アトピーを持つ子供の母親が始めたオンラインショップ / もぐもぐ共和国

この記事はに専門家 によって監修されました。

執筆者: ドリームゲート事務局

もぐもぐ共和国 オーナー 岡田由佳さんア トピー性皮膚炎に代表される、アレルギー性疾患に悩む人は数多い。
アトピー疾患の小さな子供をもつ母親ならなおさらだ。

 

今回登場する岡田由佳さんも、そんな一人。
結婚後、知り合いも友人もいない環境で、ひとり子育てを始めた彼女は、
医師に子どもがアトピーであると診断されて以来、
皮膚科、小児科と病院を転々と渡り歩く。

「子どもの症状は一進一退、たった一人密室で育児をしていることもあいまって、
だんだんと私の気持ちは沈みがちになり、子どもと一緒に泣いたこともありました。
いいお医者さんやサークルと出会い、積極的に外部に接触するようになると、
全国の同じ悩みを抱える人たちを助けることはできないだろうかと思い始めたんです」

そうしてオンラインショップの勉強会に参加し始めた岡田さんは、
アレルギー用食品や生活雑貨を扱うオンラインショップ、
「もぐもぐ共和国」をオープンさせる。
 

【夢が生まれた瞬間】

学校卒業後、自動車販売会社で接客業を務めていた岡田さんは、結婚を機に退職。
大阪へ引越し、出産後は知り合いも友人も誰ひとりいない中、子育てを始めた。

そんな岡田さんが大きな壁にぶつかったのは、子どもに離乳食の開始時期が訪れたころ。
卵の入った料理を子どもに食べさせた途端身体中に湿疹が現われ、心配になり近所の小児科に子どもを連れて行った。

「ア トピーと診断されました。具体的な指示もなく、当時は深く考えず、出されていた薬を塗り続けていたのですが、
いつも薬をポンと出すだけの医師をなんとなく 信用できなくなり、病院を変えて皮膚科に通ったり、
別の病院の小児科に通ったりと、まるで病院巡りのようでしたよ」
と岡田さんは当時を振り返る。

その後、子どもの症状は一向に良くならず、たった一人、密室で育児を続ける岡田さんはすっかり意気消沈。
見かねた近所の知人が育児サークルをつくり、岡田さんに声をかけた。
そこで知り合った他のお母さんからアレルギー外来を聞きつけ、さっそく、アレルギー外来のある近隣の病院へ通院することに決める。
そこで岡田さんはアレルギーの原因・アレルゲンを取り除いた「除去食」と出合う。

「アレルギーのスペシャリストは、新米の母親である私に
『何が原因なのか?』
『どうすればよいのか?』
を丁寧に教えてくれました。
しかし、除去食の基礎知識を学ぶことができても、アレルゲン除去食品の存在をまだ知る機会がなかったのです」

その後、何冊もアレルギーに関する本を購入しては読み漁り、何とかしてわが子の症状を良くしてあげたいと奮闘する岡田さん。
ある日、 1冊の育児雑誌で卵を使っていないマヨネーズの存在を知る。
「そのメーカーに電話をし、購入できる店を調べてさっそく購入しました。
初めてわが子にポテトサラダを食べさせることができたんですよ。
『ああ、この子も人と同じものが食べられるんだ!』
とあの時こみ上げてきたうれしさは、今でも忘れられません」

こうして信頼のできる医師と出会ったことや、サークルに参加して友人が増えていった岡田さん。
彼女が「もぐもぐ共和国」をオープンさせるまでに至ったきっかけは、母親からかかってきた 1本の電話だった。

「母 の知人の娘さんが同じようにアレルギーに悩み、育児ストレスで帰郷しているから、
相談に乗ってあげてほしいという内容でした。
まるでいつかの自分を見てい るようで、とても他人事じゃなかった。
何とかしてあげたいって思ったんです。
その頃から、私や彼女だけでなく、このようなことに悩んでいる人は、
全国に大 勢いるのではないだろうかと考えるようになり、自分にも何かできないかと思ったんですよ」

【次の一歩はどうやって】

まず、岡田さんが起こしたアクションは、オンラインショップを開業するオーナーが集う勉強会への参加。
子どもを抱えての外出が困難なお母さんたちが、
除去食を購入できる最良策はインターネットだと、自身の経験から確信したためだ。

「私 自身、除去食を取り扱うショップは自宅から遠くにあり、
車を持たずして子どもを抱えて買い物に行くのは大変でした。
でも、子どもが食べられるならという気 持ちが、遠くてもお店に足を運ばせていたんですよね。
その後も、共同購入で、卵を使っていないクッキーを月 1回購入したりしました。
こうした買い物が個人単位で、しかも自宅で出来るようになれば便利だなと感じたんですよ」

勉強会でオンライン ショップ運営のノウハウを学んだ岡田さんは、
この事業を企画としてまとめ、大阪府の中小企業支援センターに提出。
消費者の視点を切り口とした同プランはビ ジネスの実現性と社会性が注目され、
書類審査、評議会でのプレゼンテーションを通過。
平成14年 3月には、大阪府支援対象事業に認定された。

「SOHO として働くようになって、多くの人とかかわりを持つようになり、変化に富んだ生活スタイルになりました。
その分、とても忙しくなったけれど、家事や育児に 使う時間の効率性を考えるようになりましたね。
主婦業をしていた時は、毎日が同じことの繰り返しで、作業効率なんて考えたことはなかったように思います」
と岡田さんは開業以前の自身を振り返る。

【その後、夢は育ってる?】

その後も、病院で行われているアレルギー教室や各地の患者会の集まりに参加し、
情報交換を積極的に行うほか、より多くの訪問者を獲得できるように、
検索エンジンへの対策をウェブサイトにも施すなど、技術面においても怠らなかった。

岡田さんは
「私自身、アレルギーを持つ子どもの母親として、この仕事が多くの人々に必要とされていると強く実感できました。
何より、勤務時間が自由で子どもの病気など突発的な出来事に対応しやすくて助かります」
と、オンラインショップ経営のメリットを話す。

また、岡田さんは今後手がけたい分野についても語ってくれた。
「現 在、特定非営利法人を設立中です。それとの相乗効果で、物質面、生活情報面、メンタルケアを
トータルサポートし、コミュニティビジネスとしてのスタイルを 確立することが目下の目標。
また、一般旅行業務取扱主任者の資格を持っているので、この資格を生かして患者さんの
お出かけをサポートする仕事にも挑戦した いですね」

【企業データ】
所在地 :  大阪市鶴見区
設立 :  2002年 4月
資本金(当時):  300万円
業務内容 :  アレルギー対応食品および自然食品の販売、アトピーとアレルギーに関する教育研修事業など
URL:  http://www.mogumogu.jp/

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