日本のアマチュアマンガをフランスへ輸出 / 株式会社アンシャントマン

この記事はに専門家 によって監修されました。

執筆者: ドリームゲート事務局

株式会社アンシャントマン 松山秀俊さん

社会人院生としてフランス留学中に、現地における日本のマンガ事情を知ってビジネスを発想

株式会社アンシャントマン 松山秀俊さん
 

 日本のアマチュア作家によるストーリーマンガをフランスの実店舗やアニメ・コミックのイベント、インターネットなどで販売。
松山さんのビジネスの商材は、日本が誇るマンガという文化だ。

 昔から国際的な仕事がしたいと考えていた松山さんは、テレビゲーム販売会社を退職し、神戸大学に社会人院生として入学。研究のテーマは、
「日本のマンガ文化が異文化社会を魅了するメカニズム~フランスを対象に~」だった。

「以前から海外のエンターテインメント事情をチェックしていましたが、
当時は、日本の各種コンテンツが人気になりつつある時代でした。
とはいえ、最近のゲームは制作者側の意図に動かされるだけのものが多く、
自分を主人公に置き換える醍醐味が失われつつあると感じていたんですよ。
一方、マンガについて は、僕自身が思春期のときに読んで励まされた経験があるため、
『人の心を勇気づけてハッピーにしてくれる素晴らしいもの』
だという印象が強かった。
恩返し をしたいという気持ちから、マンガの研究を選びました。
フランスは、学生の頃から淡い憧れを抱いていた国でしたし、日本のエンターテインメント作品の受け皿が大きいことも知っていたので、2つの要素を絡めて研究することにしたんです」

入学の時点での最終目標は、起業ではなく、国際ビジネス関係会社への転職だったが、交換留学生としてフランスで1年間過ごした際、現地の事情を知ったことで考え方が変化する。

「現地では、日本のマンガやアニメのイベントが数多く開催されていましたが、会場で日本人スタッフの姿を見ることはほとんどありませんでした。
日本の文化 であるマンガを、他の国の人に預けてしまうことへの問題意識を持ちましたね。
日本の文化だからこそ、日本人の手でしっかりと誤解がないように伝えなくては ならないと考えたんです」

 

ビジネスプランコンテスト出場時に、起業への決意が固まった

フランス留学を経て帰国した松山さんは、大学院に通いながら創業塾にも参加。
講師からのメールでビジネスプランコンテストの存在を知り、
「自分にチャンスを与えてみよう」という軽い気持ちで応募することに。

「僕は、『環境が自分をつくっていく』ということを以前から感じていたので、起業家たちの集まる舞台に立つことで、少しでも自分を成長させようと思ったんです。
最初は軽い気持ちでしたが、予選への出場が決まってから、
『起業家として扱われるチャンスをもらった以上、起業家として行動しよう』
という意識がどんどん強くなっていきましたね」

起業への決意が固まったのは、2次予選への出場権を勝ち取ったときだったという。

「全国の起業家さんたちと同じ空気を吸えて、有名起業家の審査員に触れることができるなんて、すごいことですよね。
まだ何の実績もない自分だからこそ、少 しでも同じレベルに近づきたいと思って努力しました。
目標があったから、自分がやりたいことをビジネスプランや行動指針に落とし込むこと ができたんです。

また、他の挑戦者の方たちの
『ビジネスのためなら自分を追い込んでもやってやる!』
というアツい想いに触れ、僕自身も本来はアツい人間 だったことを思い出しました。

それに、普通だったら声もかけられないような大企業の社長さんたちと出会うこともできたんです。
興味を持ってくれて、自分の ブースまで足を運んで下さったことが本当に嬉しかった!

環境に恵まれたことで、『あきらめない』という言葉の意義を再確認できました。
書類選考の段階で は、まだ転職を考えていましたが、選考が進むにつれて
自分の中にあった想いがどんどん目覚めていき、成長できたと感じています。

参加していなかったら、起業することはなかったと思うくらい、素晴らしい経験ができましたね」

 

ブースで声をかけられた企業との提携が決まり、ビジネスが本格化。起業家としてついに立つ!

松山さんは、出場時のある出会いにて、起業家としての第一歩となるチャンスをつかんだ。

「中古本販売で有名な大手企業『ブックオフ』の社長・坂本氏(現会長)に声をかけていただきまして。
後にアプローチをかけた結果、ブックオフのパリ店にアマチュアマンガ作品を置いていただけることになったんです」

しかし、販売できる作品がゼロという状態。
松山さんは、大阪デザイナー専門学校を卒業した知人からアマチュアによる同人誌マンガの存在を聞き、多くの同人マンガ作家に声をかけ続け、理解を得ていく。

「同人マンガ作家は、あまり外に作品を出したがらないんですよ。
とにかく、マンガを通じて多くの人に喜びを与えたいという気持ちを伝え続けました。
みなさん、僕のアツい想いに共感してくれまして、2カ月で300作品を集めることができたんです。

ビジネスプランコンテストに出場した経験をブログに書き残していたので、
当時の日記を読んで共感してくれた作家も多かったです。
自分の想いをカタチに残すことができ、『これだけのことをやったんだ』と伝えられたと思いますね。

何の実績もない自分でしたが、あのとき挑戦したことで、ブックオフの坂本氏からも同人作家のみなさんからも、信頼と共感を得ることができたんです」

実績をつくるため、5月と7月にはフランスのマンガ関連イベントにも作品を出展。
多忙なスケジュールが一段落した8月に、株式会社アンシャントマンを設立。
松山さんは、名実ともに起業家となった。

「いずれは、版権ビジネスにも手を広げて、世界中のアマチュア作品を異国の地でデビューさせていきたいですね。
アマチュア作品を世界デビューさせる ナンバー1になりたい。

まずは日本とヨーロッパを拠点に、マンガというものを文化として確立させていこうと思います。
会社名の『アンシャントマン』は、フ ランス語で『人を魅了すること、大喜びさせること、魔法をかけること』という意味。そんな組織になることが僕の最大の目標です」

松山秀俊さんプロフィール

株式会社アンシャントマン 松山秀俊さん

1974 年兵庫県生まれ。大学卒業後、全国チェーンのテレビゲーム販売会社に就職。販売担当を経て店長職に就任するが、国際ビジネス関連企業への転職を目指すため に退職。2003年、神戸大学の大学院に社会人院生として入学。翌年、交換留学生としてフランス・ニース大学に留学。2005年、帰国。大学院に通いなが ら、ドリームゲート創業者祭へ応募。2006年、エリア挑戦者祭・近畿大会を通過し、大挑戦者祭にセミファイナリストとして出場。

会社概要

設立/2006年8月
資本金/200万円

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