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自律移動技術の実用化を目的に始動!
「本当に使えるロボット」を目指して
事業や製品・サービスの紹介
近年、ロボット産業への注目度が急速に高まっている。しかし、“本当に使える”ロボットはまだそれほど多くないのが実情だ。SEQSENSE株式会社は、「実世界で本当に使えるロボットをつくり、次世代ロボット産業を創造すること」をミッションとし、明治大学で研究されていた自律移動技術の実用化を目的に設立された。
同社は今年(2017年)、自律移動セキュリティロボット「SQ2」を発表。1年後を目処に実用化させていくことを目指している。現在は、そのための実証試験と開発を繰り返しているところだ。「SQ2」は、警備員の代わりとなって働けるようにつくられている。自律移動技術で建物内を走行し、独自のレーザセンサにより地図を描きながら巡回。周囲の環境を3Dで認識し、本来ないはずの人や障害物を検出すると、360度カメラで撮影したデータをクラウドサービスに送信してくれる。
なぜ、同社は「SQ2」を警備に役立てようと考えたのか。現在、日本は少子高齢化により労働人口が減少し続けており、多くの業界で人材不足が課題となっている。なかでも、警備員(保安の職業)の有効求人倍率(平成26年度)は5.95倍と、さまざまな職種のなかで一番高い。また、2020年東京オリンピック・パラリンピックでは、5万人の警備員が必要といわれており、警備員不足の解消は喫緊の課題であると考えられる。同社はそこに着目し、この市場に「SQ2」を投入する構えだ。
市場規模3兆円にのぼる警備業界。
ロボットの活躍に多方から期待の声
対象市場と優位性
警備関連ビジネスは、今から53年前、1964年に開催された東京オリンピックを機にいっきに発展した。その市場は今、3兆円にのぼるといわれている。しかしまだ、そのなかで警備ロボットの活躍はほとんど見られない。国内では、自律移動技術を研究している組織・機関は数えるほどしかなく、自律移動セキュリティロボットとして実用化するために専門的に取り組んでいる企業は、おそらく同社だけではないだろうか。
もちろん、警備員のすべてが警備ロボットに取って代わられることはないだろう。「なんとなく不審な感じがする……」といった、人間特有の“勘”がロボットにはない。一方で、そういった主観がない分、見慣れた風景のなかから正確に異常を検出できる点では、人間以上に優れているとも考えられる。また、24時間体制や僻地での警備など、わざわざ人間が担うより、ロボットにやってもらうほうが効率的なケースもある。
導入予定施設としては、オフィスビル、空港、ショッピングモール、ホテルなどを検討しているという。ちなみに「SQ2」発表後、販売前にもかかわらず、同社にはさまざまな顧客候補から、多くの問い合わせが届いている。例えば、「警備員の人手不足をカバーしたい」という警備会社、「新規建設するビルへSQ2を常設させたい」というビルオーナー、「ビルオーナーに対してAI・ロボットを組み込んだビルを提案したい」というゼネコンなど、幅広い業界が興味を持っていることがわかる。
当たり前のことを一つひとつ着実にこなし、
“ゼロ”から“イチ”をつくりだす――。
事業にかける思い
同社代表の中村壮一郎氏は大学卒業後、国内外の金融機関に勤務。その後、独立して中小企業支援の仕事をしていたところ、自律移動技術を研究する明治大学の黒田洋司教授に声をかけられ、同社の設立を手伝うこととなった。
「もともとは、自律移動技術を実用化するにあたり、ビジネス目線でお手伝いする立場として参画しただけで、代表を務めるなんて考えてもいませんでした。しかし、自分以外のプロジェクトメンバーは全員が研究者やエンジニアなどの開発メンバーだったので、自分がやるしかないかな、と。それに、一度は実業の経営者として、今はない世界をゼロからつくりだす経験をしてみたいという思いもありました」
プロジェクト推進にあたっては、大手システムインテグレーターTIS株式会社、ベンチャーキャピタル株式会社ジャフコ(JAFCO)から計2億円の投資を、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)から数千万円の助成金を調達。順調な資金調達を経て、実用化に向けての実証試験、開発を進めている。
「私たちが手がけているのは技術ありきのビジネスで、斬新なアイデアありきの勢いある若手ベンチャーとは少し毛色が異なります。当たり前のことを一つひとつ着実にこなし、まずは次世代ロボット産業に“ゼロ”から“イチ”をつくりだす。それが、今の私たちの目標です」
SEQSENSE株式会社 | |
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代表者:中村壮一郎 氏 | 設立:2016年10月 |
URL:https://www.seqsense.com | スタッフ数:13名 |
事業内容: 自律移動型警備用ロボットおよびその関連製品の開発 |
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これまでの資金調達額(出資額)と主な投資会社名: ・TIS株式会社、株式会社ジャフコ(JAFCO)より2億円 ・国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)より数千万円 |
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ILS2017 大手企業との商談数: 6社 |
当記事の内容は 2017/12/12 時点のもので、該当のサービス内容が変わっていたり、サービス自体が停止している場合もございますので、あらかじめご了承ください。