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専用アプリの水平・垂直のレーダーに
探しているモノの位置を正確に明示
事業や製品・サービスの紹介
RFIDタグ位置特定ソリューション「P3 Mapper」を提供している、RFルーカス株式会社。「P3 Mapper」とは、「Phase based 3D RAIN RFID locus Mapper」の略で、訳すと「電波位相を基にしたUHF帯RFID(Radio Frequency IDentification)による3D位置特定ツール」となる。RFID装置制御ソフトウェアと解析プログラムで構成された物品位置管理システムとして提供している。
倉庫や図書館、書類キャビネットなどに置かれた物品に貼られているRFIDのタグを、本製品を実装したハンディリーダーおよびロボットやドローンに装着したアンテナで、1つのタグにつき1秒あたり100回以上も読み取り、電波位相情報からその位置を3次元的に10cmの誤差範囲内(条件による)という高い精度で割り出す。ハンディリーダーにはiPhoneを装着し、専用アプリの水平・垂直のレーダーでその位置を示すというものだ。
従来のRFIDの読み取り技術は位置精度が低く、数メートル単位でしか特定できなかった。このため、探しているものが荷台や棚のどこにあるのかごく大まかにしかわからず、時間や労力を要していた。そこで、本製品を活用することで、棚卸し作業や物品を探し出す作業の省力化が可能となる。ロボットやドローンを使えばさらに省人化も可能だ。
なお、レーダーアプリは、ITソリューションベンダーのアスタリスク社と共同開発し、「AsTagFinder」としてリリース。アプリはApp Storeから無料でダウンロードでき、2017年10月24日にローンチ後、2カ月で約200ダウンロードを記録。実際の業務に使用するためにはライセンスおよびカスタマイズが必要で、そこが収益源となっている。
世界初!電波位相情報の時系列解析技術を開発。
AIを活用し高精度な位置測定を実現
対象市場と優位性
ZARAやユニクロが商品の全点をRFIDで管理するなど、RFIDの利用は加速度的に広まっている。2013年には約30億個であったものが、2017年には約120億個、2021年には約260億個の使用が予測されている。
「RAIN RFID」と同様の技術に、電池式の「Apple iBeacon」や「IEEE802.11」、磁界方式の「HF RFID」がある。ちなみに「RAIN RFID」は電磁界方式なのでタグに充電する電池は不要だ。また、読み取り距離として「Apple iBeacon」は70m、「IEEE802.11」は100mに対し、「RAIN RFID」は10mと短い。しかし、同社ではロボットやドローンで対象物に接近できるので読み取り距離が10mでも問題ないと考えている。
それら以上に大きな競争力があるのが、タグの価格だ。「Apple iBeacon」は500円、「IEEE802.11」は300円、「HF RFID」は30円程度に対し、「RAIN RFID」はわずか3円程度から。このため、ファストファッション店のようにTシャツ1枚の管理にも使用可能となる。
そして、同社の大きな強みとしているものが、世界で初めて開発した電波位相情報の時系列解析によりタグ位置を割り出すというコア技術。日本で特許を取得し、現在、アメリカ、EU、中国、韓国に特許出願中である。
従来のタグ位置測定は、電波の受信強度で遠近を割り出していた。このため、途中に障害物があると受信強度が変化して不正確になっていたのである。“位相”においては、障害物があっても変わることは少ないので、正確な位置を測定することができる。かつ同社は1秒間に600回まで読み取り、大量のデータをAIで解析する技術も確立、精度を大幅に高めている。
RFIDの大幅な普及と物流現場の混乱を前に、
技術で問題解決に貢献するため起業
事業にかける思い
同社代表取締役の上谷 一氏は、RFIDのベンダーでシステム開発部長を務め、RFIDに10年以上かかわり特許も取得したスペシャリスト。
「RFIDがファストファッションの在庫管理や自動車会社の入出荷業務に使われるようになって、今後追随者が続出し、大きなマーケットに発展することが見て取れました。一方、人手不足に加え宅配便が5年で5億個増加するといった事態に、物流現場が混乱するという問題も発生するようになりました。そこには、既存のRFIDの読み取り精度の低さといった技術的問題もあるとわかっていたので、独立しこの問題解決に貢献しようと決めたのです」
独立を決めた上谷氏に、世界標準RFIDライブラリの開発に貢献した部下など2名がジョイン。さらに、契約社員としてISOなどでRFIDの国際標準策定に貢献した専門家や、ドローン制御ソフトウェアのスペシャリストが加わる。
上谷氏は退職後、特許や論文を読み漁って“位相情報”による高精度位置特定を思いつき、コア技術とすることで高速・高精度の物品位置管理技術を強みにできた。
「P3 Mapper」の開発とともに大規模な商談も進めている。「倍々以上のペースで成長していければと考えている」と上谷氏は意気込む。
国際特許を出願しているように、同社の視線は海外市場に向いており、すでにアメリカに現地法人を設立しマーケット調査に着手している。日本発・世界唯一の技術で、あらゆる物品管理の効率化に貢献していく構えだ。
RFルーカス株式会社 | |
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代表者:上谷 一 氏 | 設立:2015年8月 |
URL:http://rflocus.com/jp/ | スタッフ数:5名 |
事業内容: RAIN RFIDにおける位置特定技術の研究開発および関連製品の設計・製造・販売 |
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これまでの資金調達額(出資額)と主な投資会社名: 資金調達額は8200万円(投資先・会社名は非公開) |
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ILS2017 大手企業との商談数: 16社 |
当記事の内容は 2018/2/13 時点のもので、該当のサービス内容が変わっていたり、サービス自体が停止している場合もございますので、あらかじめご了承ください。