人の心を豊かにするバンブー家具をつくりたい / 有限会社 ユーキッス

この記事はに専門家 によって監修されました。

執筆者: ドリームゲート事務局

自分のやりたいことがバリで見つかった

ショップ名の「キッスアブル・ゾーイ」は「まるでキスをしたくなるような生命感あるもの」という意味をこめて、代表の小田有希さんが名付けた。

「自分たちで企画から手掛ける作品は、やはり愛着がありますから……」

小田さんは、2000年 9月に会社を設立して以来、数々の魅力あるバンブー家具を世に送り出している。

高校卒業後、以前から興味のあったアートスクールに入るため、すぐにアメリカ・ロサンゼルスに渡った。初めの1年間は語学を学ぶために英会話学校へ通うが、終了後すぐにアートスクールへ入学し、コマーシャルアート(商業美術)を学んだ。

3年間の留学生活を経て帰国。販売関係の仕事に就くが、将来、自分がどうしたいのかがわからず悩み続ける毎日。何をやっても上手くいかず、小田さんの焦りは日増しに高まっていった。

そのころ、友人の結婚式に出席するためバリに向かった彼女は、現地でハンドクラフトの仕入れをするアメリカ人と知り合う。アジア雑貨に興味があったので、彼の仕入れに同行し、話を聞くにつれ、心にはある思いが膨らんでいった。居心地が良くて、安らげる部屋を造りたいと考えていた彼女は、その手段としてアジア の雑貨や家具の輸入・販売の仕事が自分にもできないかと考えたのだ。

私には親譲りの商売人の血が流れている

帰国後も思いはどんどん募るが、もう一歩が踏み出せない。その時、バリでアメリカ人に言われた言葉が甦った―

「It's easy,you can do it!」

「この言葉に背中を押されました。目指していたものは、人に雇われず、自分が一生続けられる仕事なんだ、と気付いたのです」

小田さんは、アジア家具の輸入・販売の会社を立ち上げることを決意。接客には自信があり、一生続けられる販売の仕事は魅力的だった。

実家が京都で呉服屋を経営しており、販売の大先輩でもある父親に起業の相談を持ちかけた。そして、「売るものを一つに絞って専門性を出したショップ展開をするべき」というアドバイスを受けた。

さっそくリサーチを開始。バンブー家具に目を付け、日本でアジア雑貨や家具を扱うショップ巡りを始めた。かなりの数のショップを回ったが、バンブー家具を取り扱うショップは以外に少ない。

「何故だろう?」

小田さんはその疑問を直接ショップの人にぶつけた。そして、バンブーは害虫や乾燥、ひび割れ、輸送条件など、取り扱いに問題が多いことがわかった。ならばと、その問題を解決するために、彼女はインドネシアに渡った。

年 に 1度ジャカルタで開かれる大きな展示会を訪れ、質の良いバンブー商品をつくる現地工場主と知り合う。ここでは、アジアンテイストに西洋的なモダニズムを加 えた、魅力あるデザインのバンブー家具をつくっていた。素材のいいものだけを使うことと、加工方法の工夫で、問題とされていたことはすべて解決できること がわかった。

既製品ではなくオリジナルにこだわりたい

既製品ではなく、自分でデザインしたオリジナルのバンブー家具を販売することに決めた小田さん。家具については全くの素人だったため、仕事をしながら家具デザインの学校に半年間通い続けた。家具づくりの基礎からみっちり勉強をしたのだ。

こうして、2000年9月にバンブー家具のデザインから販売までを行う会社を設立。しかし、最初に実店舗を持つことはリスクが大き過ぎると考え、店舗は持たずネットと展示会での販売に絞る戦略をとった。

実際にインドネシアの工場との取引が始まると、さまざまな問題が発生。納期を守らない、約束していた納品数を自分の都合で勝手に変更してしまうなど、日本とのビジネス習慣のあまりの違いに悩まされることもしばしばあったという。

時には、交渉時に怒鳴りあいのケンカになり、悔しさのあまり泣いたこともあった。しかし、それでも頑張ってこられたのは好きな仕事をしていることと、多くの人たちに居心地のいい部屋づくりを提案したいという強い意志があったからだ。

家具づくりの企画のために、 1年に数回インドネシアに通い、時には地元の従業員たちと一緒に汗を流して、製作に携わることもあるという。

小田さんは、高品質の製品を日本のお客さまに安定して供給するため、2001年にインドネシアに自社工場をつくった。また、国内でも卸し先を募集して、バンブー家具をもっと多くの人に広めていく考えだ。

「人の心を豊かにする家具をつくりたい」

作品からは、そんな小田さんの言葉が聞こえてきそうだ。

【小田 有希さん プロフィール】

72 年、京都府生まれ。高校を卒業後、アメリカ・ロサンゼルスの語学学校に入学。語学学校終了後、アートスクールでコマーシャルアートの勉強を始める。97 年、友人の結婚式で訪れたバリで、ハンドクラフトの仕入れをするアメリカ人と出合ったことが、バンブー家具の仕事を始めるきっかけに。2000年9月に (有)ユーキッスを設立。

会社名   (有)ユーキッス
住所   東京都世田谷区下馬6-25-11-4A
連絡先   03-3412-3183
設立   2000年9月
業務内容   バンブー家具の企画、生産、輸入販売
URL   http://www.rakuten.co.jp/k-zoy/

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