働く女性の声を集めた究極のワーキングバッグを製品化 / 有限会社 ワークストリーム

この記事はに専門家 によって監修されました。

執筆者: ドリームゲート事務局

働く女性のために機能的なバッグをつくりたい!

「うちでは、ビーズがついているようなパーティーバッグはつくりません」

あくまで、働く女性が仕事で使うための、
機能を重視したバッグづくりを目指している中川さん。
彼女がデザインしたワーキングバッグの愛用者は日本全国に広がっている。

大学で工業デザインを専攻していた彼女は、卒業後、旭硝子(株)に入社。
商品開発のセクションへ配属され、装飾ガラスや特殊機能ガラスの市場開発から、マーケティング、企画までを担当。
しかし、活躍している女性の先輩が少ないことに不満を感じていた。

「そんな環境の中で働くよりは、もっと自分のスタイルで
自由に仕事をしたいと考えていました。
それなら自分で会社をつくろうと。
とはいえ、会社の設立方法など知る由もなく、会社に勤めながら、
起業に向けて 1年間ビジネススクールに通っていました」

授業は平日の夜と土曜日。
休む間もなかったが「自分の会社をつくりたい!」という目標があるから、つらいと思ったことは 1度もなかったという。

それだけでなく、彼女は以前から興味を抱いていたワーキングバッグをつくるために、
在職中からサンプル作成に取り組んでいた。
それをバッグ職人や卸問屋のもとに持ち込み売り込みを続けていたのだ。

ある時、卸問屋の社長から「ギフトショー」への参加を勧められる。
そこで、中川さんデザインの第 1号となるビジネスバッグを出展。
この時には、それが最初の仕事に結びつくとは夢にも思っていなかった。 

初仕事はノベルティーバッグのデザイン

スクールで起業についてのノウハウを学び、本格的に事業化を目指し始めた中川さんは、会社を退職して起業準備に取り掛かった。
始めは自宅兼事務所、資本金は自己資金だけで、97年 6月に(有)ワークストリームを設立。時期を同じくして、以前サンプルを出展した「ギフトショー」で知り合った商社から、長野オリンピックノベルティーバッグのデザイン依頼の仕事が舞い込んだ。

「思わぬところで自分のデザインが認められて、本当にうれしかったです」

これがワークストリーム第一号の仕事になったのだ。

「で も、その後はなかなかバッグ制作の依頼が入らず、苦戦した時期もありました。
前職の会社から、24時間風呂のタンクのデザイン制作を依頼され、引き受けた こともありましたし……。とにかく、 1年目は食べていくことに必死でした。
正直に言えばお金もきつかったし、OL時代の貯金がどんどんなくなっていくことがとても怖かったんです」

本来、自分がもっとも取り組みたかったバッグの企画商品の売り上げは、当初思うように伸びなかった。
初年度は、1個4万円のオリジナルバッグがネット販売で30個売れただけ。
販路が確保できていなかったため大量生産ができず、高額商品になってしまったことが原因だった。

「け れども、会社を設立して1年たったころ、あるグループとの出会いが私の運命を変えたのです。
雑誌社を介して、ノートパソコンを持って働く女性が集う
『モバ イルライフ研究会』のメンバーと出会うことができました。
彼女たちと協力して、仕事を持った忙しい女性のためのバッグをつくることになったのです」

彼女たちは、グループに所属する多くの女性から、使いやすいバッグについてメールで意見を集めてくれた。
その多くの声をもとに、中川さんがバッグの制作を担当。
何回もの話し合いを経て、「おしゃれで機能的なバッグ」の試作品ができ上がった。
A4サイズの書類が入り、携帯電話が入るしっかりしたポケットがついて、
バッグの中に仕切りがあるワーキングバッグ。どれも働く女性たちの意見から生まれた機能だった。

「メンバー全員の賛同を得たバッグでし たが、在庫や資金のことを考えると、
100個製品化することは私にとって賭けでした。
でも、せっかくみんなで協力して完成した作品だったので、やってみよ うと。
すぐに『モバイルライフ研究会』通販サイトで売り出したところ、予想を大きく上回り、
たった24時間で完売してしまったんです」

の快挙はマスコミの注目の的となり、雑誌や新聞に紹介されると、いくつかの小売店から引き合いが入り始めた。

安売りをされるような店には卸したくない

数件の取引先も決まり事業として安定してきたころ、もうひとつの出合いがあった。
それが、雑誌『クロワッサン』と連携した「クロワッサンの店」だった。
全国 に約30店舗あるこのショップの担当者が、中川さんのワーキングバッグを気に入って、
「ぜひうちの商品として取り扱いたい」と申し出てくれたのだ。
今では 同店の売り上げNo.1となる主力商品として、好調な売れ行きを誇っている。

中川さんは、申し込みのあったすべての小売店と取引をしたわけではなかった。
売れ残ったバッグをすぐに安売りしてしまうような店では扱ってほしくなかったのだ。

「商品ブランドとして価値をあげたいと思いますが、たとえどんなにこのブランド名が広く流通するようになっても、商品が店でどのように扱われているか自分で把握しておきたいのです」

現在では、赤ちゃんを育てながら働くお母さんのためのトートバッグも人気商品だ。

「みんなに愛用されるブランドとして『ワークストリーム』を確立したいですね。
将来的には直営店をつくり、働く女性がバッグを購入したいと思ったとき、
一番初めに『あの店に行けばいいものが見つかるかもしれない』
そう思ってもらえるようになりたいです」

【中川 千恵美さん プロフィール】

大阪府生まれ。筑波大学芸術専門学群生産デザインコースへ。
卒業後、旭硝子(株)に入社。本社商品開発に携わる。
96年、グロービスマネジメントスクールに入学。
経営一般、マーケティング、経営戦略などを学ぶ。
退社後、97年6月に(有)ワークストリームを設立。

会社名   (有)ワークストリーム 
住所   東京都渋谷区恵比寿1-6-6 土田ビル501 
連絡先   03-5475-3909 
URL   http://www.workstream.co.jp
開業   1997年6月 
業務内容   バッグ企画販売、デザイン受託業務 

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ここにあります。

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