行動・モノをコインに!
ブロックチェーン活用で新たな価値を創造する

この記事はに専門家 によって監修されました。

執筆者: 佐々木正孝 編集:菊池 徳行(ハイキックス)

企業コイン発行のプラットフォームを作り、
新たな価値を創出していく

展開している事業の内容・特徴

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仮想通貨の代表格・ビットコインも実用ステージに入っているが、その基盤を支えるテクノロジーとして注目されるのが「ブロックチェーン」だ。これは日本語でいえば「分散型台帳」。改ざんできない、それでいて誰もが見られる台帳をインターネット上に置く、というのが利用イメージだ。その台帳には決済などの情報がチェーンのように付け足されていき、しっかりと履歴が残る。

金融にとどまらず、企業や組織のあり方にも影響を及ぼす仕組みとしてブロックチェーンを提案するのがZEROBILLBANKだ。同社はスマートフォンやセンサーから取得した情報をブロックチェーンに記録して企業コインを発行する「ZEROBILLコア」、そして企業コインを活用するためのモバイルウォレット「Z-WALLET」を提供している。代表の堀口純一氏に2大サービスが目指すものを聞いた。

「ZEROBILLコアはZ-WALLETが取得する位置情報、センシング情報、ユーザーのやりとりなどによって企業コインの付与条件をダイナミックに設定できます。これがユーザーの行動をコイン化するプラットフォームになるのです」

具体的サービスとして始動したのが、三菱UFJフィナンシャル・グループ、カブドットコム証券が導入を進める企業コイン「OOIRI」だ。OOIRIはブロックチェーン上の仮想通貨で、従業員の行動(出勤や退社時間、健康行動など)の結果に応じて付与される。仮想通貨だけに社員間でのやりとりができたり、将来的には福利厚生や外部サービスの利用もできたりするようになるという。つまりこれは、働き方改革、社内コミュニケーションの活発化を目指すインセンティブツールとして企業コインを活用する動きだ。

既存ポイントサービスと類似のようにも見えるが、ブロックチェーンはデータを集約せず、分散して持ち合う「自律分散型」のデータベース。改ざんリスクが抑えられ、匿名性を高められるというメリットに加え、高い汎用性も見逃せない。

「行動データなどを複数の企業で共有し、新たなユーザー体験を提供できるエコシステムが視野に入っています。低コストで導入できるブロックチェーンだけに、特定の業界にこだわらず、どの業界でも汎用的に使える仕組みが提供できるようになるでしょう」

フィナンシャルサービス発祥の地で、
ブロックチェーンのモデルを創出する

ビジネスアイディア発想のきっかけ

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ZEROBILLBANKは2015年2月にイスラエルでスタートした。今もなお、ビットコインやブロックチェーンを巡る新たな金融テクノロジーがダイナミックに生まれ続ける。スタートアップネイションと呼ばれるかの地での起業は強烈な刺激があったという。

「幼稚園からプログラミング教育があり、優秀な人材は兵役でも高度なソフトウェア開発、サイバーセキュリティのスキルを習得できる環境が整っています。そこで最先端のIT技術を身に着けて投資を集め、スタートアップを設立するわけです。最初から大企業に入社するのはクールじゃない――そんな文化ですね。日本のビジネスモデルはシリコンバレーなどの潮流をいち早く写し取るトレンドシャッター型ですが、イスラエルはトレンドセッター型。新ビジネスのトスをどんどん上げて、投資というアタックを待つ。常に新たなアイデア、テクノロジーの種がまかれています」

堀口氏がイスラエルに渡ったのは、サムライインキュベート社による起業プログラム「イスラエル経由世界行き」に採用されたのがきっかけだ。起業前はIBMに在籍し、さまざまな企業のIT化を支援してきた。シンガポールに赴任した経歴もあり、海外での起業にも抵抗はなかったという。堀口氏は、起業後にブロックチェーンを基盤にした新ビジネスに着手。人の行動やモノなど、これまでデータ化できなかったものをセンシングし、可視化することを考えていく。

「社会貢献を評価するために0円札(ZEROBILL)を発行したらどうか、というのが原初アイデアでした。これが社名の由来にもなっています。社会貢献という行動は間違いなく価値がありますが、貨幣的な価値には換算できません。同様に、僕らの行動や動いているモノ、データはインタンジブル、見えない無形資産です。そこにある価値をいかに可視化するか。こうして、ブロックチェーン上でデジタルアセットを管理する仕組みを考えたのです」

見えなかったものにコイン(仮想通貨)を付与し、新たな価値の創出を目指す。ZEROBILLBANKのビジョンはイスラエルで培われ、ブレない指針となって現在に続いている。

これまでにない企業連携も生まれる。
あらゆる業界に浸透のチャンスが

将来の展望

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仮想通貨を支えるだけではなく、企業や組織を横断するテクノロジーとして注目が集まるブロックチェーン。インターネットのように、さまざまな分野への応用が期待されている。多くの企業が新規分野への応用を考え続けるなか、ZEROBILLBANKはブロックチェーンにおけるブラウザ(入口)のポジション獲得を目指していくという。

「グーグルはインターネットにおける『検索』という窓を提供し、ネット上にある情報に誰でも、簡単にアクセスできる時代を到来させました。その歴史はブロックチェーンでも繰り返されるでしょう。分散台帳やスマートコントラクトなど、ブロックチェーンの仕組みは今ひとつ分かりにくいんですが、私たちのサービスが『窓』になることで、誰でも簡単にブロックチェーンを利活用できるようになればと考えています」

ブロックチェーンをツールにし、行動や購買、移動などあらゆるデータを共有・交換する場を提供する。それが新時代のブラウザだ。しかし、そこには特定の管理者などの「中心」がない。前述のとおり、「自律分散・協調」がブロックチェーンの大きな特徴なのだから。

「これまで、人々の行動や働き方、購買、健康といったさまざまなデジタルアセットは企業が囲い込み、管理してきました。しかし、ブロックチェーンによって、それらの行動データは個人が持ち、企業側にアクセス権を付与する形で管理されていくと私は考えています。そこに私たちのサービスが介在するチャンスがあります。私たちはブロックチェーンによって日本のマーケットを変えていきたい。2016年3月から開始されているMUFG Digital Acceleratorへの参画を皮切りに、熱意のある多くの企業とビジネスを進めているところです」

例えば、エコな運転や安全運転の走行データを保険会社のデータと紐づけ、契約者にインセンティブが付与されたり、付帯サービスで差別化を図ったりと、行動データを複数の企業で安心・安全に共有することで、今までにない横断的なサービスも視野に入るという。人やモノ、データがインタラクティブにブロックチェーン上で交流・融合する未来へ。ZEROBILLBANKが構想するエコシステムは、世界を本質から変える可能性を秘めている。

ZEROBILLBANK JAPAN株式会社
代表者:堀口 純一 氏 設立:2016年3月
URL:http://www.zerobillbank.com/ スタッフ数:8名
事業内容:
ブロックチェーン・スマートコントラクトを活用したプラットフォームサービス提供

当記事の内容は 2017/11/28 時点のもので、該当のサービス内容が変わっていたり、サービス自体が停止している場合もございますので、あらかじめご了承ください。

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