「BOBBiN ROBBiN」は、アメリカの、ある年代に絞った生地を取り扱う
珍しい洋裁雑貨ショップ。
元は古着が大好きだったというオーナーのいとうさん。
「古着は完成しているものですが、生地なら、
お客さん自身でつくる楽しみが広がりますよね。
『こんなスカートはどうかな?』『この柄ならワンピースが可愛い』
など、訪れた人の想像をかきたてる店づくりがしたかったんです」
- 目次 -
【夢が生まれた瞬間】
アメリカの50年代の古着が大好きだったといういとうさん。
彼女と古着との出合いは高校 1年の時だった。
「当時は、50年代の古着ショップなんてほとんどなくて、東京や大阪などショップを見つけては、出かけていました。
将来は服飾のデザイン関係の仕事に就きたかったので、短大も服飾デザイン学科を専攻したんです」
短大卒業後、ニット会社に就職するが、担当したのはティーン向けのカジュアルメーカー部門。
しかも、百貨店の販売担当となってしまい、デザインを担当したいという夢はあっけなく破れてしまったのだ。
「結局 1年で会社を辞め、心機一転、東京に出てデザインの夜間学校に通ったのです。
そこで古着関係の仕事をしている人に出会い、デザインの企画補助のアルバイトをやらせてもらえることになりました」
そこでの仕事は、いとうさんが今まで夢に見ていたデザインの仕事。
時には、いとうさんがデザインしたスカートやワンピースが採用され、商品化されたこともあったという。
「進むべき方向が見つかったと思いました。
自分のショップを持って、好きなものを販売できたらいいなと。起業のための勉強を始めよう!と決めたのです」
【次の一歩はどうやって】
まずは、商品が完成するまでの流れや、原価管理などを勉強するために、通販向けカバン会社に入社。
「正直、カバンにはまるで興味がなかったのですが、
こだわりがない分、冷静に商品化までの過程を覚えられると思ったんです。
2年間みっちり勉強させてもらいましたね。その後、セレクトショップに転職。
仕入れ方法や陳列の仕方などを学びました」
その頃、ある本がいとうさんの進むべき道を変えた。
「元スタイリストの方のお店が載っている雑誌を見たのですが、50年代の良質な生地を扱うショップだったんです。
古着はつくられて売られているものですが、生地なら自分の好きなものが何でもできる。
それなら、洋裁の雑貨ショップができないかと考えたんです」
着 実に起業準備を進めていたいとうさんだが、家の事情で一旦はこの業界から離れなければならなくなってしまう。
でも、そんなことで負けてはいられない。
だっ たら、その間はお金を貯めることに集中しようと、一般企業の事務担当として働いた。
2年で開業準備金も貯めることができ、いよいよ開業に踏み出した。
【その後、夢は育ってる?】
「京都の繁華街として有名な三条とおり近くにショップを出したかったので、友人と周辺を歩いて店舗を探しました。
少し離れたオフィス街の一角にこの物件を見つけ、ひと目で気に入ったんです」
い とうさんが選んだのは、窓の大きな 2階の物件。
一見、 2階ではショップには不利なように思うが、彼女はとおりがかる人が窓のディスプレイをみて、
『あれは何だろう?』
と、気に留めるようなお店にしたかったとい う。
内装は、多くの雑貨店を見て回っていた彼女の頭の中にしっかりとイメージされていたため、
職人さんにそれを忠実に形にしてもらった。
生地を中心とした洋裁雑貨のお店は、競合店が少ないため、仕入れ先は限られてくる。
彼女は海外に出かけるたびに、いつか開業する時のため、買いためていたものも多い。
オープン当初はそれらを中心に商品を取り揃えた。
こうして、2001年10月下旬、「BOBBiN ROBBiN」をオープン。
アメリカの40~70年代の生地を中心に、ワッペンや人形、洋裁雑貨を取り扱うショップが完成した。
「うちのコンセプトは、“想像力をかきたてられる店”。
お客さんが生地を見て、こんな服をつくったら可愛いかも、と思ってくれたら成功なんです」
最近ではリピーターも増え、「BOBBiN ROBBiN」で購入した生地でつくった洋服を着た親子が訪れてくれることもあるとか。
彼女の長年の夢が形になって、しっかりと根付いている。
「ずっとあこがれていたお店を持つという夢をかなえられて幸せです。
勇気を出してやってみないと、何も始まらないですよね。
開業の夢を持っている人たちは、その先に楽しいことが待っていると思って頑張ってください」
【企業データ】 | |
所在地 : | 京都市中京区 |
設立 : | 2001年10月 |
資本金(当時): | 300万円 |
業務内容 : | 生地と雑貨の店経営 |
URL: | http://bobbinrobbin.jp/ |