妥協できないという信念が生む究極のシフォンケーキ / piyoko

この記事はに専門家 によって監修されました。

執筆者: ドリームゲート事務局

中学生時代に食べたシフォンケーキに衝撃

piyokoは、女優の松坂慶子さんもごひいきにする自然素材だけでつくったシフォンケーキのお店だ。
15人も入れば満員になる店内には、ショーケースに入ったおいしそうなシフォンケーキがいくつも並べられている。

「一番人気はオレンジシフォンケーキなんですよ」

と説明してくれるのは、オーナーの佐々木さん。
スタッフとともに自ら毎朝焼いているこのケーキは、
作り置きはしないというこだわりの品だ。

小 学校低学年のころ、ホットケーキづくりに夢中になったのが
お菓子づくりの始まりだった。
母の焼いてくれたクッキーの思い出が今も鮮明に残っている。
グルメ だった父に連れられて行った近くの喫茶店は、
パウンドケーキやマドレーヌなど焼き菓子の有名な店で、
その味は今でも舌で覚えている。

「中学生時代にシフォンケーキと出合ったのですが、ひと口食べて衝撃が走ったんです。
その味は、今までのどんなおいしい焼き菓子とも比べものにならないほど。
後から考えれば、これが運命の出合いだったのでしょう」

こうして小さなころに覚えた焼き菓子の味は、
現在の佐々木さんのつくるシフォンケーキに少なからず影響を与えている。

高校を卒業後、製菓の勉強をするため調理師専門学校へと通う。
1年間のコースに入学し、専攻科目で製菓を学んだ。
ここではジャンルにとらわれずドイツ菓子やフランス菓子など各国の伝統菓子の技術も修得することができた。

「ナチュラルハウス」に飛び込み営業し、取引開始

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その後、佐々木さんはいったんお菓子づくりから離れてしまう。
ドキュメンタリー番組の制作会社などいくつかの仕事を経験した後、フリーとして独立。30歳で 友人とともにテレビ番組のリサーチ業務を請け負う会社を設立し、
お菓子づくりとは無縁の仕事に追われる日々を送っていた。

「ある時、偶然シフォンケーキのレシピを見つけたんです。
中学生時代に食べたあの忘れられないケーキの味を思い出して、
毎日つくり続けました。あまりの量の多さに、自分だけでは食べきれず友人たちに配っては、毎日焼いていました……」

そのシフォンケーキは、友人たちから上々の評判に。

佐々木さんのつくるケーキは素材にこだわり、国産の無漂白小麦粉や地卵など
自然素材のものばかりを使用している。
そんな点も友人たちにうけたのだろう。
多くの人が佐々木さんのつくるシフォンケーキを絶賛し、喫茶店やショップに卸すことを勧めてくれた。

「ある日、仕事帰りに表参道を歩いていると、ふと『ナチュラルハウス』の看板が目に入ったんです。
番組制作の大きな仕事を受注した後で気分が高揚していたので、
飛び込みで自分のシフォンケーキを売り込みに行ったんです」

応対に出た店員は本部の連絡先を書いた紙を佐々木さんに渡すが、
それでも粘って何とかデリカコーナーの担当者を紹介してもらった。

翌日、シフォンケーキを持って担当者を訪れ、試食してもらうと大好評。
すぐに店長、本部へと掛け合ってくれて、ケーキを置いてもらえることが決まった。
会社経営をしながら週2回、2ホールずつを卸す生活が始まったのだ。

「後に、週4回の納品になり予約の発注もどんどん増えてきました。
多いときには1日9ホールの注文がくる日も。
作り置きでは本来の味が出せないので、時には家族や友人の手を借りながら、
どんなに仕事が忙しくても前日の夜中や早朝に焼いていました」

開業準備とほぼ同時に出産が判明

「『ナチュラルハウス』に卸し始めてから 1年たったころ、
知り合いから空き店舗があるのでケーキ店を始めないか、とのうれしい誘いがあったんです」

保証金がほとんどかからないこともあり、佐々木さんは店をオープンすることをすぐに決めた。

さっ そく開業準備に取り掛かるが、開業を決めた翌週に自分が妊娠していることが判明。
しかし、何の迷いもなく出産と開業準備を同時進行することを決意した。
普 通は、妊娠が判明した段階で、店を開業する苦労の多さを危惧して、あきらめてしまう人の方が多いだろう。
佐々木さんは現実から逃げることなく、両方の夢を かなえるために苦労もいとわなかった。

会社経営と出産準備、そして、開業準備を慌ただしく進める。

「最初は保証金がかからないので、安く開業できると安易に考えていました。
内装費などは今まで貯めていた貯金で工面しましたが、材料費や消耗品などの仕入れコストを計算すると、
原価がかなりかかることにあらためて驚かされたのです」

今 まで『ナチュラルハウス』に卸していた頃は、原価など突き詰めて考えていたことはなかったが、
自分の店を開業して、経営と言う側面から見ると、考えなけれ ばならないことの多さに気付いたのだ。
それでも、管理栄養士の資格を持った女性が店に入ってくれたことで、佐々木さんの強力なサポーターができた。

こ うして、97年3月には無事出産をすませ、翌4月にpiyokoをオープン。
喜びもつかの間、生まれたての赤ん坊を背負いながら毎日仕込みを行い、
昼間は 子どもを保育園に預け、夜はベビーシッターを頼んで店に立つ日が続いた。
慣れない接客業務や育児をこなす日々は、並大抵の苦労ではないだろう。
しかし、毎 日一生懸命で自分がすごいことをしている実感はなかったという。

自然の素材だけを使ったpiyokoブランド

自然素材を大切にするpiyokoでは、シフォンケーキと一緒に楽しんでもらうための飲み物にも配慮をしている。
人気があるのは、スリムティーやフルー ティーフラワーティーなど、有機栽培のリーフを使用したオリジナルのハーブティー。また、有機栽培の紅茶やココアも置いている。

「その他にも、自社で開発したリンスのいらない自然素材のシャンプーや、
小さな子どもでも安心して使えるエッセンシャルオイルをブレンドしてつくった虫除けスプレーなど、
自分で納得のできる商品しかお店には並べていません」

この佐々木さんの姿勢が多くのお客さんの心をつかみ、piyokoが開業以来支持され続ける秘密なのだろう。

佐々木栄さん プロフィール】

神奈川県横浜市生まれ。
高校卒業後、大阪あべの辻調理師専門学校に入学。
1年間フランス・中国・日本料理を学ぶ。
専攻科目で製菓を選択。
卒業後、コン ピュータ会社に入社。
その後、ドキュメンタリー番組の制作会社に契約社員として入社。
数年後、元の大手制作会社に再入社。フリーを経て、93年、友人とと もにテレビ番組制作会社を設立。
97年にpiyokoオープン。

住所   東京都目黒区駒場3-11-14 駒場友和ビル1階
連絡先   03-3465-7686
開業   1997年4月
開業にかかったお金   1300万円
事業内容   焼き菓子やオリジナルシャンプー・入浴剤などの製造・卸・小売り(いずれも地方発送含む)
URL   http://www.piyoko.co.jp/

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