Webデザインの経験を生かして起業 / 有限会社 アートモスフィア

この記事はに専門家 によって監修されました。

執筆者: ドリームゲート事務局

(有)アートモスフィア 木下秀司さん
起業したいという夢を持ちながらも、その一歩が踏み出せなかったという木下さん。
しかし、家賃 1万円という格安の公的支援施設「スタートアップ・オフィス」入居者募集のニュースを知ったことがきっかけで、起業を決意。

 

「企業との取引を踏まえると、法人化した方が信用も厚いと考えたんですが、有限会社や株式会社では資本金が用意できない。
そこで、最低資本金規定のない合資会社を選択し、2002年2月、周囲の人たちの協力を得て、起業を果たしました」
(*2002年当事は最低資本金規制特例制度の施行前。現在は有限会社、株 式会社であっても、最低資本金規制特例制度により、資本金の規制はありません)

クオリティの高い仕事が評判になり、口コミで顧客も増え、1 年目から業績は順調。
起業から 3年目を迎える2003年10月に、スタートアップ・オフィスを卒業し、有限会社に改組した。
社名に「芸術」という意味を含めて、新しいステージへと歩みだした。

【夢が生まれた瞬間】

大学生時代に、インターネットラジオ局を運営していた木下さん。
ちょうどリアルオーディオが普及し始めた時代で、ネットに今後の可能性を見出していた。

「そのラジオ局が始まったばかりの頃は、注目度も高く、取材もずいぶん受けました。
これからもまだまだ発展する業界と確信し、ネット関連の仕事に就けたらいいなと思っていたんです」

大学卒業後、 Web制作会社に就職した木下さんは、企業のホームページやキャンペーン告知などの
サイトデザインを担当することになる。
しかし、それまでは、学生時代に 写真学科の授業でフォトショップを使っていた程度の経験しかなく、
本格的なデザインの勉強は、仕事をしながら覚えたことがほとんどだった。

「いろんなことを吸収するにつれ、デザインの進行管理や企業への企画提案のプレゼンなど、
業務の幅が増えてきて、さらに仕事が楽しくなりました。
その頃から、会社という枠にとらわれず、多方面のことに挑戦してみたいと思うようになったのです」

世の中はインターネット真っ盛り。企業も次々とホームページを開設し、デザインの仕事は増える一方。
木下さんの周囲のクリエイターたちは、独立してフリーランスの道を選ぶ人たちが増えていた。

【次の一歩はどうやって】

そんな人たちを見て、独立を強く意識するようになった木下さんは、「いつかはデザイン事務所を設立したい」と、夢を抱くようになっていった。

ちょうどその頃、あるニュースが木下さんを独立へと踏み切らせる。

「テレビで、ある自治体が運営する公的支援施設『スタートアップ・オフィス』の入居者を募集していたんです。
すぐにネットで詳細を調べて申し込みを済ませまし た。
それと同時に、普段から協力をしていただいている方たちにも声をかけ、新しい仕事の足場固めに取り掛かりました」

他の自治体でも同様の募集はあったが、家賃1万円というのは破格に安い。
急いで事業計画書の作成にあたり、締め切り直前に滑り込みで申し込みを済ませた。

「入居者選考面接では、インターネット業界の将来性を強く訴えました。
それに、起業に対する情熱も熱く語りましたね。
その甲斐あって、全国の応募者の中から入居者に選ばれたんです」

ただし、思わぬきっかけで起業を決めた木下さんには、資金の準備がなく、お金をかけずに起業する努力が必要だった。
幸いにも、廃校を改装したオフィスは、光 ファイバーや電話回線が開設され、空調設備も完備し、オフィス環境は十分。
パソコンの組み立てから名刺の印刷まで、すべて自力で行い節約に努めた。

「今後の企業との取引を踏まえると、法人化は必須と考えました。
けれども、有限会社や株式会社のように多額の資本金を出すのは難しい。
そこで、最低資本金規定のない合資会社を6万円で設立しました」

【事業を拡大していく喜びは、会社員では絶対に味わえなかった】

設立当初はクオリティの高い仕事をこなすため、やみくもに仕事を受注するのではなく、
ひとつひとつを丁寧に手がけたという同社。

「お陰で、完成物のクオリティが高いとクライアントに満足してもらうことができ、お客様をご紹介いただいたり、口コミで新規の仕事を受注できるようになったんです。
大手企業の仕事も受注でき、デザインだけでなく、Web全体のコンテンツ制作も担当できるようになりました」

企業に在籍した頃は、営業、制作など業務のすみ分けがしっかりなされていたが、
起業をすればそんなことは言っていられない。
得意のデザイン業務だけでなく、誰もが営業担当のつもりで仕事に当たることが大事だと考えている。

目まぐるしく発展するサイト構築技術にも遅れを取らないよう、常に技術の向上にも励んでいるという。
手書きイラストや写真を独自の技術でオリジナル作品に仕上げ、それをサイトに組み込むことも同社の強みになっている。

「会社は今、 第2創業期を迎えています。
今年10月に、合資会社から有限会社に改組し、社名も芸術という意味を含んだアートモスフィアに変更しました。
スタートアッ プ・オフィスからも卒業し、お台場に新しくオフィスを設けます。
事業を拡大していく喜びは、会社員では絶対に味わえなかったこと。
今後も、多くのクリエイ ターさんたちと一緒に、さらに上を狙いたいですね!」

【企業データ】
アートモスフィア
所在地 :  大阪市鶴見区
設立 :  2004年10月(前進の合資会社は2002年 2月に設立)

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