこと。
最低資本金制度特例制度のことは以前から 知っており、かねてから意識もしていたという。
「なぜ特例制度を使おうかと思ったかというと、それはズバリ、手持ち資金がなかったから(笑)。
それでも会 社にすることで、仕事のキャパシティを広げることができる。
それはビジネスチャンスの拡大にほかならないし、個人でやるよりもアドバンテージがあると考え たんです」。
そして、「どうせふたりでやるのなら」と有限ではなく株式会社としての第一歩を踏み出すことになる。
晴れて法人となったことで、実際にビジネスチャンスは拡大したそうだ。
「フリーランス時代からのクライアントもいましたが、中には法人でないと取引をしない というクライアントもありましたから。
やはり、手持ち資金がなくても会社がつくれるというのは、この制度の何よりのメリットではないでしょうか」。
目標は、1年以内に最低資本金への増資をすること
確かにファブリカのクライアントを見ると、そこには、玩具、情報通信、自動車といった業界のリーディングカンパニーの名前が並ぶ。
「だからという訳でもないのでしょうが、確認会社であることに肩身の狭い思いはしましたね。格の違いを感じるというか。
かといって、確認会社であることを隠すこともしませんでした。
ただ、社内では、今の私たちは仮の姿なのだという話はよくしていました。
できるだけ早く、1年以内には卒業しようという目標は全員で握っていましたね」
そして、その目標どおり、ファブリカは設立の11ヵ月後にあたる、2004年5 月に最低資本金をクリアする。
「とにかく背伸びをして、昼夜も問わずに仕事をするという毎日でした。
増資をするためには、ある一定以上の売り上げを上げる必要がありますから、
創業当時から、4~5人体制でとにかく大きい仕事をやる。
そして、地域も問わずに仕事を請けるというスタンスでいました」。
大きくビジネスを展開していくためには、さらなる増資も
これほど早く卒業できたのは、責任あるビジネスを任せてくれたクライアントとの出会いが大きいと天本さんはいうが、その実情はというと、かなりの苦労もあったようだ。
「何ヵ月というスパンでの仕事になると、入金サイクルがそれだけ長くなりますから、
資金繰りには苦労しました。
毎週のように東京へ出向く時期には、その旅費もばかにならないと、
何か仕事をとるまでは帰らないと決めて、駆けずり回ったこともあります」。
だからこそ、最低資本金をクリアした今になって振り返ると、ある程度の規模でビジネスをするためには、1000万円という資本金、つまり、それだけの体力は必要なのだと感じているという。
「これからもっと大きくビジネスをしていくために、さらなる増資も考えています。
アドバイスをくれるような、そんな第三者の株主も迎えたいですね。
事業としては、今はクライアントの求めるものをきちんと結果として出す、
誇れる職人会社であることを身上としていますが、いずれは、自社の名前で
ゲームなどのオリジナルコンテンツを世に出したい。
それに見合った実力を身につけられるような仕事を、これからも請け負っていきたいと考えています」