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設立後2年7ヶ月で確認会社初のマザーズ上場
2006年3月15日、総合比較サイト「比較.com」を運営する比較.com株式会社は東京証券取引所マザーズへ上場を果たした。
最低資本金規制特例制度を利用した企業としては、初上場となる快挙である。
予定を前倒して、特例制度企業の上場第一号に
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「特例制度を利用した会社の上場第一号になろうというのは、会社設立当初からの目標でした」
という渡邉さん。
まさに有言実行となったわけだが、それにしても、 設立からわずか2年7ヶ月というスピード上場である。
「設立当初は、もう1年後に上場をしようと考えていたのですが、インターネット業界の再編の波が思っ た以上に早く来ていまして。
1年延ばすことにリスクを感じるようになりました」。
激動の業界ならではの判断である。
最低資本金規制特例制度(以下、特例制度)を利用したのもまた、そんなスピード感を大切にしたからこそだったようだ。
「資本金を貯めているうちに、ビジネスチャンスを逃してしまうかもしれないし、人間ですからね、気持ちが変わってしまうとも限らない。
お金はまったくありませんでしたが、特例制度のことは以前から新聞などで知っていましたから、思い立ったらスグに会社ができるメリットを生かして、会社をつくったんです」。
そうして比較.com株式会社が誕生したのは、2003年8月のこと。
資本金250万円からの船出だった。
しかし、「比較.com」というサイトはといえば、もう少し古い歴史を持っている。
「比較.comのドメインを取得したのは1999年です。
旅行が趣味だったということもあって、各航空会社のマイレージサービスを比較するサイトを、個人的に開設したのが始まりでした」。
徹底的なコスト削減で、確認会社を早期に卒業
では、趣味から始まった比較サービスが、ビジネスへと変化するのはどういうキッカケがあったのか。
そこには、当時の渡邉さん自身の仕事が深く関わってくる。
「新卒でベンチャーキャピタルに入社しまして、国内ベンチャーへの投資をしていたんです。
しかし、ベンチャーへの投資というのは、その多くが失敗に終わる。
その理由がなんというか、くだらないことなんですよ。
社長の無駄遣い、身の丈に合わないキレイなオフィス……。
そんな案件を繰り返すうちに、私なら もっとうまくやれると考えるようになったんです」。
そんな経歴を持つ渡邉さんだからか、経営方針ははっきりとしている。
まず、オフィスや備品などにかかるコストを徹底して削減する。
一方で、リターンのとれる広告宣伝や人材への投資は惜しまない。
そして、独立性を保ち、買収リスクを減らすためにも外部資本は入れない。
そして、これらの方針こそが、スピード上場の理由でもあるのだ。
東証一部への上場も視野に入れ、事業を拡大
上場を果たした今、今後の展開をどう考えているのだろうか。
「今後は、営業力とテクノロジーの両輪でサービスを展開していく方針です。
外部メディアへのコンテンツ提供も行っていきます」。
さらには、こうした比較サービスの拡充と同時に、専門性の追求も行っていくという。
例えば、旅行業、保険募集事業といった具合にだ。
そして、会社組織としても、さらなる高みを目指す。
「100名規模にまで従業員を増やしていきます。
また、近い将来には、東証一部への上場も視野に入れていく予定です」