「自分の好きな仕事だけをやりたい」 / オフィス RPIC(アールピック)

この記事はに専門家 によって監修されました。

執筆者: ドリームゲート事務局

オフィス RPIC(アールピック)代表 岩松祥典氏さん 自分のやりたい仕事がはっきりしていれば、働き方はいろんな形が考えられる。
大事なのは自分の夢を実現するために、最適の働き方を見つけることだ。
会社員時代に採用・教育を「これからの自分の生業にしたい」
と気づいた岩松祥典さんは、「自分の好きな仕事だけをやりたい」と、
1人で仕事を請け負うインディペンデント・コントラクター(注1)という人生を選んだ。
個人で働く厳しさはあるが、仕事は順調に広がっており、充実感はケタ違い。
収入も会社員時代を超えた。
 

【その夢が生まれた瞬間とは】

岩松さんが、企業の採用・教育こそ自らの生業にしていきたいと実感したキッカケは、
株式会社リクルートで採用活動に携わったことに起点をもつ。
それまでは理系の学生として、AI(人工知能)による故障診断システムを、
卒業研究のテーマとして取り組む学生生活を過ごした。

「とにかくわけの分からない会社だけど、面白い人がいっぱいいると聞いてリクルートに入社したんです。
まさかあんな大きな企業とは思いませんでした(笑)」

入社後、岩松さんが配属されたのはリクルート自体の社員を採用する本社人事。
もちろん理系の学生がターゲットである。
名だたる大学の理系学生に会って、リクルートの仕事の面白さを熱く語っては口説いた。

岩松さんにとって、プログラム開発や研究開発よりも、能力のある人間を見つけ育てるほうがやりがいを持てたようだ。
当時、リクルートは東大、東工大の理系学 生採用人数でトップクラスを記録。
ソニーや日立ならともかく、「あのリクルートがなぜ?」と話題を呼んだ。
人事メンバーに対して「自分より優秀な人間を採 れ。そのためにはリクルートを熱く語れ!」
と檄を飛ばす創業者の江副浩正社長(当時)の情熱にも惹かれた。
「採用・教育に勝る人事施策なし」。
岩松氏が実 体験で学んだ人事の要諦だった。

【独立開業の一歩はどうやって?】

人事採用を皮切りに、経営企画部、就職情報誌事業部、営業などリクルートの業務全般を経験。
着々とキャリアを積み上げていった。しかし、一方では割り切れなさも感じていたという。

「関連会社で、企業の統廃合や再度立ち上げを担当したときに、これは自分がやりたいこととは違うと感じたんです。
もう一度、昔のリクルートのような、小さくとも事業成長意欲のあるところで採用・人事を手がけたいと思い、
ベンチャー企業に転職しました」

転職先では人事総務統括部長として、会社の組織の設計・運営、採用・教育、人事評価制度構築を担当。
株式公開・IR/PRも体験した。

「ベンチャーとはいってもリクルートのような風土の会社はありません。
ここであらためて、いわゆる日本企業・オーナー企業の組織の仕組みを勉強させていただきました」

不惑を迎え、岩松さんの心にわいてきたのは、これまで培ってきた採用・教育のスキルを、
思いのまま生かしてみたいという思いだった。
このスキルを、雇用に縛 られずに複数の会社と契約して提供していきたい。
周りを見渡すと、コンサルタント、ITエンジニア、教育トレーナー、ライター、デザイナーなど、
裸一貫、 自分の実力で働く人たちがたくさんいた。

「インディペンデント・コントラクター…。なるほどそういう生き方もあるなと思ったんです。
知人と 共同で会社を作るという方法もあったかもしれませんが、そうするとどこかで妥協しなければならない。
それにスタッフを雇うと、私の持てる経験・ノウハウ・ スキルを顧客に提供しようとしたときに、どうしても薄まります。
ならばいっそ、 1人で独立開業しようと。
『雇われない、雇わない』働き方です。
もちろんクライアントは 1社もなく文字とおりゼロからスタートしました。
ええ、ちょっとは不安がありましたよ(笑)」

【独立1ヶ月目の収入は10万円】

「儲からなくてもクヨクヨしない」
「朝 9:30には仕事を始める」
「採用・教育・人事以外の仕事は一切受けない」
「独立時に支援してくれた人たちにいつか恩返しする」
「日付の入った目標を立てる」

これらを現在もしっかりと胸に刻みこみ、日々実践している。

独立準備をしていた年末には、いつもの年賀状の 3倍『独立開業あいさつ』を知人、友人に送った。
とはいえ、会社の看板と肩書きがはずれるとそうそう簡単に仕事はこない。
1月の収入は10万円。 2月こそ80万円に増えたが、まだまだ生活に余裕の出る稼ぎには程遠かった。

「今思えば、スタート当初は大変でしたね。
そのうち、私の実績を認めてくれる前職・前々職での知人から案件が舞い込んできたり、
一度使ってくれたクライアントから新たな案件を発注いただくなど、
お客様を紹介していただけるようになり、半年でようやく軌道に乗りました」

現在のメインクライアントは 5社。
新卒採用から中途採用、そのほかに人事関連の顧問業務まで採用・教育全般を受け持っている。
いまや業務依頼は引きも切らない。
しかし、本人はいたって謙虚だ。

「自分をコンサルタントとは思っていません。
現場で一緒に汗をかく、採用・教育の請負業と自覚しています。
大事なことは、プロの仕事をすることと、結果に対し てコミットメントして成果をあげること。
だから、請負領域まで踏み込むわけです。
将来の夢は、『生涯現役』で現場にいること。
いかりや長介さんのように働 き続けて、翌月倒れる。
そんな人生を送りたいですね」

リスクを負った分だけリターンも大きい。
独立後わずか 1年と少しで、リクルート時代の年収は軽く超えた。

「元気」な気持ちで稼ぎ働く方法、そのひとつが「インディペンデント・コントラクター」なのかもしれない。

(注1) 「インディペンデント・コントラクター」:
これまで培った経験・ノウハウ・スキルを複数の会社と契約して提供する「独立請負業者」のこと。

 

【岩松 祥典さんプロフィール】
いわまつ・よしのり 大阪府生まれ。
京都大学工学部精密工学科卒業。
85年リクルート入社。総務部人事課を皮切りに、リクルートの理系社員採用 に活躍する。
当時、東大、東工大学生の採用数で日本のトップクラスに輝く。
入社 2年目で、全国約100人の人事採用担当者の中で、年間最優秀賞を受賞。
2000年 1月、38歳で退社。システム開発のベンチャー企業に人事総務統括部長として転職。約 3年で退職し、2003年 1月独立。

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