「働く人たちの食生活を改善したい!」 / 有限会社 食のコンサルタントブーケ

この記事はに専門家 によって監修されました。

執筆者: ドリームゲート事務局

同僚の食生活を見て、栄養士になることを決意

午後 1時―
夕食のお弁当の準備が始まる。
約50個のお弁当箱が調理場に並べられ、
3人の調理スタッフが手づくり惣菜を手際良く並べていく。

「今日の主菜は魚の焼き浸しです。
お弁当の中にはいくつか揚げた魚があるでしょう。
これは、エネルギーを多く必要としている人たちのためのものなんです。
そうやって、それぞれ特別な食事が必要な方には、
ひと工夫して調理方法を変えているんです」

と語るのは、食のコンサルタント「ブーケ」の代表で、管理栄養士でもある舘田さん。
できる限り、その人の生活や健康状態に合わせたお弁当づくりを心がけているという。

東 京の大学を卒業後、旅行会社へ入社。
そこで、同僚の食生活に疑問を感じたのが始まりだった。
朝食は食べず、残業の時は店屋物をかき込む。
そんな同僚と毎日 接していた舘田さんは、
「働く人たちの食生活を改善したい」と考え、栄養士になるべく会社を辞め専門学校へ 2年間通った。

卒業後、保育園 や県の栄養士を務めた後、リハビリ病院で働き始めた舘田さんは、栄養士として献立をつくる傍ら調理にも携わる。
しかし、自分のつくった食事がどんな人に食 べられているのか、相手の顔が見えない仕事に疑問を感じていた。
同時に、食事を改善することで、病気が悪化して入院する前になんとか予防できないのだろう か?
との思いが募っていった。

その後、管理栄養士の資格を取り、保健所の臨時職員として、住民の食生活改善のための指導にあたる。
管轄地域 の栄養士の指導や、「糖尿病」「骨粗しょう症」などの予防教室の講師として活躍。
しかし、予防教室は平日の昼間しか開催されず、舘田さんの目指している 「働く人の健康管理の実現」へのギャップは依然、残っていた。

相手の顔が見える距離で仕事がしたい

その頃、栄養士を中心とした食に興味を持つ人たちの「栄養情報ネットワーク」に参加。
自分と同じ考えを持った栄養士たちと出会う。
気軽に食のアドバイスができる栄養士でありたいとの思いが一致し、
食のコンサルティング事業を始めるため 4人が集まった。

「当時、保健所でできる仕事には限りがあったんです。
せっかくの食改善のための講座でも、一番聞いて欲しい働く世代の人たちは、平日の昼間では受講できません。
もっと自由に活動するためには独立してやるしかないと話し合ったんです」

開業資金は、 4人で貯金を持ち寄り、不足分は舘田さんの母から借り受けた。
事務所とお弁当宅配のために調理のできる場所を確保。
こうして1996年 9月に、食生活のサポートを目指す食のコンサルタント『ブーケ』をスタートさせたのだ。

「食に関する講座を展開すると同時に、食のコンサルティングの一環として、
お弁当の宅配事業や料理教室を開催したんです。
やっと自分たちの目指す形に近づくことができ、開業に関しては不安な要素はひとつもありませんでした」

ちなみに、当初、お弁当の宅配事業は注文があればつくって届けるといった単発の仕事ばかり。
しかし 1本の電話がこの事業の可能性を導いた。

「糖尿病食をつくってもらえないか」

との問い合わせに、舘田さんたちは、

「自分たちができることなら、ぜひともその要望をかなえてあげたい」

と快諾。たった 1食のために毎日昼食と夕食のお弁当をつくり続けた。

も ちろん 1食だけでは赤字のため、以前から続けていた講師の仕事で何とかしのいでいた。
しかし口コミでその評判が伝わり、食に問題を抱える人たちからの発注が相次 ぐことに。
今ではなんと、 1日 170食を配達するまでに成長した。
2003年 6月には会社を法人化。
有限会社として新たなスタートを切ったのだ。

舘 田さんはお弁当をつくるだけでなく配達にも積極的に出かける。
配達先ではなるべく会話をすることを心がけているという。
話の中からその人の好みを知り、嫌 いなものは他の食材に差し替えたりするなど、
細やかな心配りも忘れない。
また、お年寄りや食事制限のある人には、お弁当箱に名札をつけてご飯の量や塩分を 調整している。

「相手の顔が見えるからできること」

お客さんとのコミュニケーションを大切にしたいという舘田さんの願いが実現したのだ。

手づくりのお弁当をもっと多くの人に届けたい

しかし、手づくりわり、お客さんの健康に心配りするためには現在の注文数が精一杯という。
舘田さんのもとには配達区域外の人たちからも、依頼の電話が多くかかってきている。

「ブーケのように、手づくりで、食べる人の健康を考えたお弁当づくりができる店が地域に数多くあれば……」

ブーケでは、そんな声に答えるべくFC化の可能性も視野に入れている。

「どう食べるか? は、どう生きるか? ということにつながっています。
食について考えられる人は、自分の生き方についてもきちんと考えられる人だと思います」

というのが舘田さんの持論だ。
また、舘田さんたちは、病気になってからではなく、病気になる前に予防できる食の提案を重視している。

「私 たちが健康になるには、まず地球が元気でないとダメなんです。
土や水が健康なら、そこで育つ作物や魚が元気になります。
それを食べて健康を維持する私たち は、ゴミを少なくしたり、水をきれいにしたり、
地球が健康になる努力をする。すべて循環していることを忘れないでほしいのです」

舘田さんの食の提案が、人々の食生活の改善につながっていくだろう。

【舘田洋子さん プロフィール】

富山県生まれ。
日本大学文理学部体育学科を卒業後、(株)朝日トラベルエージェンシーに入社。
栄養士を目指すため会社を辞め、香川栄養専門学校栄養士 科に入学。
栄養士資格を取得する。
89年から県庁の臨時職員として、施設などの献立づくりや公立保育所に所属。
92年、保健所の栄養士の臨時職員となり、 住民の食生活の改善や「糖尿病」「骨粗しょう症」などの予防教室を開く。
96年、栄養士 4人で「食のコンサルタント『ブーケ』」を立ち上げる。
2003年法人化。

住所   富山県富山市経堂3-12-19 ビクトリー経堂
連絡先   TEL:076-421-6778/FAX:076-421-6794
URL   http://www.food-bouquet.com/bouquet/
事業内容   食のコンサルティング(お弁当宅配、食生活改善支援、料理教室、セミナー講師請負)

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ここにあります。

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