腸内細菌叢の検査で一歩も二歩もリード!
健康アドバイスの充実で、さらなる先へ

この記事はに専門家 によって監修されました。

執筆者: 本多 小百合 編集:菊池 徳行(ハイキックス)

一人ひとり違う腸内細菌叢を分析。
食習慣、生活習慣をアドバイスする

事業や製品・サービスの紹介

photo1.jpg
人のお腹の中には、驚くほど多様な種類の腸内細菌が存在している。こうした細菌たちがつくる、腸内細菌叢(読み:ちょうないさいきんそう、腸内フローラ)は、私たちの健康や美に密接に関係している。

株式会社サイキンソーは、この腸内細菌叢を検査するサービスを提供。2015年にスタートした「マイキンソー」は、一般個人向けのサービスだ。1万9440円で検査キットを購入、採便して送ると、 Webで結果が閲覧できる。

これに加え、2016年に登場したのが「マイキンソープロ」。こちらは病院を対象としたサービスである。病院は自由診療のひとつとして導入する。患者は病院で申し込みをし、検査後、結果が病院に届く。その結果を元に、診療時に医師からアドバイスを受けられる仕組みだ。

サイキンソーのこだわりは、検査結果の見せ方に表れている。「マイキンソー」では、一般人でも結果を理解し、生活改善に活かしやすいよう、解析結果に基づいた「おなかの悩みと簡易アドバイス」を結果レポートに設けている。「マイキンソープロ」は、これをグレードアップさせたかたちだ。専門医の解説で、検査結果をより効果的に活用できる。

実は、病院側にも「栄養指導に使える客観データが欲しい」「腸内細菌叢の状態を診療の参考にしたい」というニーズがあった。腸内細菌叢に特化した検査サービスは他になく、「マイキンソー プロ」には医療関係者も高い関心をよせる。

昨今、腸内細菌叢という言葉を知る人は増えたが、まだまだ新しい分野。医療現場でも日々の診療や栄養指導にどう役立てられるかを心得ている人は少ない。そこで、同社では自社メディア「マイキンソーラボ」を運営し、医療関係者に向けた啓発活動も行っている。

細菌叢検査で先頭をひた走るポジション。
使えるデータを蓄積していることが強み

対象市場と優位性

マイクロバイオーム(細菌叢)の市場、これには腸内だけでなく、皮膚や頭皮などの細菌叢も含まれるが、その市場規模は2016年、世界で500億規模と見られている。これが2021年には6430億に成長する見込みだ。サイキンソー代表の沢井悠氏によれば、強気の予測ではあるが、日本でも同様の勢いで、急激に市場が成長していくとみられるという。

サイキンソーは日本でいち早くこの市場に参入し、トップの座を守り抜いてきた。これまでの累計検査数は5000。業界では飛び抜けて大きな数字だ。単に、数が多いだけではない。同社では、検査時にアンケートも実施しており、症状や属性データと紐付くかたちで腸内細菌叢のデータが蓄積され、貴重な臨床データとなっている。これは大きな強みだろう。病院のほか、乳酸菌関連商材を扱うメーカーやヘルスケア関連の大手企業からの注目度も高い。

サイキンソーを支援するファンドも、豊富なデータと知見に価値を見いだしている。たとえば、同じ生活習慣病患者でも、食事指導を実施して、結果が出る人と出ない人がいる。腸内細菌には太りやすさに関係するものもある。常在細菌の解析で、効果が出ない原因が見つかる可能性は高い。腸内細菌叢は人によって異なる。検査結果を活かせば、よりパーソナルな食事指導が可能になるのだ。

今、医療業界では、未病状態で健康状態の悪化を食い止め、健康な人を増やしていくことが大きなテーマ。サイキンソーは、保険医療ではカバーしきれない健康改善に貢献する存在として期待がかかっている。

検査キットから健康サポートサービスへ。
データを増やし、未病・疾病領域にも貢献

事業にかける思い

photo3.jpg
「当社は検査キットの販売からスタートした会社だが、重要なのは検査後のフォローアップやアドバイスだ」と沢井氏。

ユーザーが求めるソリューションの部分をしっかり提案できないと、検査の利用も増えない。そうした課題意識から、栄養士による食事指導サービスの開発に取り組むなど、継続的、多面的なフォローアップの仕組みづくりに力を入れている。

医療機関向けのサービスを始めたのも、そうしたフォローアップの一環。2017年は病院へのアプローチを重点的に行い、東京を中心に約170の病院で導入が決まった。

「病院を回っていると、最新の情報を勉強する暇がないという医師の課題も見えてきた。当社には、マイキンソーの経験から、検査を受けた人が何を知りたがるのかという、アドバイスのノウハウもある。結果の読み解きや診療への活用法も含めた導入提案は病院からも好評」

サイキンソーは、今後も病院へのアプローチを強化し、「マイキンソープロ」を拡大していく意向だ。治療や臨床に役立てるため、病気の人のデータを増やしていきたいのだという。病気の人の腸内細菌叢の傾向が掴めれば、これまで「マイキンソー」で蓄積してきた健康な人の細菌叢の状態と比較して、腸内環境をどう改善すればいいかのヒントが掴める。

「今後は未病領域、疾病領域のデータをそれぞれ、まとまった単位で増やし、腸内細菌叢の観点から、どう健康状態を改善していけばよいかを言えるようにしたい」

腸から日本の健康を支える。サイキンソーのミッションは着実に遂行されている。

株式会社サイキンソー
代表者:沢井 悠 氏 設立:2014年11月
URL:https://cykinso.co.jp/ スタッフ数:7名
事業内容:
腸内細菌叢検査サービス「Mykinso」および医療関係者向けサービス「Mykinso Pro」の開発・販売、専門家による情報サイトMykinsoラボの運営
これまでの資金調達額(出資額)と主な投資会社名:
地域経済活性化支援機構(REVIC)などより累計2億7000万円
ILS2017 大手企業との商談数:
11社

当記事の内容は 2018/3/13 時点のもので、該当のサービス内容が変わっていたり、サービス自体が停止している場合もございますので、あらかじめご了承ください。

起業、経営ノウハウが詰まったツールのすべてが、
ここにあります。

無料で始める